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色のメタメリズムの仕組み 恋のメタメリズムとは?

今回は環境によって色の見え方が同じだったり、違ってたり見えてしまう現象をご説明します。

色を職業でて扱っている人以外は、あまり経験がないかもしれませんが、お店の中で色がマッチして見えていたので、お揃いで揃えたバックと靴などが、お店の外で色を比べると違って見えたって経験はありませんか?

この現象は、条件等色:メタメリズムと呼ばれます。

環境によってと書きましたが、その一番代表的な原因が光源(照明)によるものです。色の見え方を復習してみましょう。

色を感じるためには光源・物体・観察者の3要素が必要です。

光源は光のことで様々な波長の光が混ざっています。
物体とは色を感じるもののことです。光源を反射しますが、その表面の性質により波長ごとに光を反射したり吸収したりし、特定の波長の光のみを反射します。
観測者は人間そのものです。目でその反射光を受けて、波長の分布に反応し色を知覚します。


この3要素のどれか一つでも欠けると、色は感知されません。

光源がないと真っ暗になり、物体は何も反射せず、人間の目にも光は入らなくなります。物体がなく光だけだと反射するものがなく、人間の目には何も届きません。観測者がいない場合、少し哲学的になりますが、知覚自体が起こっていないので、そこに色はないとされるのです。

光源・物体・観察者にはそれぞれ特徴があり、その特徴が入り交り特定の色が知覚されます。

光源は、波長ごとのエネルギー量により特徴づけられます。いろんな色の物体がありますが、それらは光源の光を反射・吸収しているので、そもそも光源に含まれない波長の色を物体は反射することができません。

種類としては、太陽光や、白色蛍光灯、白色電球など、さまざまな波長のエネルギー分布の特徴を持ったものがあります。

物体は、波長ごとの反射率の性質で特徴づけられます。赤いリンゴは、光源に含まれるRGBのうちRを反射、GBを吸収するとう特徴を持っています。

観察者に関しては個人差があり、ある特定の波長を読み取れないとう方々もいます。ここでは少し話が複雑になるので、この差はいったん触れずにお話を進めます。

メタメリズムが起こる現象を見てみましょう。

それぞれ白熱電灯と自然光(太陽光)のもとで、2つの異なる分光反射率を持つ物体、カバン・靴を見た場合を想定します。

白熱電灯と自然光の波長分布は下の図のとおりです。自然光が可視光内の波長をまんべんなく含むのに対し、白熱電灯では短波長領域のエネルギーが低く、長波長領域が高いです。

結果的に白熱電灯は赤っぽく、自然光は白色に見えます。

光源が白熱電灯の場合のカバンと靴、それぞれの反射分光分布を調べてみます。

白熱電灯では短波長の光が含まれないため、物体が短波長を反射する性質でも、実際には反射は起きません。

結果、下記のように長波長域だけが反射されて、その反射分布はほとんど同じとなりました。

つまりこのカバンと靴では、白色電灯のもとでは、ほぼ同じ色に見えるのです。


今度は、自然光のもとでそれぞの反射強度を測定してみます。

自然光では可視光内の波長の光をまんべんなく含むので、白熱灯と違って短波長部分も物体(カバン・靴)に届きます。

その結果下記の反射スペクトルになりました。これらのカバン・靴では短波長領域に反射率の差がるので、自然光の下では違った色に見えるのです。


お店の中では照明が白熱灯で、カバンと靴が同じ色に見え、お揃いで気に入って購入しましたが、それを外に持ち出した瞬間に違った色に見えしまったのですね。悲劇です。

ある条件では色が同じに見えるが、他条件では色が違って見える
ある条件では色が違って見えるが、他条件では同じく見える。

この2つの現象ともメタメリズムと呼びます。

色を扱う上で意識しなくてはならない、大切な特徴です。

最近ではスペクトルデータ全体をやりとりし、メタメリズム自体をなくそうとする色情報の伝達の仕組み、Cxfなども実用化されており、ここのあたりの技術の発達も今後見られそうです。


スキー場で意気投合し、いい仲になり、東京に帰った後にデートしたところ、お互いがっかり、といのは「恋のメタメリズム」とでも言うのでしょうか?恋人はサンタクロースではなかった!?

色だけではなく、色んな場面でメタメリズムってあるのかもしれません。
それでは今日はここらへんで、お粗末さまでした!

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