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最近みた展覧会。アブストラクション展で思ったこと。 往復書簡#43

画家・タシロサトミさんとの往復書簡43回目です。
前回のはこちら。

タシロさんの経歴は35歳からムサビ通信に入りスタートしたとの事ですが、なかなかにできそうでできないことだと思うんですよ。
ムサビ通信っ大変なんですよ💦通信といっても課題は全くの手加減なく、卒業まで辿り着くのは1〜2割と聞いています。そこを超えてきているタシロさんは根性あるな。そしてそこから続けて作品発表して作家になってる。やはりすごい方だなぁと思っています。
そして、タシロさんの親子関係や人生経験があったからこそ、タシロさんの作品が生まれたという事、とても納得が行きます。やはり作品は人となりが現れる。

お互いに違ったルートをたどっていても、同じ作家仲間として作品を発表し制作しているっていうことは、何かしらの縁ですね。人の出会いってすごいなぁ。出会いをもたらしてくれた美術に感謝です。

さて、今回のお題。
最近行った美術館について。

美術館大好きです。行きたい展覧会があるとチェックして、できるだけ行くようにしています。今年の7月から8月にいった展覧会は

・アブストラクション展(2回)/アーティゾン美術館
・マティス(2回目)/東京都美術館
・うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展/東京都美術館
・蔡國強/国立新美術館
・テート美術館展 光/国立新美術館
・甲斐荘楠音の全貌/ステーションギャラリー
・ワールドクラスルーム/森美術館

9月に入ってから行った展覧会は
・ガウディとサクラダ・ファミリア/国立近代美術館
・山下清展/SONPO美術館

何にでも興味持つ方ではありますが、やはり語りたいのは「アブストラクション展」のことです。

セザンヌから始まり、印象派、フォービズム、キュビズム、未来派、青騎士、バウハウス、抽象表現主義、日本の具体運動からの現在の日本の抽象作家の作品などなど、絵画の歴史をたどりながら、抽象絵画の誕生と現在までを見せるとても良い展覧会でした。
私が抽象絵画を書くようになったのは、このような先人たちの作品に憧れたからなんですよね。抽象表現主義やアンフォルメルが大好きなのですが、「アブストラクション展」をみて、自分の好きな抽象絵画について、歴史的な意味も考え、今再び向き合うきっかけとしても、自分にとって重要な展覧会でした。それとこの展覧会、すごいのはほとんどの展示作品がアーティゾン美術館が所蔵している作品だということ。最近収蔵された作品も多く、その中にはエレイン・デ・クーニングやリー・クラズナーやフランケン・サーラー作品もあり、夫の影に隠れがちだった女性作家の作品にも焦点を当てられていることは、今の時代の流れを感じました。

そんなアブストラクション展をみた帰りに、友人とオランダ人の作家さんの2人展に立ち寄ってお話ししたのですが、オランダ人作家の彼女がアブストラクション展のカタログをチラッと見て(バウハウスのページでした)「オールドスクール」と言われたのも印象的な出来事でした。
日本人で西洋絵画、抽象絵画が好き〜といってる私にはアブストラクション展の作品を新鮮に感じても、元々の歴史があるオランダの方から見たらそれらは過去のもので珍しくもないんですよね。そんな彼女は棟方志功や、日本美術の雲の表現に衝撃を受けると言ってました。

この出来事は、ずーっ以前からわかってはいましたが、現代の日本で抽象絵画を日本人が描く意味みたいなものを突きつけられるような感覚を覚えました。
絵画の歴史、生まれた土地のアインデンティティー、現在の社会情勢、その中で自分が何を表現するのか。
ただ好きで描くというのが悪いわけではありませんが、自分の立ち位置を考えることも大事ですね。より一層考えながら、描く手は止めずに前へ行きたいなぁ….なんて思いました。

アブストラクション展 カタログ

アブストラクション展のカタログ、めちゃ厚い!重い! 批評もたくさん載ってるので、少しづつでも読んで理解を深めたい。

タシロさんはここ1年の展覧会で、印象に残った展覧会は何でしたか?
教えていただけると嬉しいです。
もちろん「アブストラクション展」についても!

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