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地域の人々に愛される鳩居堂

姉小路通りを進み寺町専門店会商店街へやってきた。
ちょうど通りが交わる場所に建つ店の名前は鳩居堂。
江戸時代から続く文房具の老舗で、創業したこの地で
2000年に新たな店舗へと生まれ変わった。設計した
のは建築家の内藤博氏。とらや京都の設計者でもある。


1663年の創業以来、この場所で商いを続ける鳩居堂
本店社屋を106年ぶりに建て替え、2020年にオープンした
軒天のリン酸処理をされたスチールプレートに杉材や
手前のレールには格子戸が納まるディテールなど
細部までこだわられた鳩居堂のデザインを楽しんで
店舗の奥の中庭を囲むように設けられた石貼りの塀
角には丸みがつけられて柔らかな表情に
柵にもデザインされた鳩の文字
店の外から奥の中庭が見通せて
売場空間は中庭に面した気持ちのよい空間に
庇を支えるスチールプレートの形も美しい
内部の写真撮影も可とのこと。線状に並んだ木の雰囲気や
黄竜山石の柔らかな風合い
天井の丸鋼による繊細な構造やトップライトから柔らかな光
店内には鳩居堂の向かい鳩の装飾瓦
そして鳩居堂の本店の向かいにある
第2店舗は2021年に続けてオープンへ
黄竜山石貼には立派な銘板
むくり屋根により柔らかい印象の外観
第2店舗はカフェスペースもある店舗で
中2階もある構開放的な空間に
丸みを帯びるデザインのスツールやテーブル
石は床から壁へ、木は壁から天井へ。包みこまれるようなデザインに
床から壁へとつながる石のディテールにもこだわりが
店舗の図面で断面構成がよくわかる
店内にはいろとりどりの商品が並べられて
せっかくなので、鳩の図柄のふきんをお土産に

魅力的な商品であふれる鳩居堂

平安時代まで遡る鳩の家紋の物語

こちらのサイトで鳩居堂のことがよく分かる

鳩居堂を創業した熊谷直心(じきしん)は平安時代の
熊谷直実から数えて20代目であるといい、鳩の家紋
は直実が平安時代末期の1184年の一ノ谷の戦いにて
平敦盛を討った軍功で、源頼朝より賜ったものという。

その源平の戦いは1185年の壇ノ浦へと続く


鳩の家紋は800年を超える歳月を経て今につながり、
鳩居堂はその物語を紡いでいく。その鳩居堂の屋号は、
中国の詩経の篇にある「維鵲有巣、維鳩居之」から命名
され、かささぎの巣に託卵するという鳩には、「店は
お客様のもの」との謙虚の意が込められているという。


地域の人と共にある鳩居堂。建物の素材やデザインは
柔らかな色合いで丸みを帯びる。その建物を設計した
建築家によって、鳩居堂に紡がれてきた物語と新しい
デザインが融合され、心地のよい空間が広がっている。

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