産経新聞

中国、尖閣周辺で「現状変更の試み執拗に継続」 防衛白書を了承

河野太郎防衛相は14日午前の閣議で令和2年版防衛白書を報告し、了承された。白書は中国の軍事的動向に対して強い危機感を示し、特に中国公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での度重なる領海侵入を「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗(しつよう)に継続しており、強く懸念される」と非難した。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大に関し、訓練中止など各国の軍事活動に影響を及ぼしており、感染拡大がさらに長期化した場合の国際的な軍事バランスの変化に注目した。

 さらに中国を名指し、「社会不安や混乱を契機とした偽情報の流布を含む宣伝工作なども行っていると指摘される」と紹介。「自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した国家間の戦略的競争をより顕在化させ得る」と指摘した。

 北朝鮮の動向は、昨年版と同じく「わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威」と評価した。昨年5月以降に短距離弾道ミサイル発射を繰り返し、低空飛行するなどの新型の開発に成功した現状を解説。「攻撃態様の複雑化・多様化を執拗に追求」し、他国にとって「発射兆候の早期把握や迎撃をより困難」にしていると分析した。

 各国・地域との安全保障協力の章では、重要度に応じた記載順(同盟国の米国をのぞく)は昨年版に引き続き、豪州、インド、東南アジア諸国、韓国の順。

 韓国に関しては、韓国政府が軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を一時決めるなどの課題を挙げた。昨年版には「韓国と幅広い分野で防衛協力を進める」といった4行分の前向きな記載があったが、今回は「分量の関係」(防衛省)で削除された。

 新型コロナの感染拡大防止に向けた自衛隊の活動も詳しく記述した。政府が配備計画を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」については、配備プロセスの停止を決定したと紹介した。

 北方領土や竹島(島根県隠岐の島町)は、例年同様に「わが国固有の領土」と明記した。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?