頂き物のお菓子の缶、黄色い缶の赤い帽子、
赤い帽子は幸せのシンボルとか。
真っ赤な帽子を被ったブロンドの長い髪の精悍な少女の横顔、大きなパールのイヤリング、心なしか揺れているように見える。
随分前から知っていたが、
目の当たりにすると、なぜか吸い込まれていくような気がする。

クッキーの缶やお土産に頂いた紅茶の缶には夢があり、捨て難く戸棚の隅や机の上に眠っている。

イギリス土産のワイルドストロベリーの紅茶の缶は、今小さなハッカ飴が入っている。
ジベルニイのモネの家で売られているという紅茶の缶はダークグリーンで周りをモネの「睡蓮」が飾っている。所がこれが京都のお土産だったのにびっくり。
孫から「ハワイの空気も入っているよ」と渡されたクッキーの缶はいかにもハワイらしく海の色である。

缶を開ける度にこれをくれた人に思いを馳せてみるが、過ぎた日の夢やら、空気は遠のいて行くのが、自分の年齢もあり感じられる。

私の唯一つ忘れられない情景は茶箪笥の上にあったビスケットの缶である。多分4歳くらいだったと思う。

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いま