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株式は使わずに創業1年半で地道に累計2300万円資金調達していた話【融資・補助金・助成金】

こんにちは。株式会社パパゲーノ代表取締役CEOのやすまさです。早いもので2022年3月の創業から1年半が経過しました。これまでメンタルヘルス分野で色んな事業に挑戦しつつ、資金を枯渇させず持続する形を模索してきました。


会社経営はお金が減ることとの戦い

会社経営をする上で「今の赤字がこのまま続くとあと何ヶ月で会社が倒産するか?」が最も重要な経営指標で「ランウェイ」といいます。資金枯渇したら会社は終わるので、そうならないよう必死に資金調達と黒字化を目指します。

「現預金残高」÷「毎月の赤字」=「ランウェイ」

赤字を掘るスタートアップの場合、ランウェイ18ヶ月が健全な水準と言われます。

初期のスタートアップは選択肢が無限

資金調達というと、株式での第三者割当増資(エクイティ)をイメージしがちですが、創業直後の初期のスタートアップの資金調達手段はかなり選択肢が多いです。

創業支援、中小企業支援のため、初期のスタートアップが利用できる補助金・助成金(グランツ)はたくさんあります。融資(デッド)も創業時は非常に有利な条件で借りやすいです。新株予約権付の融資も最近増えてきています。それ以外には、クラウドファンディングでの調達も一般化しつつあります。

パパゲーノは株式での調達はあえて行わずに、それ以外の全ての手段を尽くして累計2300万円を集めてきました。

株式会社パパゲーノのランウェイ

パパゲーノは2023年7月に東京都杉並区にオフィスを構えて、9月に就労継続支援B型という福祉施設の許認可を東京都から取得して運営しています。大規模な設備投資と固定費を伴うため、ランウェイは2023年9月で「12ヶ月」を切っていて、現預金は心許ない状態でした。そのため、あらゆる資金調達手段を駆使して動き回っていて、ここ1,2ヶ月でだいぶ成果が出てきています。

クラウドファンディングにも挑戦し、何としても200万円達成させることが求められていたので、できること全部やり尽くしていた感じです。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございます!

【直近の資金調達:900万円】
クラウドファンディング:約200万円
東京都振興公社の創業助成金:300万円
ものづくり補助金:約200万円
マル経融資(公庫):200万円

※追加で、キャリアアップ助成金も2名分(約100万円)の申請はしていて、着金を待っている状態です。

累計資金調達額:2300万円

  • 日本政策金融公庫:300万円

  • みずほ銀行(渋谷区制度融資):600万円

  • GMOあおぞらネット銀行(短期):500万円

  • クラウドファンディング:約200万円

  • 東京都振興公社の創業助成金:300万円

  • ものづくり補助金:約200万円

  • 日本政策金融公庫(マル経):200万円

短期融資500万円は1年で返済なので実質ないものと考えても、1800万円です。本当は融資でもっと大きく調達したいのですが、なかなか審査が通らず、ずっと走り回っています。ちなみに、資本金は500万円で創業しています。

これから起業する人におすすめしたいこと

  • 資本金はできる限り多めにする。計画的な貯蓄の履歴が金融機関からの信用獲得には必須。「この人とならどんな修羅場も乗り越えられる!」と思える人がいるなら、最初から共同で出資して創業する。

  • 創業直後に必ず日本政策金融公庫から「資本金の2〜4倍」の金額で創業融資を受ける。個人保証は外す。できれば信用金庫の口座に融資は着金させる。(2,3年後のプロパー融資に繋げるため)

  • 一定額の融資を受ける場合、個人事業主だと個人保証が必要なので法人化がほぼ必須。(自己破産のリスクを避けるため)

  • 小規模事業者等持続化補助金が自治体の創業支援等を受けていると最大「200万円」の補助金が受けられる。チラシ制作やHP制作など広告費に使える。

  • 東京都の法人は東京都中小企業振興公社の創業助成金で最大300万円の助成を受けられる。物件賃料や人件費にあてられる貴重な助成金。

  • 社員雇用する場合は、キャリアアップ助成金を使う。6ヶ月契約社員でその後正社員転換して6ヶ月経過すれば1人あたり「57万円」を受給できる。

  • バーチャルオフィスに法人登記すると信用金庫・地銀の銀行口座開設がやりにくいので、中長期的にプロパー融資を狙うならできれば避けた方が良い。(一方で、公庫からの融資やメガバンクの口座開設はバーチャルオフィスでも通しやすい傾向にある)

  • 公庫の次は信用保証協会の保証付融資を信用金庫・地銀等で狙い融資実績を作っていく。渋谷区の制度融資を使うと利子を補給してもらえる。(しかし僕の場合、経営者の個人保証が必要でした。個人保証に入るくらいなら利子を払ったほうがいいと思います。)

  • ソフトウェアの開発に投資したい場合は、ものづくり補助金が活用できる。生産性向上に寄与できる設備投資であれば、機材ではなくソフトウェアの開発でも50〜60%の確率で採択される。

  • 弊社のように返済実績が足りず「追加融資の交渉に失敗」した場合は、短期融資(GMOあおぞらネット銀行のビジネスローンなど)を使って時間稼ぎをして返済実績を積むことで、次の決算後に長期の融資を引っ張ることができる。

  • クラウドファンディングを通して仲間と資金を集めることも推奨。

  • 株式(エクイティ)での資金調達は最後の選択肢。限界まで融資を中心に助成金・補助金・クラウドファンディング・営業利益で繋いで、事業仮設の検証を繰り返し、「お金さえあれば事業を伸ばせそう」という確信度が高い状態で株式で調達するのが理想。

  • 最初の資金調達の相場感は「時価総額2億円の10%=2000万円」前後をCoral Capitalが公開している契約書雛形(J-KISS)を使いVCやエンジェル投資家から調達すること。シード期の時価総額はほぼ言い値で決まる。プロダクトがない場合は市場と経営チームでしか投資家は判断できない。高すぎると次のラウンドに進みにくくなるため、時価総額が高ければいいというものでもない。資金調達したい金額から逆算して適正価格を考える。

調達から実行へ!

代表のマインドシェアを資金繰りに充てるのか、事業に充てるのかは会社経営の大事なポイントです。正直この半年は調達と許認可取得にほぼ僕のマインドシェアは取られていました。おかげさまで、なんとか現預金残高/ランウェイは安心して眠れる水準になってきたので、事業に集中して今後は頑張っていこうと思います。

引き続き足場もしっかり固めながら、攻めと守りのバランスを維持して経営していきます!

パパゲーノのこれまでの経営方針と資金調達、今後株式での資金調達はするのか?などはパパゲーノ公式YouTubeチャンネルでお話しています!興味ある方は見てみてもらえると嬉しいです。


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