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外国語で「会話ができる」とはどういうことか?【要素分解】会話中の「聞く」と「話す」の3つの本質 #中国語 #英語

よく、外国語を学ぶ中級くらいの人は「会話ができない」といいがち。そして、「だからネイティブと会話の練習機会をもっと持ちたい」という。

でも、それって漠然としすぎ。「お金がなく金持ちになりたい」から「じゃあ頑張って働こう」といっているようなもの。

外国語学習者にとって「ネイティブとの会話」とは何か?

その本質を追求してみよう。

外国語の会話力の正体

要素に分解すると、ネイティブの言っていることを「聞く」と、自分が伝えたいことを「話す」の2つに分かれる。

それは次の図のように分解できる。

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私の考えでは、会話できる力は「実践能力」の一部であり、その実践能力は、「コア能力」の上に成り立つ。コア能力とは?「聞く」側は、①音声知覚と②意味理解、「話す」側は③概念化と④文章化と⑤音声化だ。

これがができるようになるには、様々な文法や語彙を“使える”ものとして自分の中に取り込む必要がある。音読や「瞬間作文」がそのためのよい方法である。ここではその詳細は述べないが、これらのトレーニングの本質は「インプット理解」である。自分がまだ完全にはわからない外国語を音読や「瞬間中作文」という意味行為の中で擬似的に使うことでそれが「インプット理解」となり、習得される。(※クラッシェンの語学理論を解釈)

しかし、こうして鍛えられた「コア能力」はまだ身体にデータベース的に格納されているだけだ。もっとすぐに出し入れできるようにそれを実践することで瞬時に“使える”ようにしなければならない。

ネイティブとの会話における「聞く」は自分にとって何か

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さて、ネイティブとの会話(練習)は、語学向上のためにどういう機会があるか?という視点でそれぞれ深く考察する。

「聞く」は、ネイティブの自然な外国語を聞くことだが、これはYou Tubeや映画などでネイティブの発話を聞くのと何が違うのか?

1.「TO自分」へのメッセージ(自分への言葉の投げかけ)であり、会話は言葉のキャッチボールなので、理解しないと前に進まないのでどうにか理解しようと頑張る

→集中力が高まる

2.「聞き取れたか否か」が決定的に結果となる。自分が聞き取れれば、会話を続けられるし、理解できなければ止まってしまう。映画などではそんなことを考えるまでもなく時間が流れていく。自分の聴解力がこれでもかというほどに痛感させられる。

→痛烈なフィードバック

3.文脈(ノンバーバル含む)を共有しているので、文脈を頼りに理解しやすい(一定の話題と文脈の範囲でランダムなインプットがやってくる)

→「インプット理解」(※クラッシェン理論)に繋がりやすい

つまり、新しい語彙を習得できる。

といったところだろう。

ネイティブとの会話における「話す」は自分にとって何か

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では、目の前のネイティブに向けて外国語を「話す」のはどうか?これは、例えば「音読」や「シャドーイング」と何が違うのだろうか?

1.「TOネイティブ」へのメッセージ(目の前の人への言葉の投げかけ)であり、会話は言葉のキャッチボールなので、相手が自分の発話を理解しないと前に進まないのでどうにか伝えようと頑張る

→集中力が高まる

2.「発話が伝わったか否か」が決定的に結果となる。伝われば会話を続けられるし、伝わらなければ止まってしまう。音読やシャドーイングではこのようなフィードバックはない。自分の発話力(文法・単語での作文と発音)のレベルがこれでもかというほどに痛感させられる。

→痛烈なフィードバック

3.発話することが、文脈がある中で自分事であり明確な形を持つ

何か切実にいいたいこと(概念でも日本語の文でもよい)があり、それをベースに発話(作文+発音)するので、そこで発話した外国語は記憶に定着しやすい。例文の暗記などは状況もなく自分事でないため頭に入ってきづらいが、会話の中での発話(作文+発音)は、自分起点で相手に伝えたいことなので概念を固めて作文するという密度の濃い言語過程となる。

→自分がよく言うような表現のストックができる

まとめ

ということで、会話の本質がわかった。

「聞く」に関しては、

1.集中力が高まる

2.痛烈なフィードバック

3.インプット理解に繋がる

という特徴がある。

「話す」については、

1.集中力が高まる

2.痛烈なフィードバック

3.自分がよくいう表現のストックができる

という特徴。

会話の中での「聞く」と「話す」はどちらも、集中して取り組む状況に追い込まれ、自分の聴解力と発話力が辛辣に評価される場だと言える。さらに、「聞く」であればインプット理解が生じやすく、「話す」であれば自分事の意味行為であり、どちらも新たな語彙や表現の習得に繋がりやすい。

これは、語学向上のためにどういう機会があるか?という視点で考えたものだ。会話から、語学力向上させようと思っていないと見出すことはできない。逆に、これらを意識しながら会話に臨むとどんどん会話が上達するだろう。

特に「痛烈なフィードバック」というのは大きい。自分がこれまで身につけてきたものの合否判定だ。あわよくば、不合格だった場合に何がいけなかったかを教えてもらい、正解を自分のものにしてしまおう。

是非、フィリピン英会話などで闇雲に毎日会話量ばかりとって伸び悩んでいる人、一度考えてみよう。まずはこの場に立つ前にやるべきことがあるのでは?





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