川端 康夫(アクティブビジョン株式会社 代表取締役)

アクティブビジョン(株) 代表取締役。大手企業とスタートアップ双方の事業創造・成長のサ…

川端 康夫(アクティブビジョン株式会社 代表取締役)

アクティブビジョン(株) 代表取締役。大手企業とスタートアップ双方の事業創造・成長のサポートを手がけ、短期的な戦略コンサルティングの後に必要となる、地味な伴走型の戦術コンサルティングを手がける。 http://www.aktivevision.com  tw:@yasuok10

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

最近の記事

政治資金問題と半世紀前の出来事

自民党の政治資金問題が、昨年末頃から毎日ニュースに取り上げられている。 先にお断りしておくと、当然のことながら、私はこうした不透明な政治資金の流れは、その党派を問わず、良しとする立場ではない。 ただ、報道の内容や、国会での野党による与党自民党への追求には、本質をついていない違和感を感じざるを得ない。その理由は、政治資金が何に使われ、誰が手にしているのか、なぜそういう事態が起こるのか、という点について、誰も触れようとしていない、と感じるからだ。 これに関して思い出されるの

    • 日本人相手のビジネスの、終わりの始まり

      少し前であるが イトーヨーカドーが一部の地域から 店舗を撤退するということが ニュースになっていた。 イトーヨーカドーにとっては経営的に見て、北海道・東北・信越は採算が合わない地域になっている、ということになる。もちろん、イオンは違う戦略を取って店舗網を維持しているので、一般論として採算が合わないとは言えない。ただ、それも今後はどうなるのか、という点は気にかかる。 日本の人口が減り続けているのであるから、こうした判断は経営的に見れば 妥当なものであると言えるだろうし、今

      • 新NISAが促すかもしれない起業文化の醸成

        1月からいよいよ新NISA 制度が始まる。 資産運用立国という掛け声のものと、個人の資産形成を促すことによって年金に依存する傾向を軽減したいという国の意向もあると思うが、実は起業や スタートアップの育成環境整備という観点でも、この新しいNISA制度の拡充は大きな効用を持つのではないかと期待している。 新NISAに期待する効用1:起業に踏切りやすくなるお金の裏付けを作る 1つは新NISAなどを活用して資産形成をすることによって、一定の資産の裏付けができることにより、起業に

        • 「安いことが価値」であるビジネスの終焉

          格安航空会社のジェットスタージャパンの労働組合がストライキに入っている。 もともと、報道されている限りでもこの夏頃から会社と労働組合側で時間外賃金の支払いなどをめぐり 労使交渉が続いていたことが報じられているが、その進展がなかったために予定外勤務の拒否に続いて、とうとう指名ストライキに入っているということだ。 年末年始という航空業界にとって繁忙期にストライキに入ることに結果的になってしまったが、突然この時期にストライキが起きたというよりは、これまで長く労使交渉が続いて

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        • 「人生後半戦」の泳ぎ方
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        記事

          お金の話と人手不足の話はつながっている

          お金の話は難しい。 なぜ難しいのだろうかと考えると、過去の高度成長期であれば、日本経済は右肩上がりに伸びており、家を買っても地価が上がっていた背景があって、しばらく住んでも買った以上の値段で売れた。また定期預金の利率が5%を超えるなど、現在の株式投資の一般的なリターンと同じかそれ以上の預金金利だったため、リスクをとって投資しなくても銀行に預けておけば安全かつ確実に資産は増えていった。 しかし、現在はそうではない。 日本は人口が減り始めており、それに伴って 経済の規模は縮小す

          お金の話と人手不足の話はつながっている

          変化する上場の意義は、日本にユニコーンを生み出すか

          このところ日本の有名企業を筆頭に上場廃止に向けてMBOを目指す動きが目立ち始めている。大正製薬などはその典型と言えるだろう。この他にも ベネッセなどがMBO を目指すことを発表している。 こうした背景には東証が上場の基準についての見解を厳しくし、PBR1倍割れの企業に対してはその是正を促すといった、 本来、上場企業としてあるべき姿を強く求めるようになってきていることがあるのだろう。 これに伴って生まれてきたのが、この MBO という流れだと考えられる。つまり、公開企業であ

          変化する上場の意義は、日本にユニコーンを生み出すか

          ニューではなくなりつつある「ニューノーマル」

          「ニューノーマル」という言葉(日本では「新常態」という訳が充てられている)は、一般的にはコロナ後の様々な社会の変化について言われることが多いように感じるが、実はさほど新しい言葉ではない。 私自身も、この言葉を明確に意識したのはニューノーマルをテーマにした2015年の講演会にスピーカーとしてお呼び頂いた頃からであると記憶しているので、もう8年前のことだ。コロナだけでなく、コロナの前から世の中は大きく変化しつつあり、それを 「ニューノーマル」 という言葉でくくることはもうずいぶん

          ニューではなくなりつつある「ニューノーマル」

          ライドシェアをめぐる2つの懸念~地方も海外も知らない人たちが議論していないか~

          ここに来てにわかに日本国内でライドシェアを巡る議論が活発になってきた。 岸田首相がライドシェアの導入に対して前向きな発言をしており、これを巡って様々な議論が(ようやくと言って良いかもしれないが)日本でも起きつつある。 私自身は2013年に英国発のライセンス(正規)タクシーの配車サービスHailo(現在のFreenowの前身)の日本法人の COO を務めた経緯がある。このため、少なくても当時の日本のタクシー業界の状況についてはある程度知っている立場である。こうした経験も踏ま

          ライドシェアをめぐる2つの懸念~地方も海外も知らない人たちが議論していないか~

          動機・パッション・ミッションの重要性:リソースを持たざる起業の強み

          仕事柄、様々な事業について、その苦労やあるいは事業を始めることの難しさといった話題に接する機会も少なくない。こうした際に、様々なリソースの不足が一つのハードルとして挙げられる。資金はもとより、人材やスキル、知識、さらには文化や土地柄といったものまで、事業におけるキーとなるリソースは幅広い。 一方で、リソースを持つがゆえにうまくいかないのではないか、と思うこともある。特に一定の経験を積んだ人、スタートアップであればいわゆるシニア起業と呼ばれるような若い人ではない起業家のスター

          動機・パッション・ミッションの重要性:リソースを持たざる起業の強み

          海外に顧客を持たないと、日本のビジネスの成長はいよいよ難しい

          久しぶりにヨーロッパに滞在して感じるのは、物価の上昇とそれに追い打ちをかける円安である。 日本のレベル以下の設備の現地のビジネスホテルの1泊が2万円以上という現状を見ると、おいそれと日本人が海外に出ることは難しくなっていると感じる。ホテル代だけを見ると日本の2~3倍という感覚だ。現に、日本の航空会社を利用して欧州との間を往復したが、ほぼ満席の機内で、乗客のうち日本人は2割にも満たないほどであり、8割がた外国人という状況は、これまでに経験のない光景でありとても不思議な感じが

          海外に顧客を持たないと、日本のビジネスの成長はいよいよ難しい

          「人手不足」と言いながら、旧態依然とした求人や仕事の発注が横行している日本の現実

          先日も人手不足について思うところがあったのでCOMEMOに書いたのだが、その後にいくつか経験して思うところがあったので、追記的に書いておきたい。 私自身はいわゆるポートフォリオ・ワークというのだろうか、自分の仕事のメイン(本業)とサブ(副業)ということを考えず、自分の興味の持てる仕事であれば取り組むし、公募されているものに応募することもある。 先日たまたま見たIndeedで面白そうな仕事があったので応募してみた。いわゆるアルバイトの応募である。 オンラインでの応募を

          「人手不足」と言いながら、旧態依然とした求人や仕事の発注が横行している日本の現実

          客としてではなく、自分の能力を補い、拡張してもらうためにお金を払う

          仕事のポリシーは何かと問われて、実はパッと言葉に出来ない自分に気がついた。 改めて、どんなことを自分の仕事のポリシーとしてきただろうと考えると、仕事の上で自分の後輩を持つようになってから、「仕事の 川上と川下をよく見て、自分の果たすべき役割を考えることが大切」という話をしていたことを思い出す。 自分のやっている仕事は、その前に誰かが何かをやったことを受け取って、そこに自分が何かを付け加え、次の人に渡していくことになる。例えば、トマトを作るのであれば、まず、苗を買ってくる。

          客としてではなく、自分の能力を補い、拡張してもらうためにお金を払う

          ビッグモーター事件と人口減の関係、 そして独自性がなければ生き残れない日本の企業・自治体の未来

          ビッグモーター社が不正に自動車保険金を請求し、その被害者であるはずの損保業界も関与していたのではないか、という事件が連日報道されている。 様々な角度から報じられているが、これらの記事が触れていないことの1つが、日本の人口減少及び高齢化にあると思われる。 そもそも人口が減っていることに加え、 高齢者ドライバーの交通事故が相次ぐこともあり、高齢者の免許返納を促し、クルマを使わないようにという世論が形成されつつあり、道交法も改正された。 こうした人口減及びドライバーの減少と、

          ビッグモーター事件と人口減の関係、 そして独自性がなければ生き残れない日本の企業・自治体の未来

          人材募集をする前に、まず人手不足対策のグランドデザインを描こう

          日本の人手不足 がいよいよ待ったなしになってきている。 これまで限定的にしか就職が認められていなかった専門学校の外国人留学生に対して就職の門戸を広くする方針になるのだという。 これに限らず不足する人手をなんとか人力で補おうという対応策が目立つ。様々な報道を見ていても、○○分野の人材を何年までに△△人に増やす、と言った対応策を取ろうとしているケースが大半ではないだろうか。 例えばサービス業に関しては、日本流のおもてなしを維持するためには人でなければいけない、という暗

          人材募集をする前に、まず人手不足対策のグランドデザインを描こう

          お金の役割を改めてアフリカで考える ~タンザニアと日本の地方を結ぶもの~

          久しぶりにアフリカに戻ってきている。新型コロナウイルスによる入国制限が厳しかったケニアでも規制が緩み、日本の出入国も5月以降はほぼコロナ前と同様になった。日本から飛行機を乗り継いで来たが、いずれのフライトも満席に近い乗客がいて、世界中で人が動き始めていることを実感する。 私のアフリカ渡航も各国合計すればそろそろ10回を数える中で、少しずつ 現地の経済状況への理解も深まってきているが、その中で今回改めて考えているのがお金の役割である。 もちろん言うまでもなく、どこの国

          お金の役割を改めてアフリカで考える ~タンザニアと日本の地方を結ぶもの~

          Computexに見る米中デカップリングないしデリスキングの現状と、今後の日本が取るべき方策を考える

          5月末から6月初頭にかけて開催された台北でのComputex2023に参加してきた。コロナ前の2019年以来実に4年ぶりとなる参加で、来場者もコロナ前を上回る規模に復活したようで大変活況であった。 ホールを一巡りして感じたのは、ずいぶんスッキリとし、洗練された印象になったな、ということであった。その原因を考えてみると、実は今年は中国からの出展がほぼゼロであったことがその理由の一つであったと思う。 コロナ前までであれば、ホールの壁際に両岸経済交流を掲げて中国の中小企業がた

          Computexに見る米中デカップリングないしデリスキングの現状と、今後の日本が取るべき方策を考える