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パンチの不祥事 後編

中学の部活のことを書いている。
最終学年の3年になった。僕にとって2度目になる部活紹介は、

「コントで笑いをとる」

幼なじみの顔を墨汁で真っ黒にお化粧して、カールルイスにしたてた。さらに副キャプテンと即席の競走をさせて、

「あなたもカールルイスに勝ちたかったら、陸上部へどうぞ!」

と紹介して会場を沸かせた。その効果もあったのか、新入生がなんと30人も入ってきた。

当初5人で始まった陸上部は総勢50人を超える大所帯になった。それから数年後だが、この陸上部は総体で総合優勝をはたすことになる。


パンチパーマがトレードマークで、みんなからパンチと呼ばれる先生がいた。

徳島駅伝の監督で僕は中学1年の頃に出合ったのだが、隣の中学校で不祥事を起こし、その当時は役場の中にある教育委員会にいた。

僕はそのパンチ先生を訪ねて

「県総体の3000m走で優勝したいので教えてほしい」

と頼み込んだ。彼はそれを受け入れてくれて、放課後になるとグランドに立ちストップウォッチを押してくれた。

町で唯一陸上競技の専門知識を持つ彼の教え方は上手かった。

6月の県大会で2位。そして7月の県総体ではついに優勝した。8月の四国総体は3位であった。

僕の自慢話はここまで。ここからはパンチの不祥事について書こうと思う。

長髪化問題というのが、当時この辺りの中学生にとって、トレンドになっていた。

男子生徒は全員丸坊主という校則があった。しかし、隣町の中学校はこれを廃止し髪を自由に伸ばすことを選択したのであった。

田舎の中学生あるあるだが、丸坊主の男子に

「今日から髪型を自由にどうぞ」

といきなり言われても時として迷ってしまう。

校則が長髪化となり2ヶ月が経った頃、一人のやんちゃな生徒が、あろうことかパンチパーマをかけて登校して来た。

当時の体育主任であり、生活指導も任されていたパンチは、中学2年にして自分と同じ髪型をした、その生徒に説教をする。

「お前には、まだ早い、早すぎる・・・」

ごもっともな意見だと思う。ついでにゲンコツを1発くらわした。しかし、それがやんちゃな生徒は気に入らなかった。

パンチが命の次に大事にしている、愛車のベンツになんと10円玉でキズを入れたのだ。

これに激怒したパンチは、体育教官室にその生徒を閉じ込めた。そして放課後、バリカンで彼のパンチパーマを丸坊主にしてやった。

この一連の出来事をその生徒の親か親戚が徳島新聞にタレ込み、後日、大きな記事になってしまった。それが原因でパンチは教育委員会に更迭されることになる。

ちなみに僕はその半年後に教育委員会にいる彼を訪ねるのだが、そこで出会ったパンチ先生の髪型は丸坊主であった。


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