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供養してさしあげます❗️ させろ❗️

【未完の雑記や詩や短編の寄せ集め】



【作品を見る眼について】

谷崎潤一郎の『文章読本』内で名文とされる例を以前に読んだが……読んだのだが……

正直ちょっとわかんなかったですね
なんか蜂さんを使って寂寥感を表した文でした
まぁ、完全に客観的に誰が見ても――のような文章は存在しないでしょう

こないだ見たnoteでの詩
これが素朴で素晴らしかったのだ

内容としちゃあ
『おとーさん おかーさん いつもありがとう』レベルの詩なのだが……真似できねぇなぁ

まぁできるよ❓
白々しさをビシバシ自覚しながら❗️
私みたいな はねっ毛な子(?)は 身の回りの事に底から感謝なんざしてねぇんだよ つまりウソになる

『どう思ってるの?』
と よく聞かれる その答えは――
『よくわかんないですね٩( ᐛ )و』 でし

特定の気持ちに 不変不動普遍なる言葉――を私が発見したとする……バカのひとつおぼえの始まりだ

『こうすれば名文です❗️』に対し
私はなんの言葉も持ち合わせていない
説明フカノー

だって気分もあるじゃん‼️

二日酔いでお腹を下しながら頭痛に苛まれながらナゾの男に刃物を突き立てられながら見るモナリザは美しいか?

その『名文』たるモノを
生涯に一度しか見るチャンスがないとして
もし二日酔いだったら……

世界への『👁』も それと一緒かなぁ
気分 環境 認知の歪み具合もろもろ

宇宙▶︎地球▶︎国▶︎民族▶︎共同体a.b.c...▶︎家族▶︎個

かといって 事前に『名作』だと知ってて
ビシッと集中して ギラギラ眺める
これもなんだかなぁ……

注文多いよなぁ私 鬱陶しいねぇ
まあ巡り合わせ的なヤツだなぁ全ては



【感覚と理屈】

気持ちを先行させすぎるより、なんつーか……

『スキ キライ』という二極化を用意――を前提に絵を描くとする

『線や面や色』を適宜配置してゆく
既に全体像が見えた上で描くのは 違うな

それは私の嫌う『答えありきの文』と同等だ
ならば絵の場合も

『自分が今から何を描くかわからない』

という状態で挑むのが理想か

文を重ねていて
『なんか意に沿わないな……』
と 漠然と察知することがある――の場合消す

肉体が『頭いたいヨー』と発しているのに
『元気です‼️』と書いたらソレはウソ
わざわざ時間を割いてウソを書くなど愚

『審美眼』は常に磨くべきだろう
自分の描いた絵であれ
他人の絵であれ
直感任せでいいから『スキ♥️』を集めておく

なんかの本で見たが いかなる道の者であろうと一流とされる人は

『本一冊ぐらい安易と書ける知識量と情熱を備えている』とあった

芸術 スポーツ 格闘技 音楽 もうなんでも
言い換えれば 漠然とした『感覚』のみでは本当の一流の道には辿り着けない

言葉により理屈の説明が本人にできなければ
ならば非言語的な『絵』であっても
描いた本人は『理屈』を説明できる……?



【合理と情】

人が【情】で動いてるかどうかなんて、判別できるだろうか。

『はい。あなたにお菓子を買って帰ったのは、他でもない【情】の働きでございます』

……

お菓子を買い与え、食べる姿を想像し、それを見て喜ぶ自分を想像する――のでお菓子を買うこれは【情】なのだろうか。

それとも一連の期待を含む流れを想定した合理的判断なのだろうか。意識しなくともお菓子を買う

この場合単に自分が食べたいだけか、他人が喜んだ【経験】があり、それをいちいち思いださなくとも無意識にお菓子に手を伸ばし……あるいは【自分が美味しいと思ったから他人もきっと嬉しいだろう】という期待か。

『他人を喜ばせる』を意識してやった場合

これは情なのか合理的判断なのか
はたまた見返りを期待しているのか
純粋な【情】とはなんだろう

バレなければ、純粋でなくともいい❓情と愛は似ている?
無性に果物の酸味を身体が求める時がある
もちろん、食べれば満足する
普段の数倍の量を一気に放り込む
求めるから得る 合理的だ
『心のあたたかみ』――のようなモノが情❓他人の『あたたか具合』はわからない

胸のあたたかさは、自分だけ感知できる
なにが『あたたかい』かは、人それぞれ

常に『自分の胸をあたたかくしたい』が念頭に❓
他人がいくら『胸があたたかくなった』
と宣言しても わからない

けど やっぱり嬉しい



【ナゾ散文】

A4のペラペラ用紙に鉛筆で短い横線を描く

これが【創作】か否か

私は創作であると思う
もちろん、生きること自体も

それを一週間なり十年なり繰り返す
ひたすらに短い横線を一本だけ描く生活

他人が結果だけ見れば、愚かな反復行為か

私はそうは思わない
その毎日の中に、複雑な意思決定が
あるように思うからだ

◆真剣に描く日もあれば惰性混じりや病気を押して描いたり身内の不幸にも負けず実直にキメゴトを繰り返す意思◆

ある日から機械を作成
ピタゴラスイッチのように紆余曲折を経て
結局ただの横線を描くだけの装置
コレを作ったとしよう

機械の存在を知らない他人から見れば
やはり愚かな一本線
見る価値すら見出せないだろう

が、描いた当人からすれば
その機械を作った労苦
それ自体が経験になり思考を変容させる

そして機械任せになり
線を描く意義を失う
これは不幸か?

金輪際線を描かないのなら
創作者としては不幸で無価値だろう

が、やがて立ち上がり
機械を停止させ
……機械の処分に困り果てる

あまりに大掛かりな機械なので
もはや分解もかなわない
できたとしても、一生を捧げる覚悟が必要だ

それが不合理に思うのなら
『機械がある』と認知した上で
再び自らの【手】で描くしかない

その時に描かれる一本線は
機械作成前と同質のモノだろうか

他人から見れば、やはり一緒
でも、当人から見れば
あるいは
機械を知る他人が見れば

『その短い一本線』は

他人の目というのは
『その短い一本線自体』よりも
それが描かれるまでの物語そのもの

あるいは思考の形跡

こちらをお望みではなかろうか



【詩】躾

好きなだけ躾けてください
枯れた【👁】で
あなたを睨み続けます
間違いに気づく その日まで

拘束してください
不自由なる者を差し置き
自由を享受する矛盾
磨きぬかれた🪞ですら
あなたを

力いっぱい叩いて
はい そうです
その全てを発散できないのなら
ただ繰り返すだけ
昇る太陽が 傷を映す
滲む【🟥】が 告げる白日

沈めてください
汚れた私を拭うのは
風でも 光でも
痛みも 懺悔も
値しない
湖の底に眠る💎
その可能性すらあなたは



【詩】ネレイド・ティア二ュソス(意味不明)

    ⚜️饗宴聖杯⚜️
    コン濁ティアー   🍸
          💧
          💧
      ――人類創酩酊――ってアレ❓
        効果ゼロ﹆――か
               しぃなぁ❓
       フラジャイリィな人々諸君❓
       ふ
       フ そっかそっかわかったよ

       ⍍循環排泄浄化機能⍍

      濃度⤴️点ポリティカル
         な☁️き な☁️き
          💧   💧
         足りてないから
      なけなし知能〜みゅうじ
            みゅうじっ♫⤴︎

      あ・い・そ も ナシで♪
      キ・ラ・キッラ ひかる♩✨
      トウ突・ボー然 黒海射
                ない⁉️
     ⤵︎ ある『キッソス』
        びっくり 鬱らない
               い
                のなら

もう❗️ もう❗️



【ナゾ短編】ぱーてぃエブバディ🎀

『あっ 上がってー どうぞー』

だぁれもよく知らないけど知り合いの知り合いかすら定かでない人々を易々と家に招き入れた。人生時にはこんな大胆な不適さが必要で、友達ほしくて毎日枕を抱きしめて涙を流すのはやだくて、仕方なくて、SNSで呼びかけて、パーティで。

おじゃましまーす
うおっ 広っ
コレこっち置いとくー?
あっ トイレ借りるで
●☆〒さん 遅れてくるって
結構眺めいいじゃん

うん賑やか うん楽しそう

『あ――

お酒あるん?
みてコレ  変なのあんじゃん
彼氏おるんw?
ちょっとレンジ使うで
あんま慣れてないかんじw?
あんさー さっきバイトの時さぁ

わっ 友達がいっぱいって こんななんだ


『あっ 好きにっ くつろいで くださいっ❗️』

一瞬複数人の視線を浴びたけどスグにそれぞれが喧騒で、瞬く間に、狭くて、イヤだったし、タバコも……

(未完)


【短編】正義のフリー弁護士

『なぜだ? 穏便で法に基づいた解決を望むのではないのか? わざわざボランティアで来てやったのに』

『哀れな現代のドン・キホーテよ。どうかお引き取りください。我々が望むのは、もつれ、積み重なった問題に対する感情的な和解。ここに法が滑り込む余地はありません』

『しかしだな、優れた者どもが築きあげた法を拒絶することこそ、私は腑に落ちない』

『機械的な解決がなされたとしても、両者の間に発生した冷たい溝には、北風と太陽すらもそっぽを向くでしょうね』

『法の作者は非・人間であると言いたいのかね? そのような考えこそが――』

『もう結構です! 帰ってください!』

『それみたことか。キミのような感情的な人間で溢れればどうなる? どうあれ、いずれ法は作られ、適用される。なら早い方がいい』

『あなたには感情がないのですか?』

『あるとも。法という剣を振るう使命感が』

『どうか鞘におさめ、お帰りください』

『いや、見届けたくなった。キミ達が、感情の力でその仲違いを修復し、円満の笑顔を獲得する瞬間を』

(未完)


【短編】『うおぉおお❗️』姫はこの【聖騎士】マジメ・イッテツが護るっ❗️⚔

辺境国『レガンシア』
他国との交易を徹底的に避け、街の男達が都市のまわりを徹底的に掘りあげ、巨大な溝を穿ち敵の侵入を阻み、女達は頑丈さに徹底した有刺鉄線をドーム状に展開、空からの敵、砲弾、ドラゴンの侵入をも防ぎ――魔法に関しても爺達が徹底し防御魔法陣を展開、更に勝手に他国へ侵攻し、未来の外敵を徹底排除。

そんなこの国で生まれ、遠い国のイカれた魔導師の遠隔洗脳魔法を受信し続け生粋のスパイと化した男『マジメ・イッテツ』。
魔導師の目的はレガンシア崩壊。彼は家族をあの国の討伐遠征隊に惨殺され確かなる恨みを持ち続け、尚且つ難攻不落誇る鉄壁に光明見出せずヤキモキしていた。そこでこの遠隔洗脳を思いついたのだ。魔法防壁により威力は弱まるが、時間をかけ徹底して彼を洗脳した。

【イッテツ 登場】
『やあ軍の衆! 今日も姫の身の安全は確保されているかな!? 困るなぁ彼女に何かあっては! ゆくゆくはこの黄金騎士イッテツが姫を貰い受け、国の転覆を達成するのだから!』

(未完)



【短編】太陽崇拝死刑

死刑執行の合図はよく磨かれた鈍色のいぶし銀の

ギロチン ❗️

ta-daーー‼︎ ⭐️   ✨⚪︎〜◉ 、🌙

ともあれ霜雪の少女トゥア・ウラルは早朝の役目を終え、断首のための服を縫い、おおきなバケツを持って森の湧き水を汲みにいきました。清めの水は効率よく首の血を凝固させます。
『やあ』
『だれ⁉️』
明らかに集落の人間でない人が風変わりな帽子と、動きにくそうな衣服。
『なんしょんね?』
『部族のモノじゃない人におしえる筋合いはありませんし』
『はっは、難しい言葉を知ってるね。今日は誰が死ぬんだい?』

『おかしなコトを言いますね。太陽の傾きが最上を示して、塔の影が消えるとき、たましいは問題なく天にかっ飛び、死は免れます』
『でも君は親友と二度とお話しできないだろうね』
『それが❓ 太陽に背けば集落での立場は危ぶまれますし、他に術はございません』

ウラルは掟に従い、その見事な白髪を切り取り木の枝に結びつけた。あとおじさんはついてきた。

『あっ‼︎』 『おいっ❕』 『……貴様!』
皆がおじさんに驚愕の声のシルシを投げかけていた。ウラルは焦りと、執行の予定を同時に気にしながらバケツの取手をつよく握りしめた。

『ルシィルよ! 貴様はまた禁忌を犯そうというのか!』

『いや? 3度目だな』

ある者は喉を押さえ倒れ、ある者は全身を掻きむしりながら嘔吐した。

(未完)



【短編】窓辺の少女🪟

夜に徘徊すると誰かが窓辺で都合よく着替えているかもしれないと思い立ったが吉日。清五郎は矢も盾も蹴り飛ばし素早くジャケットを羽織り錆びついたチェーンを機能させるべくペダルを一心不乱に踏んだ。

こんな田舎のこの時間では蛍光タスキを肩に掛けた老夫婦すら歩いておらず、まばらな街灯が明滅と虫の収集に躍起になりやがて不愉快に感じ目を背けようとしたが、珍しくナナフシが居たのでしげしげと眺めていた。

自販機で季節外れのビタミンドリンクもどきを買い、ふと耳に届いた波の不規則なリズムの原因は先程通った正体不明の船だと悟る。いかに波が強く打ち付けようとも堤防はビクともしないと勝手な確信を抱くが、やがて星霜を経るごとに大掛かりな補修工事が待ち構えていることだろう。

コンビニを通りすがると車から出てきた黒い作業着を身につけた男がドアーをくぐっていったが、清五郎は特に用事がないので視線を前に戻し住宅地を目指した。
ことに静かだった。寂寞がぴったりな形容だった。時々明かりから漏れる子どもの笑い声がより一層ソレを引き立たせた。

すっかり息を切らし僅かながらに汗もかいていた。自身の呼吸が収まるに伴い、再び静寂が訪れた。この住宅地に知り合いは居ない。だからこそだ。それにしても坂が多く、やがて自転車から降り押して歩いた。
友人から突然電話がきて応じたが、何をしているかと聞かれ口籠るが、『ああ、まぁね』と曖昧な返事をし通話を終えポケットにしまった。

残り少ないドリンクを飲み干した瞬間どこかしらの番犬に威嚇され慌ててペダルを漕いだ。やがて駄犬は諦め、用水路の水音が辺りを包んだ。

振り返ると角地に屹立した一軒家の二階の窓に物憂げに頬杖をつき、どこにも視点を投げていない同年代の少女が在った。彼女はやがて眼が慣れてきたのか此方をぼんやりと向き瞼を細めた。
清五郎は逡巡するがの如く歩き回り、時々自転車の修理をするフリをしながら少女を気にした。

窓から彼女は消えていた。次第に玄関ドアーが開きそれと同時に潰れた呑んだくれの怒号が響く。清五郎は慌てふためきつつも、素早くメモ用紙に自分の電話番号を書き記し、足元にあった小石にぐしゃりつけ窓に放った。

そこからは無我夢中だった。脱兎に勝るとも劣らずの勢いで自転車を走らせ、縁石ブロックがタイヤを掠める衝撃が頭蓋骨になんどもなんども打ち付けた。
その最中にパトロールカーとすれ違ったが見やる余裕もなく後悔と胸の高鳴りに身を委ねた。

誰にも悟られぬよう自室に戻り、眠れぬ夜を明かすとけたたましいイエデンの音に不機嫌な母が応対した。ふたこと目に母は声を潜め、やはり清五郎は家を飛び出し学校へと向かった。

(未完)



【短編】うどん

妻と二人でうどんを食べに行く事となり、小躍りを繰り出した。小さな微笑みの積み重ねが被膜となり夫婦生活を円満たらしめる。

始動と共に直ぐに動ける車のエンジンは誠に優秀だ。見習いたい所だが、人間である以上そうはいかない。

思えば外食など久しぶりだ。ところで私の頭がおかしくなってもう10年か。根気と愛は大抵の事を覆すと身をもって痛感しているものだ。病み苛む孤独は日常の全てに暗い影を落とし、逃れ難い侵食者となる。おっと、件のうどん屋が見えてきた。

人間を人間たらしめる要素は? Aという人物が居る。まず彼の右人差し指を切り落とすと、指が一本減ったAが完成した。証拠もあるしこの人差し指がAに属していることは間違いない。両腕を切り落とすと問題なくAが残った。なかなかにしぶとい。次に両足を根本から切り落とすとAが居た。真っ直ぐな瞳が意志を表明している。胴体を真ん中から横に切断すると流石に沈黙した。もう意志の発信は無い。……となると人間一人では人間だと証明できない? 第三者の観測が必要なのか。しかし生まれつき隔離されガラスに閉じ込められコミュニケーションが取れないがお互いの姿が見えるBとCが居た場合は? 彼らはガラスの向こう側の生物を何と認識するか。思考の材料が言語だとして、それすら取り上げられた場合は。興味が尽きない。……だがそのような実験をしたとして結果をどう観察すればいいのか。行動から最もらしい答えを揉み繰り出すしかないか……。ふーむ悩ましい。

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか」
何だこの香りは。ああ、出汁のソレか。うどんは喉越しが大事なのだ。ラーメン等の細麺と比較し、直径の重要さを思い知らされる。まとまった熱量を内包した太い麺が喉を通り食道を通過する。そこに魅力があるワケだ。

「君〜がぁ〜」
「はい」
「世ぉ〜はぁ〜」
「かしこまりました」

滞りなく注文が完了した。可能な限りを尽くし慇懃に努めた。シーリングファンを見上げながら続きを歌っていると、うどんの乗せられたお盆が眼前へ。
「とある田舎出身の作曲家が言った、『モツあるど』と」
「肉うどんでよかったの?」口を開いた妻を勢いよく手で制し、これまた勢いよくうどんを啜り始めた。視界にぼんやりと映る左手の存在を感知しながら意識が滑るようにシフトした。

【10年前】
海岸の岩場から太平洋を望む。栄達を願い奔走する人生に疲弊、辟易し僻地へと身を寄越した。打ち付ける荒波と吹き荒ぶ潮風が精神を萎縮、及び解放した。

振り返ると眉をひそめた女性が立っており、その理由を尋ねると風の強さ故、とのこと。本当にそうなのか? 私に漂う死の予感を察知し、止めに来たのではなかろうか。彼女はプシュケーへの配慮が足りないなどと意味不明な言葉を放った。マイナスとマイナスを掛けるとどうなるかは説明するまでもない、つまりそういう事だ。

車内に戻ると、不自然に湧き立つ香水の香りが鼻につき詰問する。
「死にゆく者の香水」
「あなたは服を着てる」
なるほど確かに。日常のルーティンからは逃れ難く、せっせと履行をする。死という重罪と軽犯罪は同じ秤にかけられないか。

私たちは海岸沿いに立ち並ぶ工場の一つに接近し、看板を見上げた。
『新田製麺工場』か。古くありつつも稼働しているようなので訪問した。未来の妻の制止を振り切り。
「ごめんくださいますね」
「はあ、何か御用でしょうか」

職員と思しきくたびれた中年男性が不躾な対応をした。かような男から好物の麺が生み出されている事実に怒りを覚え注意する事にした。
「君が麺に込めし信念は」油ぎった顔の彼は社長でも呼びに行ったのか奥に引っ込んだ。暫くすると辞表を携え戻ってきた。

「おかげで目が覚めたよ、さながらに」唐突に仲人のような気分になった私は女に提案した。
「君、彼と結婚したまえよ」

【10年前の2年後 居酒屋にて】

「やぁよ! 何べん言わせるのだわさ!」
「お似合いだと思うよいかにも」
かつてうどん職員だった彼は縮こまり俯いていた。思えばこの頃の妻は粗暴で口が悪く不躾で野蛮だったな。懐かしき思い出に浸りつつもこの時私は激烈に気がかりを抱えており、すなわち店の端の天井付近にあるメニュー『いぶかしき漬物』を注文したくてウズウズしていた。

(未完)



【短編】児童向け恋愛小説(仮)

「こ、これは……なんと美しい……」

荒涼とした山岳地帯で『ソレ』は見つかった。砂時計のように流れる土くれがたまたま視界に収まり、3週間汗水たらして掘り当てた。

一体誰の手で——いや、『ソレ』の専門家であった彼はいてもたってもいられなくなり、自身の研究所に持ち帰る。その慌てふためき様を見た助手はすかさず彼の胸ぐらを掴みにかかった。

「博士ェ、えらいご機嫌じゃァないですか」
「監視は?」
「居ませんでしたよ。ソんで、ブツの方は?」
「格納庫に置いてきた。見よ、この手の震えを……あと猛烈にトイレに行きたいのだ(彼はワクワクすると便意を催すのである)」
「なら行ケばいいでしょう!?!?」
「おーこわ……」

実験室には様々な『ソレ』が並んでおり、博士が慣れた手付きで接続を開始した。

「見よ、今までにない反応だ」
「こりゃァ期待できますねぇ、博士」
「やはり女性の……ワシの勘はよく当たるのだ」
「気持ち悪ィ特技ですよホント」
「紅茶を頼む。例の棚のヤツだ。——それと」
「わかってマすよ。フフ、長引きますねェコレは」ボタンポチっ

    ————Program start————

…………あれ? 朝? ずっと長い間……?

そういえば……あの人は————【こんにちは! 私は日向ヒカリ! どこにでも居るフツーの女子中学生! いやぁ全く、相変わらずお母さんはうるさいし遅刻はするわで、今日もドタバタした日常が始まる予感! それとステキな恋も!】

……そうだった。私はこれから徒歩3キロの場所にあるガッコウに通うのだった。急がなきゃ。
爽やかな天気の中、皮肉にも私は全力で走っていた。

このままペースを落とさなければ◎△$♪×¥●&%#?!【ようヒカリ、お前も遅刻か!?】
幼馴染のケイが並走してきた。彼もおっちょこちょいで私より背が高くて優しくて、何でも知ってて気が利くし辛い時は寄り添ってくれる……そんな所が好き。

「急ごっ!」
「ああ、負けないぜ!」

教室と席に着く。ようやく一息か。
「全く騒がしいな。勉学の場においてキミのような存在は思考を乱すノイズでしかない」
「そりゃどうも。で、そんな私に婚約を申し込んだのは誰だっけ?」
 学校イチの秀才ジュンだ。不勉強な私に教えてゆく過程で好きになったらしい。ま、それはそれとして日常の一端をお見せしよう。

「ヒカリ、大会が近いんだ。是非その運動能力を一時的に貸してくれ!」
「私たちは言うまでもなく女性同士ですわ。でも、時代考証的観点から見てそれが何だというのでしょう」
「(教室の窓に男の顔が現れる)おっと、他校にも関わらず君を観察しに来てしまった。全くもってその美しさは距離の概念をくつがえす」
「ヒカリ殿……拙者は貴様の命を狙う不届き者……しかしだな……」
「全能の逆説について考えてきた。やはり神は——」
「おいヒカリ、放課後ツラかせや。そ、その……話があっからよ……」
「ヒカリ様、けんらん豪華な朝食を持って馳せ参じましたよ。下衆な愚民など無視して摂取のほどを」
「ハイちょっと待った。今日はウチと駄菓子屋フルコンプパーティーすんだよね?」

皆が私を気にかける。愛してくれる……でもどうして、本気になれないんだろう。まるで全てが初めから用意されてるかのような、違和感が——ツラくて、苦しくて、何かが叫んでる。私の心の奥のどこかで。

『やはり、このままでは……』
『不純な合成物があるからでしョう?』
『しかし知識を与えない事には成り立たない。彼女はあまりに純粋なのだ』
『博士の夢さァ、やっぱりバカげてマスよ』

いや、かつての私もあらゆる物が既に用意され、名前が付けられ、勿論言葉もあって、その認識に囲まれて生きていたハズ……今更その原風景に戻ってやり直したところで。それならば今の植え付けられた『私』を受け入れて健気に生きた方が——

『博士、このままじゃァ』
『ふむ、繰り返しだな。となると……』
『アレをヤりますか』

「…………!」

アナタタチは誰ですか。私……ニンゲンとそっくりですけど、随分と……。
『一体彼女はいつの時代の人間だったのだ』
『デすねェ、もしもーし、聞こえますかァ?』
アナタは……ヘビですか? ああ、どうしてマブタを閉じても姿が見えるのでしょう。そちらの方は、何だか神様にそっくりですね。
『ワシが神に見えるか! こりゃ傑作だ!』
私の住んでる所にも物知りなヘビが居るんですよ。神様はあまり近づくなっておっしゃりますが。

『……』
『…………』
あの、私何か変なコト……。
『質問だが、君の名前は?』

イヴと申します。もう1人仲良しさんが居て、名前は————

【気の遠くなる程の昔】

「アダムー! 暇そうだねぇ、いっちょ果樹園フルコンプパーティーでもしますか!」
「ふん、あいにく僕はコイツの名付けで忙しいんだ。……カヒ、カチ、いや、カニにしよう!」
「そんなんどーでもいいからさぁ、お腹空いたよもう!」

ここは神により造られし『創造の平原』。あらゆる自然、動植物が存在し、彼らは最後に造られた。そして名付けの仕事を与え、神は今後の激務に備えのんびりと過ごしていた。ていうか創造で疲れて胃に穴が空きそうな程ぐったりだったのだ。

「ソレが終わったら次は地上の支配の仕事を与えよう。おぬしらの苦しむ姿を想像しただけでトイレに行きたくなるわい」
「やれやれ、神様が1人ってのは厄介なものだ」
「性格悪いよねー」
「アダム、イヴよ。少しじっとしていなさい」
 神が2人に手をかざし、鈍い光が起こった。
「何です? 今のは」
「ヒミツじゃ。さ、仕事に戻れ。ワシは寝る」

2人が適当に名付けをこなしていると1匹のヘビが近づいてきた。
「おいお前ラ。あっちにレビュー2195件もある果実があったゾ」
「ふん、大方アホのサルが適当こいてんだろ」
「いや、食べもせず判断するのはよくないわ。ホラ行くわよ!」

聖典通り2人は禁断の果実を食べ罪を背負う事となる。明け方のそのそと起きてきた神は眠い目をこすり散らかしながら言い放つ。

「おぬしらアソコに行ったんか!? あれ程……お前らさぁナゼ行った!?」
「ち、ちょっと見に行っただけですよ! なあイヴ!?」
「そうでございますわよねぇ!」
「……ふーん。で、お前らが大事そうに腰に貼り付けている葉っぱはなんじゃ?」
「神様、あのミノムシですら衣服(?)をまとい、暖をとります。しからば我々ニンゲンが寒さに怯える時どうするか、もはや語るべく事もなしに——」
「あっそ。イヴ、お前はどうなんじゃ」
「怖かったです。そこのヘビに押さえつけられ無理矢理……」
「嘘ツケお前! ダッシュしてムシャブリついてただろォが!」
「恥を知れお前ら。いやもう知っておるか」

この大地を統べるべく生み出した人間。つまらぬ言いつけすら守れないこの2人に神は大きく肩を落とした。しかし自分の分身として制作したが為、彼らを責める事は自分自身も責めかねない。
そんな次第でこの考えは棚にあげ、とりあえず罰を与えるにいたったのだ。

「ヘビよ、おぬしは一生地を這うがよい。そしてチリとかホコリとかを食べて過ごすのだ」
「ええっ!?(元カラ這ってるが!?)」
「……ただし、どうしてもお腹が空いたら卵とかも食べてよい」
「ホッ……」

「イヴよ、おぬしには子を産む苦しみを与える。その身を繁殖の為に費やすのだ」
「ええっ!?(産むって何かしら?)」
「……ただし、未来永劫イケメンしか寄ってこないものとする」
「ホッ……」

「アダム、貴様にはその手で地を耕し続ける罰を与える」
「そんな!」
「よし、以上だ」
「……何か僕にだけ厳しくないですか!?」
「はいはい」ボタンポチっ

神お手製の落とし穴が開き、かくしてアホ3人は平原から追放される。ついでにコッソリ取っておいたアダムとイヴのバックアップも落下し、1つは地中深くに沈み、やがて長い長い時代の垣根を超え、博士に発見される。ちなみにもう1つの方は普通に割れてコナゴナになった。

——天上からおごそかな声が響き、かの女性がそれを捉えた。もはや楽園遠かれど、夢見ごこちに、その甘美なる教え、しらべを脳に焼き付けた。
「イヴよ、おぬしは罪をおかした。しかし見せておくれ、大地の行く末、ニンゲンの知と愛、その結末。背負うものがあるからこその。突き放したワシからのささやかなプレゼントじゃ。おぬしはこの先誰からも——」

【溺愛されるであろう】
「——ヴ。——イヴ! 起きろ!」
「……んだよもうもう少し……」
「好きだ!」
「ああ、そう(なんだコイツいきなり……)」
 こうして私の、いや、ニンゲンの愛の歩みが始まった。アダムは取り憑かれたかのように地を開拓し、

(未完)


【短編】異世界お仕事(仮)

異世界でお仕事か……そうだ! ビンタをされてお金を貰う仕事をやろう!!
そう思った瞬間! ワープゲートから変な女が現れた!

「私はネネビラ! 異世界から来ました! 早速ですがあなたをお慕いしておりますわね!」
——いきなり慕われた!? 大胆不敵なヤツだ。

「あなたが異世界に行きたいと願ったので飛んで来ました! さぁ行きましょう!!」
——ワープ中は電気風呂を高速で浴びせられてるような不快感があった。着いた。


「ここがそうか! 思った通り中世ヨーロッパな雰囲気だな!」
辺りを見渡すと、ネネビラと同じ見た目のヤツが沢山歩いていた!
「どういう世界だコレは!?」
「ああ、気にしないで。私50つ子の姉妹なの」
「どんな母親だよ!?」
——通りの向こうから巨大な人影が現れた! デカい……推定5メートルはあるだろうか。

「来てやったぞ……! わざわざなァ!」
「あ、お母さんだ」
アメを差し出してきた! ハチミツを煮詰めてミリンをかけたような味がした。ヤツは周辺の家を破壊しながら去っていった。


「質問がある。願いを察知されたら異世界に連れて来られるということは、俺以外にも沢山居るんだよな?」
「あなたは魚釣りをする時特定の1匹の魚を狙うワケじゃないでしょ? そんな感じ」
「たまたまなワケか」
「そ。ねーねー、私に飼われてみない? 地球人飼うの憧れだったの!」
「うーん、イヤ……かなぁ」
「あっそ! こんなにお慕い申し上げてるというに!」

「そういや俺、仕事をしに来たんだよ」
——俺は仕事の概要を説明した。
「アリだと思うわね! お母さんにも言ってみる!」
「それはやめてくれ……」


取り敢えず女王の所へ向かう。きっと話の分かるヤツだろう。

「素晴らしいお仕事ですね。で? 何か言う事は?」

——既に300回ビンタされていた。料金の話をする前にこの仕打ちだ。まあ、男性に殴られるよりマシだと伝えた。すると女王は驚愕の表情を浮かべた。

「……それはあり得ませんわ」
「どういうことですか?」
「鈴土(我々でいう地球という認識)には今! 男性は居ないのです! それは遥か昔————」


なんか2時間講習が始まりそうなので帰った。ネネビラが居た。
「聞いてしまったわね。この世界のヒミツ……」
「いや、すぐ帰ったけど……」
——俺は彼女に手を引かれ、10秒走った。

「な……なんだこりゃあ!?!?」

建物や地面が不自然に途切れ、どこまでも続く断崖のようになっていた! 下を覗いても、ただ暗黒が広がるだけであった。

「こういうことですわね……」
「どういうことだ!?」
「多分、あなたが思い描く地点までしかこの世界は存在しない……そんな気がする」

「ネネビラお前、昔の記憶はあるのか?」
「……ついさっき……生まれたような気もするし……昔に、鈴土で遊んだような記憶も……」

——彼女は頭を抱え、その場にしゃがみこんでしまった。震える背中を、ただ俺はじっと見ていた……。


「……立て、ネネビラ。そんなんでどうする。立って、俺にビンタをするんだ」
彼女は逆立ちをした後立ち上がり、ラリアットの要領で3回体を回転させてビンタをしてきた。
そして俺は暗黒の崖に落ちそうになった。

(未完)

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