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いや ほんまダルいから やめて

何がそんなにダルいの?

『はぁ❓ 逆に何でわからんのん? 気分じゃないって言ってるじゃん』

いうほど面倒? スグ終わるのに。

『あのさ そういう問題じゃないってわかる?』

私は支配されています
どうか どうか助けてください
何に支配されてるのかは定かではありません
それは『気配』というべきでしょうか
 
常に舌の根に指を突っ込まれているような
いつでも吐いてしまいそうな
その状態を
ずっと
――ずっと

だからコップ一杯の水を飲んだ けど すぐに台所へ駆け込んだ
  喉の奥が熱かった 胃酸と 目にたまる涙が 胸が 肺が

(静かに身を起こす)

寒い でも 足りない
シャワーの温度を うんとあげて
 
湯が床を打ちつける音を
立ちすくんで聞いていた
 
鏡がみるみる曇って
私の姿はどこかに消えた

リビングで 少しテレビを見て 集中できないから寝室に戻る
けど まだ起きていた 何事もなかったかのように
手に持った小さな画面に集中して
私は布団にもぐり 背を向けた



言葉少なな休日の朝
 どうして身を寄せ合うのか 理解ができない
  拒む理由もない 埋め合わせの為の
   虚しい関係 最近髪がゴワついている
    今日は今年一番の寒気らしい


まだダルいの?

『……んーん 大丈夫そう』

  とにかく 外に出たい 公園の鳩でも なんでもいいから
  動いて  自由で   生きてる   どれでもない

じゃあさ。

『…………ん』

あ そうだ
ドラッグストアにも行かなきゃ
色々足りてないもん
今だって ほら あーあ
なくなっちゃった

浴室は 冷たい隙間風 ココアも買おう そうしよう

『風がこないと あったかいね』

うん。

『おひる どうする ? 』

なんでも。

『  また  どっか   いこうよ   』

そのうち。


仕方がないので
崖に生えた名前も知らない植物を眺めていた
小さな穴が開いており
小さなトカゲが日向ぼっこ
 
冬なのに
冬なのにね
 
バイバイ 
トカゲさん

ネコが一瞬 こちらを見て か細い声を

その尻尾は えらく短かった
ドラッグストアの電灯が 妙に鬱陶しかった
レジの女が 半笑いにみえた

私はどこにもいけなかった
冷凍庫には もう余地がなかった
たい焼きを 電子レンジで温め
ひと口かじると 中はまだ 冷たかった


おいしくなさそう。

『うん おいしくないね――』

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