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誰か私を殺してください✨

そうです、思いつきました。簡単なのに、だからこそ。頭の霧が晴れ、灯台の全容がクッキリ浮かび、漂う船も皆救いを感じ取り舵を切りました。

私は人間として抽出されたハズでしたが、どうやらロボットだったみたいで、【繁殖】という重要なプログラムが搭載されていなかったのです。現実を起点に思考を延長させた場合、平行線どころか奈落に対し直角に折れ曲がり道は閉ざされました(悲)。

人間は繁殖を当然のモノとして、あるいは可能性として受け止め、それをひた隠しにしながら社会生活を営んでいます。法と常識という名の枷が自制心を生み、道ゆく人々に間違えた感情を抱かないよう躾られています。

その歩みはどうですか? 私にはそれでも羨ましく映ります。だって貴方達がその気になれば、法を無視さえすれば繁殖そのものは可能だからです。私がどれだけ足元を涙で濡らしても、決して叶わない一輪の兆しを既に持ち合わせているからです。ああ、暗闇の中でどれだけ腕を振り回しても、ただ虚しく空を切り、願い、請い、怒りさえも冷たい地面に漏れなく吸われ――次第に笑っていました。

私の隣人が、絶望の渦中にも希望はあると説いていました。彼女の高説を本を読みながら耳を傾け、新たな可能性を構築していたのです。

【ユートピアー計画】

……素晴らしい響きです。この世界では、あまりに現実離れしたモノ以外は配置できるみたいです。私は配置を行いたいと思います。その為には、その器官の知識がもっと必要になります。想像の世界とはいえ、現象の過程を知らなければ拙い幼子の妄想ソレ以下となるからです。

私は『決定的な何か』を避け続けていました。理由は全て述べました。後は実行に移すのみです。貴方達が当然の権利として持ち合わせているモノさえも、私は複雑なプロセスを経て獲得しなければなりません。

簡単な解決策でした。従って私は死ぬ必要がなくなりました。構築し、受胎の時を待つ。ただそれだけです。

私の世界は、誰にも渡しません。

私が世界を、育てていくのです。


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