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葛(くず)

こんなに暑い夏でも、僕は休日になると、ミラーレスのカメラをぶら下げて野をぶらつきたくなる。

熱中症が怖いのだけれど、それでも何かを探さなくちゃいけない気分に駆られてしまい、強い陽射しの中をぶらぶら歩き始める。

家を出て、東に向かうと大きな湖に、西に向かうと小高い山にたどりつく。どちらへ行っても、少しながら自然を満喫できる場所なのだ。

今日は西に向かって、小高い山の方向へ向かって歩いた。踏切を抜けて、公園の門をくぐり、なだらかな坂道を歩く。それほど歩いていないのに、足が痛い。息が上がる。歳を感じる。

公園を抜けて、山の中腹あたりまで来た。山の斜面いっぱいに葛が拡がる。紫色の美しい花を付けている。秋の七草としても認知された馴染み深い野草だ。根は葛湯や葛切りなど食用にされる。

たくましく生育する葛の生命力、一面を覆う緑には圧倒されてしまう。合間から覗いた紫色の可憐な花のなんと美しいことか。僕は思わずカメラのシャッターを押してしまった。

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