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じいちゃんへの感謝と、横浜が繋いでくれた絆。

今日はどうしても書き残しておきたいことがある。

立春さえまだ1週間ほど先だが、少しずつ春が近付いてくる気配を感じると、毎年必ず思い出す出来事があるのだ。

2009年3月、大好きだった母方の祖父がこの世を去ってから今年で13年になる。
当時10歳だった僕にとってはあまりに悲しくショッキングであり、今に通ずる人生観にも大きな影響を与えた出来事だ。

じいちゃんはとても優しく、カッコいい人だった。

幼少期、横浜市に住む祖父母のもとへ母と共に遊びに行くといつも、ばあちゃんは最寄り駅の改札で、じいちゃんは駅前のロータリーにて愛車の窓越しにそれぞれ出迎えてくれた。
「待ってたよー!」と言わんばかりの満面の笑顔で。幸せ溢れるひとときが始まった。
ばあちゃんが我々を待ちながら用意してくれた美味しいご馳走は、2人に会えた喜びも相まって格別だ。

翌日には決まって、じいちゃんが僕に「どこ行きたい?」と尋ねてくれる。
行きたい場所を伝えると二つ返事で快諾し、車を飛ばしてどこへでも連れて行ってくれた。
自治会等のお仕事が入ると遊べない時もしばしばあったが、残念だなぁという気持ち以上に、年齢を感じさせないパワフルさでもって地域に貢献するべく頑張るじいちゃんの姿がとてもカッコよかった。
自分もそんな大人になれたら-。幼心にもそんな尊敬の念を抱かせてくれたのだ。

遊びに連れて行ってくれる先々で感じた横浜や神奈川各地の風景や匂いは今もなお、僕の心に焼き付いて離れない。
とりわけ、幼少期の興味関心の筆頭格であった飛行機を間近で見たいという僕の我が儘を幾度となく叶えてくれて、県を跨いで連れて行ってもらった羽田空港の思い出は特別なものがある。
展望デッキで観る飛行機の迫力や、空港内のショッピングやグルメの充実ぶりは今や語るまでもないが、その楽しさは母やじいちゃん、ばあちゃんが一緒になって僕の姿を喜んでくれるからこそ。
写真にも残るその笑顔は、きっと本物だよね。
世の中の状況が落ち着いたらまた、母や伯母、ばあちゃんと共にこんな思い出話に花を咲かせたいなぁ。

結果的には、2007年に祖父母の金婚祝いを横須賀の「観音崎京急ホテル」にて盛大に行ったあと、翌2008年に国道134号線をドライブして逗子の海で泳いだ記憶がじいちゃんと過ごした最後のバケーションとなった。
とても楽しかったのだけれど、どこか寂しい記憶だな。

2009年の年明けに末期の肝臓癌が発覚し、そこから2ヶ月もしないうちに、じいちゃんは大好きな横浜の地で帰らぬ人となった。79歳だった。
思えば、あっという間のお別れだったように感じられた。
あまりに辛い永遠の別れを受け止められずにパニックを起こす事もあったが、地域の方が大勢駆けつけてくださった葬儀の日には、初孫としてしっかりと見送らなくては…と溢れる涙を堪えた。

母やばあちゃんと共に思い出を語りながら一緒に泣いたこと、程なくして従弟が卒園式の日に合唱してくれたKiroroの「Best Friend」に励まされたこと、6月に横浜の家が売り払われる前に皆で集まった日の寂寞、どれもずっと忘れないよ。

時を経てばあちゃんも高齢になり、7年前に伯母の住まいの近くにあるグループホームに入居してからはそれまでのようにいろんな場所へ遊びに行く機会も減ってしまったが、皆で一緒にお茶をしながらじいちゃんのお話や、少し大人になった僕が日頃考えている事を共有するなど、新たにかけがえのない思い出を作れていることが心から幸せである。
今も元気でいてくれるばあちゃんにはこれからも、精一杯の孝行をしたいな。


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そんな想いを日々抱えつつ、2020年に晴れて大学生になった僕は、オンライン授業が続く中ではじめて友達ができた。
同じ授業を履修していた彼のほうから声を掛けてくれて、LINE通話を中心にいろんなことを話した。

溢れんばかりの互いの想いを語らう中で、話しても話しても足りないくらい、彼とは人や物事に対する考え方・価値観がとても合致することに気付く。
本当に素敵な友達だ。

そうして話が深まっていくうちに、彼の住まいが祖父母の住んでいた横浜の地であることが発覚した。それもかなりの近所。
「そんなことがあるのか…」。夢でも見ているかのような、あまりに不思議な縁を感じた瞬間だった。
俄には信じられなかったが(正直今も)、じいちゃんが繋いでくれた出逢いなのだと感じた時、涙がこぼれた。
きっと彼もそう思ってくれている。

しばらくして、彼と一緒に横浜の思い出の地を巡り、サプライズで駆けつけてくれた弟くんの運転で祖父母の住まいの周辺をドライブしてもらうというこの上ない弾丸ツアーが実現できたことは生涯心に残り続ける思い出となった。
今後とも、一緒に過ごせる時間が楽しみだし、この絆をずっと大切にしていきたい。

このnote、彼らも読んでくれたら嬉しいなぁ。



とりとめのない文章の最後に。
じいちゃん、濃密な10年間の思い出と未来に待っていた素敵な出逢いをありがとう。
俺は家族や大切な仲間たちと共にこれからも頑張っていくから、ずっと見守っていてね!!


人生におけるすべての出逢いに感謝を。

2022.1.27