税法について考えてみた

24/4月に開業しました。 資格(税理士試験)の専門学校講師→国内大手税理士法人→Bi…

税法について考えてみた

24/4月に開業しました。 資格(税理士試験)の専門学校講師→国内大手税理士法人→Big4系の税理士法人→開業 合格科目(簿財法所消)

最近の記事

シャウプ勧告を読んでみた(法人税法編)

0.はじめに 税を仕事にする人で「シャウプ勧告」という言葉を知らない人はほとんどいないのではないかと思う。 では、「実際に読んだことがあるのか?」と問われたときに「Yes」と即答できる人は稀だと思われる。 私がシャウプ勧告という言葉を知ったのは資格の専門学校で税法の講師をしていたときからである。それでもシャウプ勧告そのものを読んだことはなく、せいぜいそれを取り上げている本を読んだ程度であった。 昭和24年(1949年)に取りまとめた内容を令和6年(2024年)に読む、、、

    • 租税の歴史を学ぶ「租税史料室」行ってみた。

      0.はじめに 「自分がいる世界や組織の歴史を学べ」落合博満著 「采配」より 4月から開業をしましたが、4月はちょっと休もうと思っていた部分があるため、諸々の準備とお勉強、そして少しだけお仕事といった感じで過ごしております。 そんなこんなで、「忙しくなるとできないことをしよう」と思い立ったため、以前から興味があった税務大学校の租税史料室の見学に行ってきました。 そこでは写真撮影がNGであり、いろいろと書類は「ご自由にお取りください」と書いていたため拝借はしましたが(2

      • 脱!雇われ税理士(単なる日記)

        今日は目次なしです 3/末で税理士法人を退職し、4/1を終えようとしております。 今日やったことは、 ①税理士の登録区分変更届出の郵送作業 ➁国民健康保険及び国民年金への変更手続き ③会計ソフト会社の方とのMTG で終了しました(笑) 元々4月は手続き関連だけやって、ゆっくりしようかなと思っていた感は否めないですが、改めて今日の自分の行動を振り返ったときに、「売上に繋がってないなぁ」と若干の恐怖心を覚えました。雇われ税理士なら、「今日は暇でラッキー」と感じていたはずですが

        • 解釈に矛盾あり⁉︎政治資金パーティーの課税関係

          1.政治資金パーティーとは 政治資金パーティについて、もちろん私も詳しいわけではない。そんな大人の世界に足を自ら突っ込むんだことはないし(特に応援している政治家はいない)、パーティーに呼ばれるような人物(企業のお偉方など)ではない。 ただ、政治資金パーティの定義は政治資金規正法第8条の2に見つけることができた。 第八条の二 政治資金パーティー(対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者

        シャウプ勧告を読んでみた(法人税法編)

          子会社・関連会社からの配当の源泉徴収が変わった件とトラップについて

          1.事の発端 令和5年(2023年)10月以降に子会社・関連会社が支払う配当について、源泉徴収が大きく変わった。 子会社・関連会社が支払う配当について、一定のものについては源泉徴収が不要(従前は配当額×20.42%)となったのだ。 事の発端は令和元年度に行った会計検査院の検査報告によるものである。 検査報告の内容を要約すると以下のとおりである。 ① 源泉徴収は、所得税の前払いであるが、源泉徴収義務者(源泉徴収を行う者)の便宜を考慮して、利子や配当等を内国法人に支払う場合に

          子会社・関連会社からの配当の源泉徴収が変わった件とトラップについて

          誰も間違えなかった所得税の基礎控除が、正解率28%に下がった件

          0.前置き 今週の税務通信(No.3786号)で目を疑った記事があった。 「会計検査院 検査対象の72%が誤り」、、、72%の人が間違え、しかも分母は32,843人であり、つまり23,750人に誤りがあったということだ。 「重複」は正しくは「ちょうふく」と読むが、「じゅうふく」と読む人が増え、「じゅうふく」も正しい読み方となった言葉とは異なり、法律はそのような柔軟性は持ち合わせていない。人間社会では72%の人から信用を失ったら村八分にされてしまいそうなものであるが、法律は

          誰も間違えなかった所得税の基礎控除が、正解率28%に下がった件

          免税店(輸出物品販売場) インバウンド・爆買いの影で行われた不正利用

          0.だらだらとした前置き 訪日外国人に対して消費税を免税で販売できる免税店であるが、申告もれや追徴課税のニュースが後を絶たない。 アイフォーン数百台購入の例も…免税認めず、アップル日本法人に140億円追徴課税 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) 2022年12月7日 不適正“免税販売”「イオンリテール」に2億5000万円追徴課税(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース 2023年2月9日 大丸松坂屋百貨店、免税販売めぐり3億9千万円申告漏れ:朝日新聞デジタ

          免税店(輸出物品販売場) インバウンド・爆買いの影で行われた不正利用

          穴の開いたバケツ 外形標準課税の理想と現実 

          0.だらだらとした前置き 昨年の秋ごろからだろうか、外形標準課税が紙面を賑わすようになったのは。。。そんなこんなで外形標準課税について当ブログで連載をすると予告したのだが、結局さぼってしまった。 税制大綱によれば、いわゆる「外形標準課税外し」はほぼほぼ封じ込められることとなった。 実際にはそのあたりを深堀すればよい気もするが、当ブログはマニアック路線に舵を切ったこともあり、そのあたりは簡単に触れるだけにして、他の税理士の方のブログを読んでいただければと思う(テクニカルな話

          穴の開いたバケツ 外形標準課税の理想と現実 

          地方消費税から考えてみる「お買い物は地元で」

          0.だらだらとした前置き 税理士業界に身を置き、数多くの消費税申告書を作成し、レビューし、申告を行ってきたものの、恥ずかしながらまともに地方消費税について真剣に考えたことがなかった。 「消費税等(国税7.8%、地方税2.2%)の2.2%部分であり、結局は10%まとめて法人の本店所在地(個人事業者の場合には主にその住所地)に納税して終わり。ただし、消費税申告書の作成の際に、中間納税額を打ち間違えなければOK」、そんな認識に過ぎなかった。 私は税理士受験生時代は消費税法

          地方消費税から考えてみる「お買い物は地元で」

          外形標準課税外し(予告編)

          紙面を賑わす(今は液晶画面を賑わすかな?)、外形標準課税外しについて書きたいなと思います。 正式には週末にしっかり書きますので、今日はエッセンスのみです。 外形標準課税とは、事業税の課税方式で、 企業が生み出した付加価値に対して課税する方式になります。あと資本に対しても課されます。 現行法では、決算期末において資本金を1億円以下にすれば適用を外せることもあり、それが課税逃れと指摘されています。 詳しくは週末の解説に譲りますが、 勘違いして欲しくないこととして、資本金を1

          外形標準課税外し(予告編)

          物語形式:輸出企業が消費税を還付されるのはけしからんのか??

          今回は物語形式で税金について考えてみたいと思います(主観が多分に含まれております。)。 A国には自動車製造販売を行う大企業甲社がありました。 甲社はA国のみで自動車を販売するのではなく、隣国でA国よりも人口が多いB国に対しても輸出を行っておりました。 甲社のPL(利益の計算過程)は以下のようになっていました。 A国の通貨単位は金とします。 売上高:10,000金(A国での売上:3,000金、B国への輸出売上:7,000金) 原材料・製造費用:4,000金 人件費:3,00

          物語形式:輸出企業が消費税を還付されるのはけしからんのか??

          アグレッシブな節税

          最初に断っておきますが、 節税でいくら得をするかとか、その類の記事ではありません。 税の専門家である税理士より、 その周辺領域にいる方達の方がアグレッシブな節税を提案する(できる)のは何故かといった点について漠然と考えたいと思います。 税務申告書の印鑑を押さない 税務調査に立ち会うのはあくまで税理士 本音は別のところ(fee)にある パッと思い浮かぶのはこの3つです。 まずは、1について、税理士は納税者の代理として、税務申告書に印鑑(署名)を行います。 税務署とのや

          どストレートに通勤手当課税って言ってなくない?(増税煽り報道に思うこと)

          岸田内閣発足以降「増税」「サラリーマン増税」といった心地いいとは言えないワードが紙面を賑わしている印象を受けますね。 その中でもここ数週間のトレンドは「退職金課税」や「通勤手当課税」でしょうか。 その中でも「通勤手当課税」に関して今回は触れておきます。 (実は社保では通勤手当は賃金に入っているようですが、社保の専門家ではないので、ここには触れない笑) 税制調査会から公表されている「わが国税制の現状と課題-令和時代の構造変化と税制のあり方ー」の切り抜きがそのような議論を巻

          どストレートに通勤手当課税って言ってなくない?(増税煽り報道に思うこと)

          免税事業者の請求書の記載(消費税)

          驚きました… 下記のような記事があるとは… 結論としては免税事業者でも消費税を請求してもいいとのことです。 明らかにおかしいので論破しておかないとと思いました。 「消費税法や通達には消費税を預かってはいけないとかいてません。」とのことでしたが、読み方が浅いというかいいとこ取りをしているというか。 ①法令からの検討 消費税法第30条抜粋 9 第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。 一 事業者に対し課税資産の譲渡等(省略)を行う他の事業者(当該課税資産の譲

          免税事業者の請求書の記載(消費税)

          消費税は本当に身近な税なのか?

          よく国民に取って身近な税法と言われる消費税法ですが、本当に身近なのでしょうか? 消費税は消費という行為に担税力(税金を負担する力)があるとして課される税です。 まず消費行為に担税力があるのか?という疑問が湧きます。 高級車、貴金属や高級時計を買う人は間違いなく税金を担う能力はあるのでしょうが、例えば一人暮らしの学生が不況でアルバイトの日数を減らされているため、昼食を節約のためにコンビニで購入したパンひとつで済ませた場合にそこに税金を負担できる余力があるのでしょうか?

          消費税は本当に身近な税なのか?

          支配関係及び完全支配関係の成立について

          マニアックな入り方となってしまいました。 今回は自分が実務で当たった件の備忘録となります。もちろん私見も含まれますので、これを根拠になどは決してしないでください。もし間違えにお気づきの場合、ご指摘ください。 実務上、組織再編があった場合において欠損金の引継ぎのためにはいつの時点から支配関係が成立していたか、完全支配関係が成立したのはどの時点かなどいろいろ考えさせられたりします。 基本通達には以下の記載があります。 (支配関係及び完全支配関係を有することとなった日の意義

          支配関係及び完全支配関係の成立について