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作家の日々

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2020年4月の記事一覧

私見・コロナ禍で小説は変質するのか②

私見・コロナ禍で小説は変質するのか②

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 前回

 の続きです。
 前回は疫病と文化の関係についてざっくりとご説明させていただき、その上でどういうことが言えるのか、という話をしました。まあ、

コロナ禍が文化に対しどのような影響を与えるか、歴史から類推することは難しい

 という結論になっちゃったのはご愛敬ですが……。

 今回はちょっとアプローチを変えて考えていこうと思っています。その上で、少し設問を変えましょう。
 「今

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私見・コロナ禍で小説は変質するのか①

私見・コロナ禍で小説は変質するのか①

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 この前、ある方からこんなご質問を受けました。

「今回のコロナ禍によって現実が変化しつつある中、果たして小説は変質するのでしょうか」

 一応その時はわたしなりの見解を申し上げたのですが、ちょっと浅いお答えしかできなかったなあということで、何回かに分けてわたしなりの答えを出していこうかなあと考えております。
 今回は、「歴史から見た疫病と文芸」の観点からお話ししてゆこうと思います。

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内需の高まり

内需の高まり

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 多分どこのご家庭もそうだと思いますが、外食がめっきり減り、ほぼ家で食事を摂っています(実をいうと、わたしも妻も外食派ではなく、日々の暮らしにおいてそんなに外食はしないのですが)。とはいえ、家の中にいることが強いられている抑圧からか、ここのところ少し食事が豪華になりつつあります。

 ちなみに今日の夕飯はキーマカレー。
 それ自体はたまにやるんですが、それに手作り牛乳かんをつけちゃった

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谷津、筋トレにはまる

谷津、筋トレにはまる

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 ここのところ出かけることもできず、ハイカロリー幸せ食品(=ラーメン)を外で食べることも回避している関係で、かえって健康になってしまった谷津でございます。どうもこんばんは。

 注釈
 我が家には医療従事者もいるため、他の人よりも厳しめな自粛体制を敷いております。えーん。

 とはいえ、運動不足が気になるので、ついつい筋トレに力が入っている今日この頃です。そんなわけで、今はこんなメニュ

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『きつねの窓』(安房直子)の物語分析

『きつねの窓』(安房直子)の物語分析

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 今回の更新は名前の通り、『きつねの窓』(安房直子)の分析をやります。
 なぜって?
 いや、いつもわたし、バックヤードでこうしたことをやっているんです。でも、近々天狼院書店さんでまた初心者向け小説講座が始まる関係で、ちょっと表に出してみようかなと思った次第です。
 また、これは分析なのでネタバレ上等です。
 未読の方はご注意ください。

1、登場人物 猟師(語り手)
 一人称は「ぼく

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バックヤードで計算し続けること

バックヤードで計算し続けること

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 小説家の仕事の本質は、キーボードを叩くことでも改稿することでもゲラに赤字を入れることでもない、というのがわたしの考えです。
 小説家の仕事の本質――それはきっと「考える」ことです。
 キーボードを叩く際にも、改稿している際にも、ゲラに赤字を入れる際にも小説家はずっと考え続けています。このストーリーでいいのか、この文章でいいのか、この言葉でいいのか……。
 けれど、今取り上げた作業も、

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酒が飲みたい・らーめん食べたい

酒が飲みたい・らーめん食べたい

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 正直な今のわたしの気持ちです。

 わたしは「酒は外で飲むもの」という教育(?)を受けて育ったので、晩酌の習慣がありません。たとえばうれしいことがあって秘蔵の酒を空けたり、家族の御祝い事の時に酒盛りをすることはありますが、基本的に日常から酒を排除する日々を送っています。じゃないと、在宅ワーカーはすぐにアル中まっしぐらなのです。
 一方のらーめんについては家で作り(もちろんよくて生めん

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空気なんて読めないもんです

空気なんて読めないもんです

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 今日は『海の上のピアニスト』(アレッサンドロ・バリッコ 著
草皆 伸子 訳 白水社)

を読みました。
 もしかしたら、わたしのツイッターを御覧であったり、イベントなどにお越しいただいている方はご存じかもしれません。某書店さんのイベントでは、
「最悪俺の本なんて買わなくていいから本書を読んでくれ」
 とまで推した本です。
 映画化もされているのでご存じの方も多いんじゃないかと思います

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ほどよいところを目指して

ほどよいところを目指して

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 物の本を読んでいたところ、ある記述を発見しました。

 曰く、

「人間は高負荷状態下でも、低負荷状態下でも物事の習熟が遅い」

 そうです。
 これは肉体的な成長の話だけではなく、仕事や物事の習熟に関しても同じことのようです。
 噛み応えがありすぎて倒れてしまいそうな高負荷状態では物事をこなすのに精一杯になってしまい、逆にストレスフリーなほどに負荷がない状態だと今度は成長がないらし

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も、もう四月下旬なの……?

も、もう四月下旬なの……?

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 明日は4月20日ですって。
 マジかよ……。
 ここのところ不要不急の外出を避けている日々ですし、平時ならある打合せもすべてキャンセル、テレワーク的な感じが導入されているので、日にち感覚がしっちゃかめっちゃかになりつつあります。
 えっ、そもそも小説家ってそういうもんだろですって?
 いやいや、ちょっと違うんですよね。
 小説家は確かに曜日感覚がなくなる代わり、日付感覚は鋭敏だったり

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お菓子作りでもやろうかしら

お菓子作りでもやろうかしら

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 どんなに世間が大変なことになっていてもやることがたくさんあるのが個人事業主、ここのところ休みなしでガシガシ小説を書いたり直したり考えたりして日々を過ごしております。けれど、外に出て打合せなんてことがないので、ちょっと息が詰まっている今日この頃です。

 そんなわけで、いつもより仕事を少し早めに切り上げて、youtubeを見たりして気晴らししているのですが、ここのところ料理動画にハマっ

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今、現実が辛すぎて本を読む気になれない活字中毒のあなたに

今、現実が辛すぎて本を読む気になれない活字中毒のあなたに

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 非常事態な感じの昨今、読書家の皆さんの間で「どういう気持ちで本を読んだらいいのかわからない」という方が結構多くいらっしゃるようです。実際、ツイッターなどを見るに、「近頃の騒ぎのせいで人が集まっている描写を見ると『大丈夫か』と思ってつい現実に戻ってしまう」などのご意見を拝見しました。
 でも、読書家は文章を読まないと落ち着かない人種なんですよね、すごくわかります。
 暇になると電話帳す

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1918-19インフルエンザについての個人的まとめ④

1918-19インフルエンザについての個人的まとめ④

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 前三回

 の続きです。

6、今後の課題①前期流行時の首都圏(殊に東京)での報道に関する疑義
 速水2006によれば、前期流行時、東京の新聞は全国での感冒被害を報じておきながら、東京市内での感冒被害についてはあまり報じていなかったとされている。
 東京の新聞は当時も全国紙的な意味合いがあり、そのために東京以外の情報を多く報じていたのかもしれないという見方もあるが、追跡調査してみると

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1918-19インフルエンザについての個人的まとめ③

1918-19インフルエンザについての個人的まとめ③

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前回、前々回

 の続きです。

4、日本政府による対応 豚インフルエンザの分離が1935年、人インフルエンザの分離に至っては1970年代であり、現在のようなアプローチでの治療はできなかった。
 また、予防に関しても、一般的な感染症で取られる方策がそのまま取られた。
 そのため、日本政府による対応も

・うがい、手洗いの励行
・マスク装着の啓発
・人ごみを避けるように指示

 といった

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