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【妊夫日記】長男10歳の誕生日に確認できた事

8月の初めからカミさんが体調を崩していて、これはよもや5人目を妊娠したか?いやいやいつもと悪阻の気持ち悪さが出るタイミングが違うからホルモンバランスのせいだもう1週間待ってみよう、などと検査を先延ばしにしていた。しかし検査薬を使ってみれば規定の時間を待つ必要もないくらいにビンビンに陽性で、思わず「陽性でした」とコロナと誤解されるツイートをしそうになったくらいである。それでも、いやいや実際に検診に行って診てもらわなければ確定しないと、いつもお世話になっている助産院にLINEで予約をとり、昨日行ってきたわけだ。
2年前に4人目の子どもを出産したときは、まさにコロナの最初の緊急事態宣言下。無事に産めるのかという混乱の最中だったが、現在ではそんなナーバスさはほど遠く、検診は母親だけ。僕と子ども達は駐車場で待ちながら、エコーで腹部を視る際だけ、テレビ電話を繋ぐのを待っていた。
助産院は市内でも郊外にあり、周りは畑が広がっている。現代でもトトロのサツキとメイが暮らした田舎の雰囲気が残っている。勝手口から助産師の先生が出てきて、「5人目!いいわね〜、理想だわワタシの!」と、診る前から言われた。顔を見ればもうわかるという事だろうか。先生はお椀ほどの小籠を持って、奥の畑からブルーベリーを摘んで来て、帰宅するスタッフに渡していた。
スマホの呼び出し音が鳴って、ビデオ通話が始まる。車の荷台に置かれた画面をみんなで覗き込んで、その向こう側に映るエコーの画面。モノクロのざらざらした中に、見慣れたぽっかりと黒い空洞があった。5人目の妊娠確定である。ホッとした、とゆうのも、気持ちの持ちようや、これから乗り越える必要のある日々が確定したことが、妙な安心感となった。そして同時に、何故か今回ばかりは、とてつもない領域に、ついに足を踏み込んでしまった感覚と、当初の目標であった5人兄妹7人家族というスタート地点にやっと到達する感慨深さを催している。
奇しくも長男10歳の誕生日に確定した事実。兄妹がどんどん増えていく事を、彼はどんなふうに感じているのだろう。自分は10歳の誕生日に、父親に大声でバースデーソングを歌われて、ちょっと涙ぐんでしまうような子どもではなかった。感じやすく、周囲の真心をまっすぐ受け取る子に育ったように思う。本人がどう感じていようが、そうゆうふうに思う。初めて生まれて来てくれたのが彼だったからこそ、僕ら夫婦は、どんどんと家族を増やしていこうと思い続けられていると、本人に話そうと思っていたが、酔っ払って言いそびれてしまった。

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