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最期の時まで④

5月4日
この日も孫と2人で公園に行った。
夕方になり、そのまま2人で私の店に行き
母の日のプレゼントにとマグカップを
一緒に選びラッピングして帰宅した。
夕飯の時に『お母さん、いつもありがと!』
そう言って渡していた。
貴女は穏やかな笑顔で受け取っていたね。
6日は学校の為、色々支度があるからと
夕飯後、2人の家まで車で送った。
片道1時間15分ほど。
2人がお風呂に入り、出て来た孫の長い髪を
ドライヤーで乾かし、貴女が寝る前に飲む薬を飲んで、『眠れなかったり辛くなったら何時でも大丈夫だから電話をしなね。安心して寝なさいね』そう言って貴女の家を出た。

貴女とおしゃべり出来るのは
あと2日……
残酷な現実。

何故だろう
何故守り切れなかったのだろう
時に突き放した時もあったけれど、
ずっとずっと寄り添って来た。
発病まもない頃、強制入院となった時
私は貴女より先に死ねないと思った。
私がいなくなったら、妹が貴女の面倒を見なくてはならなくなるから。
そんな事は絶対にさせられないと思った。
だからずっと寄り添って来た。
なのにね……
残酷な音を立てて進む時計の針に
気づけなかった。

今夜は痩せた背中を丸めてうつむく貴女の姿が浮かぶ。
お母さんを許してね…


逢いたい

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