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性の多様性を通じて未来を虹色に変えていくお話

こんにちは、やわデザnote編集部兼「目的地は鬼ヶ島」制作チームの ひろきょんです。

以下の記事でご紹介したとおり、富士通グループ横断「やわデザ」コミュニティを舞台に新しいイベント「目的地は鬼ヶ島」を開催しています。

「目的地は鬼ヶ島」は、一言でいえば「社会課題」についてみんなで楽しみながら理解を深める、全9回の社内イベントです。

本記事では、「ニュースの見方が変わる編」の第3話(7月1日開催)についてレポートします。

「目的地は鬼ヶ島」ニュースの見方が変わる編

イベントの雰囲気を実際に感じてみたい方は、以下の動画をご視聴ください(前編 30min)。

全ての子どもが、ありのままで大人になれる社会へ

今回の桃太郎(ゲスト)は、認定特定非営利活動法人ReBit(リビット) の藥師 実芳(やくし みか)さん です。

藥師さんは小さい頃からセクシュアリティの悩みを誰にも相談できず、つらい思いを抱えていました。人生に転機が訪れたのは大学時代。社会課題に関するサークルに入り、LGBTQをテーマにしたイベントを企画した時でした。

ご自身の体験を共有したイベントには300人も集まり、成功を喜んでいたところ、先輩から「これで終わりにするの?」と言われたそうです。そこで、藥師さんは、この活動は「継続することに意味がある」のだと気づかされ、仲間と一緒にReBitを立ち上げます。

「性の在り方はグラデーションで、人の数だけある」と語る藥師さん

日本におけるLGBTQの割合は3~10%で、左利きの人数と同じ割合とも言われています。それなのに、身近にいないように感じるのは、いじめやハラスメントを恐れて隠す方が多いからとのこと。LGBTQの子どもたちの約7割がいじめを経験し、トランスジェンダーの約6割が自殺を考えたことがあるなど、課題に直面しています。

ReBitは、LGBTQを含めた全ての子どもが、ありのままで大人になれる社会を目指していて、「教育」にも力を入れています。多くの小中学生は「LGBTQ」という言葉は知っているけど、習ったことがありません。2019年に中学校、2020年に小学校の教科書にLGBTQに関する説明が掲載されるようになったものの、小学校高学年の半数が学校でLGBTQを揶揄する言葉を見聞きしているそうです。そこで、ReBitでは先生向けの研修や教材づくりを行い、先生がLGBTQの理解を深め「アライ(=理解者)」となることで、子どもたちみんなが正しい知識を身につけ、学校をLGBTQの子どもたちにとっても安全な場所にすることを目指しています。

「キャリア支援」も主要な活動の1つです。トランスジェンダーの約9割が新卒就活時に困難やハラスメントを経験しているといいます。就活でエントリーシートの性別欄に困ったり、就労後も男女別のトイレや更衣室を使うことに苦痛を感じることもあります。職場の無理解によって、LGBTQはハラスメントを受けやすい状況もあり、ReBitは企業での研修を通して、周囲に「アライ」となる味方を増やすことが必要であると考えているとのこと。

また、近年はメンタルヘルスに関する活動にも力を入れています。LGBTQであることで困難が続き、うつ等の経験割合が高くなるという指摘がされています。そこで福祉サービスを活用し、うつや発達障害があるLGBTQの就職支援をする「ダイバーシティキャリアセンターを昨年12月に渋谷区にオープンしたところ、全国からのべ2000件もの相談が寄せられました。しかし福祉サービスの対象となる相談は3割のみで、残りの7割はReBitが自費で相談支援をしている状況だそうです。

運転手のヤマカワが、おとぎ話「桃太郎」を例えに藥師さんにとっての「鬼(一番大きな困難や課題)」を尋ねたところ、「一人ひとりが桃太郎であり、鬼なのかも」とコメントされました。また、藥師さんにとっての「イヌ、サル、キジ(大切にしているものを3つ)」を尋ねると、「人、人、人。人が全て」という答えが。「周りと違うって怖い。自分が知らない概念は怖い。みんな自分の中に『怖さ』という鬼がいて、鬼を退治するというよりも自覚する必要があると思う。」とおっしゃいました。

そして、インクルージョンとは「特定の誰かのためではなく、全ての人にとって選択肢が増えること」であり、「LGBTQという多様な性のテーマを通じて、多様性を考えるきっかけになればいいなぁ」と話してくださいました。

藥師さんは「自分らしく働き・生きるために、LGBTQやマイノリティ性がある人たちにも、情報提供から支援までワンストップでできる場を、全国各地につくりたい」という未来を想い描いています。

就職支援の相談を受けられる枠を広げ、各地の支援者を育成したいと、ReBitではクラウドファンディングを行っています。少しでも関わりたいと思った方はぜひ応援してみてはいかがでしょうか?

\7月31日までクラウドファンディング開催中/

イベントを視聴した社員の反応は?

当日視聴した社員は約170人でした。イベント中に、投票サービス「slido」に寄せられた社員の感想やコメントをいくつかご紹介します。

社員の感想やコメント

アンケート結果からもいくつか感想を抜粋してご紹介します。

・「私はアライです」と言っても恥ずかしくない自分になりたいです。
・LGBTQの方が、子供のころだけでなく社会に出てからも悩まれてうつになってしまうというお話が印象に残りました。
・知らないを知ることができる有意義な時間だと思う。
・多様な人がいることを前提として行動したり選択肢を広げることで、LGBTQだけではなくすべての人が生きやすい社会に近づくというお話にとても共感しました。

最終シリーズへ続く

次回から最終シリーズ「世界も未来も変えられる編」がスタートします。次回「子どもの権利を奪わない世界への扉を開くお話」の開催レポートもぜひお楽しみに!

「目的地は鬼ヶ島」世界も未来も変えられる編

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今回の桃太郎さん(ゲスト)プロフィール
藥師 実芳 さん
早稲田大学大学院修了。社会福祉士、国家資格キャリアコンサルティング技能士(2級)。LGBTQを含めた全ての子どもがありのままで大人になれる社会を目指し、20歳でReBitを設立。行政/学校/企業等でLGBTQやダイバーシティに関する研修実施、LGBTQへのキャリア支援提供、国内最大級のダイバーシティに関するキャリアフォーラム”DIVERSITY CAREER FORUM
”の開催等を行う。世田谷区、新宿をはじめ行政で検討委員を務める。
 
青少年版国民栄誉賞と言われる「人間力大賞」受賞、ダボス会議が選ぶ世界の若手リーダー、グローバル・シェーパーズ・コミュニティ選出、オバマ財団が選ぶアジア・パシフィックのリーダー選出。共著に「LGBTってなんだろう?」「トランスジェンダーと職場環境ハンドブック」等がある。
https://rebitlgbt.org/

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