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驚き!書体のルーツ~大人は行書から?~

こんばんは、チーママやよいです!少し前にフォロワーさまから書道に関するご質問を頂戴したことがありました。
専門性の高いご質問だったので師匠である華子先生に聞くことにしました。
丁寧にお答えいただきまして私にとってもとてもためになるお話でした。
内容も深いのでこのように記事にさせてもらいました。
ぜひ書道をされている方もされていない方もお読みくださいませ。
目からうろこですので(笑)
そうだったのか~とつぶやいたチーママやよいでした。

東京の書道教室 書道のはな*みち 主宰 スパルタ書道家 高宮華子先生の双子の姉、はな子ママのラジオ番組「はな子ママのお部屋」を聞いて、学んだこと、気づいたこと、感じたことなどを愛弟子兼チーママやよいの独自の視点も加えて書き連ねていきます。はな子ママのお部屋のnote支店としてもご活用ください。

はな子ママ、華子先生のことをもっとお知りになりたい方はこちらにアクセスしてみてくださいね。

書道のはな*みち きれいな字が書けると人生はもっと美しくなる


”書道を始めました。漢字の書体や形が気になります。
楷書からと思っていたら、最初に行書を勉強しています。
これは運筆に慣れるためでしょうか?”

というようなご質問をいただきました。

すでに運筆と言う言葉をご存知なだけでもすごいと思います。

”大人は行書から”と言う方もいます。

運筆とは、筆運びのことです。

書道の書体にはいろいろあります。
楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)、
隷書(れいしょ)、篆書(てんしょ)などなど。

書道において、一番大切なことは”まっすぐ書くこと”だと常々、師匠である華子先生はおっしゃっています。
同じ字でも曲がっているか、真っすぐで全然見え方が変わってきます。

書道は””という素敵な筆記用具を使って書きます。
筆はでできています。毛にもいろいろな種類があります。

この筆を使って、毛の流れを活かしてきれいに書くと美しさが増します。

その時に運筆、筆を運ぶその筆の動きをスムーズにするには筆順が大切です。

字の成り立ちは、絵文字からできていて、判子に使われている篆書、それから隷書(日本酒や三越などのデパートに使われている書体、奴隷が作ったので隷書と言います)ができました。
この平たい隷書ができたのですが、文明が発達してきてみんな忙しくなってくると、隷書は書くのにすごく時間がかかりますので、これでは間に合わないということから、早くきれいに見える書体ということで開発されたのが草書でした。

草書の書と書きますね。
というのは、”省略した、簡略した、くずした”という意味があります。
いわゆる、みなさんが、書道展に行ったり、百人一首などを見て、読めないなと思うのは草書だったり、かなだったりします。

かなは草書の派生です。
その草書ができたことで、芸術性が高まって書道文化は発展しましたが、今度は”くずし過ぎてちょっと読めなさすぎない?”となりました。
”もうちょっと読めるように形を整えようか”ということになり、生まれたのが行書です。

行書は、行動の、歩いて行くの。行書は、人が歩いて行くという流れがあるということから名づけられました。
草書でくずし過ぎた字が少しずつ統一化されて、行書としてずいぶんわかりやすい形になりました。
行書にも何パターンもあります。

読めてさらさら流れる字として一番好まれるのがこの行書です。
ただ行書でも、線の繋がりや流れなどで芸術性があるので、これを普通の人が書くのは難しいのではないかということで、楷書がうまれました。
お役所の書類や公的な書類は楷書で書こうということになりました。
私たちが義務教育で習うものもこの楷書です。

書道塾に行ってもだいたいの流れは、お子さんは入塾した時は楷書をきっちりやります。
中学生まで続けたら、楷書にプラス行書も書くようになります。
高校生になったら、草書が増えてきます。
大学生になったら隷書も書くようになります。
かなも高校生くらいから入ってくることもあります。

だいたいそんなふうに習っていくので、私たちは”楷書がくずれて行書になって、行書がくずれて草書になった”と思っている人が多いのです。
でも実はその逆です。
恥ずかしながら、チーママやよいもずっとそう思っておりました。

くずれていたものが統一化されていった、このルーツからいくと、楷書より行書のほうが古いんですね。
ですので、ルーツを先に学んだほうが上手になるということから、大人は行書から学ぶことがあります。
これが一つ、”大人は行書から”という理由としてあります。

もう一つ理由があります。
字をきれいにする要素には”筆順”があります。
その筆順は”楽に””きれいに早く書ける”というメリットがあります。
筆順のルールは楷書においては、左から右、上から下、外から中と決まっています。
これは右手で縦書きに書く時に、あまりあっちにいったり、こっちにいったりしないように効率的に楽に書けるようにという先人の知恵です。

ですので、それを守って筆順通りに書くと、字の流れもスムーズですので、きれいに見えます。
この字の流れを意識するのが、楷書よりも行書のほうがわかりやすいということで、大人はさんざん楷書を書いてきたはずなので、楷書より前にあるルーツである行書からやっていきます。
筆順の流れがわかりやすい行書からやっていくことで、字の理解が深まったり、自分が書きやすくなったり、字の美しさが増します。
その上で楷書をやるとさらに楷書が磨かれていきます。

子供たちが逆に楷書からやるのは、”手が荒れる”といって、形ができるまでに形がくずれてしまうので、よくないのではないかということで楷書から学ぶことになりました。

中国の有名な書家たちも楷書や行書、草書を書く時にもっとさかのぼった古い書体を勉強して、草書や行書、楷書のレベルを上げていったと言われています。

草書をきれいに書きたいなと思った時は、草書ばっかりを勉強するのではなく、草書の一つ前の書体、つまり隷書をやります。
一見字の雰囲気は全然違います。
草書はくずれて流れていますが、隷書は読めるけれど平たいつぶれた字ですし、絶対繋げたりしません。
このように全然違うようですが。草書のルーツとなっているのが隷書ですので、一つ前の隷書をやることで、草書がよくなります。
これも字の流れ、書体が変遷として繋がっているからです。

このように、行書をやったほうが、字の流れがわかりやすいですし、楷書のもとは行書なので、ルーツを学ぶということで行書を学ぶことでさらに楷書も上手になります。
字の基本はやはり楷書ですので、楷書をきっちり書けるということが他の書体の上達にも繋がると言われています。

いろいろな教え方があります。
大人の方は読める範囲で行書を練習された方が、字の腕は上がるのではないかと思います。

しかし、行書を書く時に字の形がわからない、難しいなと思うことがあります。
もとの字、楷書が何たるかをわかった上で書くと、筆順通りに筆を送っておけば、その行書の形になりますので、行書の繋がりや、流しているところを真似するよりもまずはいいかもしれません。
もとの漢字、楷書をわかって、その筆順どおりに気持ちの流れ、筆の流れをつなげていくと、そういう行書のかたちになるとわかってきます。
そうすると、また一層昇級、昇段されていくのではないでしょうか。

以上、華子先生の貴重なお話でした。

ご相談いただいたフォロワーさま、気付きのあるご質問、ほんとにありがとうございました。
おかげで私自身も知らないことをたくさん知ることができました。
書道をされていない方にとってもお役にたつお話だったのではないかと思います。
みなさまのご参考に少しでもなれば幸いです。

それでは最後に恒例の

今日の水書き書道のコーナーです。
今日の草書はこちら!
何の漢字でしょうか?

正解はこちら!
まずは行書で

次に楷書で

でした!

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました!


おやすみなさい🌷

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