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【影響工作の脅威3パス目】「川に落ちた犬は棒で叩け」摂理について。

引き続きこの投稿のブランチ。
ロシアの影響工作(Influence Operation)

米国及び周辺諸国の脅威に対し、独特の安全保障観をもつロシアでは、近年、確実な安全保障を求めて、非軍事・軍事のあらゆる手段をもって戦う「ハイブリッド戦」という戦い方を模索している。このハイブリッド戦の根底には、中国の人民解放軍将校(喬良大佐及び王湘穂大佐)が1999年に打ち出した「超限戦」という戦略があるのではないかと言われている。

ロシアは、従来から保持している固有の安全保障戦略とこの「超限戦」とを比較・研究し、戦略文書としてその内容を取り入れたのではないかと見られている。ロシアの「ハイブリッド戦」という戦い方が、文書として対外的に初めて明らかになったのは、2013年2月に、ゲラシモフ参謀総長が発表した安全保障論文「先見の明における軍事学の価値」と言われている。その戦いの中核となっているのは非軍事手段の「影響工作(Influence Operation)」
を中心とした情報戦である。この戦い方は、第7の領域(認知領域)での戦いとも表現でき、従来では体系的にカテゴライズされていなかった領域での戦いとも言える。

上掲「ロシアの影響工作(Influence Operation,2020年)」

今回の題名の格言は魯迅の言葉より。かなり複雑な広まり方をしました。単なるエスニック・ジョークに止まらない独特の不快感がつきまといます。

当時実際に起こったとおぼしき事は?

今回の訂正内容は以下の投稿中の記述です。

以下の記載を読んで引っ掛かる部分がありました。

2016年の米大統領選挙の際に広まった「偽のニュース」という概念には、客観的な真 実の歪曲と誤解を招くような内容が含まれている。Thomas Jefferson、Mark Twain、 Winston Churchillがそれぞれ書いたとされる一節:「嘘は、真実がその真価を発揮する前に、 世界の半ばを回っている」が現実に生起したとも言える。米国の事例が示しているように、 クリントン国務長官の健康への懸念など、ロシアが発信した偽りの記事は、オンラインで かなりの数の視聴者を集め、米国人口の大部分に到達したことが後に判明している。

上掲「ロシアの影響工作(Influence Operation,2020年)」

まずはそこに至るまでの経緯を思い出せる限り書き出してみましょう。①そもそもアメリカにおける黒人差別問題は「南部における奴隷制農場経営の残滓」なんて単純なものではありません。
アメリカ都市における黒人差別の定量分析 - J-Stage

白人の黒人に対する居住差別は、「アメリカ合衆国における白人の黒人に対する人種差別は北部や西部におけるよ りも南部において最も苛烈に発現している」なる従来の定式に反し南部に最も低く北部に最も高く西部に中間的に現れる。どういう事か。

ほとんどの北部白人は近代工業生産体制下の下級労働力として今なお劣悪な生活環 境のなかで生活している黒人に対して無関心であり,ま たは殆んどその事実を無視してきた。ゆえに差別対策はむしろ南部より不十分で、それを不可とする法的根拠も存在せず、北部白人社会はその様な状況を合法と感受してきたのである。

そして20世紀に入ってからの都市域拡大期、白人は都市中心の旧市街地に激増する黒人やプエル トリコ人との混住を嫌って続々と郊外の新興住宅地帯に移動して白人だけのコミュニティーを形 成。そしてこれに侵入 しようとする黒人に対 して強い連帯意識 をもって阻止と抵抗を続けてきたのである。

上掲「アメリカ都市における黒人差別の定量分析 - J-Stage」択訳

後世の人間が見逃しがちなファクター、それは南アフリカと共通する「白人の誕生こそが黒人の誕生を促した」なる20世紀後半独特の歴史的側面。例えば南アフリカにおいてはいわゆるアパルトヘイト政策の陰で(ボーア戦争で激しく争った)英国系移民とオランダ系移民の協調があったのです。

アパルトヘイトについては対象人種だけでなく、イギリス系よりもアフリカーナが公職でははっきり優遇されていたため、主にイギリス系の白人の多くから反発があった。しかし、アパルトヘイトにより黒人を搾取することで白人両民族が経済成長を達成し、民族間対立が目に見えて緩和されてくるとイギリス系の多くも積極的に国民党とアパルトヘイトを支持するように変化していった。実業界のアパルトヘイトへの態度は微温的に終始した。アパルトヘイトによって高価な白人労働力を使用せざるを得ず、経済制裁によって市場がかなり損なわれたとはいえ、一方で黒人の単純労働力を安価に使用できるメリットは大きかったのである。

上掲Wikipedia「アパルトヘイト」より

アメリカにおいても第二次世界大戦に向けての挙国一致体制下、禁酒法とヘイズコード問題で激しく争ったプロテスタント系旧移民とカソリック系新移民が協調します。

ここでいうプロテスタント系旧移民は主に英国系、元アイルランド支配階層、北欧系を、カソリック系新移民は元アイルランド被支配階層を指します。さらに旧オーストリア=ハンガリー二重帝国系下流ユダヤ人が後者と共闘していました。ニューヨークでアイルランド人とユダヤ人が優勢となり「叩き上げユダヤ人」がエジソン 率いるGEの追及を逃れて西海岸に築いた映画王国に表現規制の手が伸びた時、アイルランド人が救援の手を差し伸べたのにはそういう背景があったのです。

実は悪名高いKKKも最初は黒人でなく、ユダヤ人やカソリックを標的としていたという話。これでは両者が共闘体制に入ったのも当然の話?

かかる米国における挙国一致体制は、秦郁彦 「慰安婦と戦場の性」にもその一環が記された様に「プロテスタント勢とカソリック勢の(表現規制を含む)性倫理厳格化合戦の激化」という思わぬ事態も招きます。さらにはナチスの迫害を逃れて亡命してきた旧オーストリア=ハンガリー二重帝国系上流ユダヤ人が「叩き上げユダヤ人」の経済的成功に嫉妬してこの迫害を加速させました。そう、いわゆる「コミックスコードの時代」の到来です。

こうした状況下、どちらの国でも黒人への締め付けは厳しさを増していきました。それまで差別される側に白人もいたのに「黒人だけが差別される」状況となったのも追加ダメージとなった模様。そう、それまでの暗黙の了解、「カイジ」の帝愛会長の言葉を借りるなら「本当に平等である必要はないが、不平等感を持たれては困る」統治原理は一方的に破られた様に感じられたのです。これが先に述べた「白人の誕生こそが黒人の誕生を促した」の真意。

ホフスタッター「アメリカの反知性主義(Anti-Intellebtualism in Amerucan, 1964)」はこうした白人の欺瞞を鋭く暴く内容でしたが黙殺されてしまいます。そして、その結果起こるべくして起こってしまったのがヒッピー運動と黒人公民圏運動だったという次第。

とはいえBlack Power自体だって相応の勝利を収めた1970年代以降も正義の立場を貫き通せた訳でもありません。メッカ巡礼によって元来のイスラム教は白人と黒人の対立を煽る内容でない事を知ってネーション・オブ・イスラムを脱退し非暴力主義を掲げる黒人公民権運動にメインストリームに回帰したマルコムX。

時代は下りますが白人と「成り上がり黒人」への憎悪で団結する黒人ストリートギャング集団が、その憎悪を持て余してお互い同士も殺し合う凄惨な景色に嫌気が差した伝説的ラッパーの2Pac。

彼らに生き延びる事を許さなかった黒人間の相互憎悪の構造が、皮肉にも彼らが這い上がれば這い上がるほど足を引っ張る様になっていったのです。例えば興味深いのが映画「ロッキー(Rocky, 1975年)」の世界観。公民権運動で勝利した黒人は、それまで同じ底辺で喘いでいた南イタリア系移民を「自助努力が足らない」と馬鹿にして見下す様になり、高圧的態度で接する様になったのでこれに義憤を感じて「下町の英雄」ロッキーが奮起するという筋書きなのですね。最後のアポロとのボクシング対決もシルベスター・スタローンが書き下ろした脚本初稿では「ロッキーの判定負けを契機に黒人と南イタリア系移民の大乱闘が始まってしまう」という救いのないものだったとか。それを読んだ奥さんが「こんな映画誰が見たがるの?確かにロッキーは対戦相手には負けたかもしれないけど、立派に更生するという恋人への約束はちゃんと果たした。なら最後に叫ぶべきは恋人の名前じゃないの?」こうしてあの名台詞「エイドリアン!!」は誕生したという次第。そしてまさにこの作品の登場こそが「(ヒッピー運動などが掻き立てたドロドロした感情を代弁する)アメリカン・ニューシネマの時代を終わらせたとも目されています。

ここで状況をさらに悪化させたのが、米国リベラル勢の態度。伝統的に「本当の意味で白人と真に対等に扱われる事を願う」Black Establishment層を警戒するあまり、Poor Black集団、それもよりによって人数減少をストリートギャングめいた連中で補充してきた公民権運動残党を味方として扱ってきたのです。この集団にさらにアフリカからのイスラム系移民が流入。LGBT層や障害者への伝統的差別に加え「女性を同じ人間として扱わないのが黒人が回帰すべき固有の伝統文化」「女が同じ人間に見える男はもはや人間でない」などと豪語する女性蔑視者などまで現れ、完全にBlack establishment層との連帯感を取り戻すチャンスを消失。

という(TumbrでBlack Establishnmentより聞き齧った)私の先入観では視野に入ってなかった「別の黒人集団」を捉えたニールセン調査。こういう流れもあるから常に最新情報には気を配り続けないといけません。

話をスラム街の黒人に戻すとスパイク・リー監督映画「Do the Right Thing(1989年)」では南イタリア系移民の、ロサンゼルス暴動(1992年)では韓国系移民の経営する個人商店に襲いかかります。まさしく「弱い者達が夕暮れ、さらに弱い者を叩く」景色。彼らは今一体どうしているんでしょう? そういえば「出自の卑しい南イタリア系移民は映画界で成功すると(這い上がるモチベーションを失って)萎縮したり(舞い上がって)迷走したりする」というジンクスがありましたが、スパイク・リー監督もまた…(それ以上いけない)

1848年革命で農民に裏切られて以降「万国の労働者よ、団結せよ!」なるスローガンで団結するに至った欧州の急進共和派(Républicains radicaux)は、(フロベール「感情教育(L'Éducation sentimentale,執筆1864年~1869年、刊行1869年)」で活写された様に)フランス四月普通選挙(1848年4月)でフランス革命当時の革命公安委員会のコスプレをして「今度はプチブル階層も全員ギロチン送りに!!」とシュプレヒコールしながら(赤旗を先頭に)街を練り歩き(三色旗を奉じる)穏健派市民を恐怖のドン底に叩き落として当然の如く選挙で大敗。六月蜂起(les journées de Juin, 1848年6月)で巻き返しを図るもあっけなく粉砕されてしまい、首謀者は国外亡命や植民地流刑を余儀なくされます。パリ・コミューン(Commune de Paris,1871年)蜂起に際して再集結。同様に赤旗を振り翳して穏健派市民を再び恐怖のドン底に叩き落とすも鎮圧に乗り出したヴェルサイユ軍が徹底殲滅。パリ市内にはヴェルサイユ軍大勝利を祝う無数の三色旗が翻ったのです。

上掲「米国で始まった既存活動家とSNS社会の分断。そもそもSNS社会とは?」より

②こういう「単純に誰かが誰かを一方的に差別してる」枠組みでは計れないアメリカ事情は、そのまま国際SNS社会にも持ち込まれてしまう展開を迎えます。

2000年代末~2010年代初頭のTumbrには少なからぬ比率で「男性以外、白人以外、プロテスタント以外」なる共通特徴を有するFacebook脱出組が存在し、それぞれがそれぞれなりにマイノリティとして弾圧された物語を語り合っていたものである(当時の関連ニュースは全て削除済み)。

上掲「とある本格派フェミニストの憂鬱1パス目」

その結果として2016年度大統領選を引き金に発生してしまったのが起こってしまったのが「シカゴFacebook拷問Live事件(2017年1月4日)」だったという次第。

事件の内容は単純明快。とある男女4人の黒人の若者グループが知的障害者の白人青年を拉致し、「トランプ支持者よ、直ちにその立場を改めねば全員こいつと同じ目に合わすぞ‼︎」と叫びつつその頭皮を剥ぐ場面をFacebookでLive実況中継したのです。Facebook視聴者は誰も通報しませんでしたが、シカゴ警察は迅速に動いて犯人を逮捕。tumbr上の黒人アカウント(Black  Establishment中心)はこの事件の犯人を素早く解決した署長署長(たまたま黒人だった)を「身内の恥を少しはすすいだ」た大絶賛。さらにデモを暴動や略奪に脱線させて喜んでいた黒人活動家に対抗して自警団を組織する動きすら見せていたPoor Black層穏健派に「共に再発防止に努めよう」と呼び掛けましたが目に見える成果が出る以前に「2018年の大粛清」に便乗したPoor Black勢の大襲来があって全部潰されてしまいます。

私が思い出せる限りの事実関係は以下。それではこれに関連してどんな「ロシアの影響工作」の可能性が観測されたかというと…

「ロシア影響工作」の影?

最近X(旧Twitter)では一時的に「日本人のクルド人に対する印象を悪くする投稿を日本語で繰り返す自称クルド人アカウント」が大量出現したのです。

関連投稿の一つ。
関連投稿の一つ。
関連投稿の一つ。

シカゴFacebook拷問Live事件(2017年1月4日)に便乗して大量に流された「怪文書」を連想させます。どちらも影響作戦である確証はないですが、その可能性を意識して黙殺するのが正解という話。

The Stern Message That White People Should Take From The Facebook Live Torture:(白人がFacebook拷問ライブから読み取るべきメッセージ:)
White people are in hysterics about a mentally challenged white man being tortured via Facebook live by 4 black youths. We must remember who’s reporting the story. It’s the white media!!! Of course they are going to overreact. They’ve been proven to be inherently racist. The same white media that’s reporting this story, are the ones that are trying to glorify and normalize Neo Nazi’s. You know when a white kid commits an act of terror, this is the same white media that portrays them as an “innocent troubled soul”. Anytime white people get the chance to diminish black people, you best believe they’ll make the most of it. Just remember all the inhumane acts that white people have done to us throughout history.

白人達は、4人の黒人の若者が精神障害者の白人男性に拷問を加える場面がFacebookライブ流された事に神経質になっています。誰が最初に伝え始めたのでしょうか? ええ白人メディアです!! もちろん彼らの反応はいつもの様にヒステリックなものとなるでしょう。 彼らが先天的に人種差別主義者たる事は証明済みですからね。なにしろネオ・ナチスを讃え正当化しようとしている人達の供給源でもあります。実際、白人の子供達が同じ様な恐ろしい行為をしても「無垢なる魂が少しばかり道を踏み外しただけ」と擁護するばかりなのです。白人なるもの黒人を減らす機会を得る度、それを最大限に活用しようとするのは皆さん御承知ですよね? 白人の歴史は私達に加えられてきた非人道的行為の歴史でもある事を決っして忘れてはいけません。

便乗して流れた怪文書。

Do You Remember When You Used To Lynch Us?(あなた達はもう私達を私刑に処してきた歴史をもう忘れ去ってしまったのか?)
White people are acting like they didn’t used to lynch black people for the fun of it. Not only did they lynch us for speaking out against their evil ways, but they used to lynch pregnant women and disabled black people. Let it happen to a white person and suddenly they’re in hysterics. Change the record.

白人達はこれまで黒人に私刑を楽しませない様に気をつけてきました。彼らはそれが邪悪な行為だと言い拡める為にも私刑を遂行し、妊婦まで同席させて黒人達を傷つけてきたのです。同じ事を黒人からされただけで白人達はヒステリックになっています。時代は変わったという事です。

便乗して流れた怪文書。

Would This Have Happened If You Didn’t Vote Trump?(あなた達がトランプに投票しなかったら、この事件は回避し得たかもしれない?)
This is the question that’s at the tip of everyone’s tongue. Could this whole situation have been avoided if white people didn’t vote for trump? Yes it could have been easily avoided!!! It was white people that brought Trump to Power. So white people have only got themselves to blame.

誰もがその事実を突きつけられる形となりました。これは白人達がトランプを当選させなかったら避けられた事件だったのでしょうか? ええ、そうかもしれません。いずれにせよトランプに政権を与えたのは白人達です。だから自分を責め続けるしか他に手がないのです。

便乗して流れた怪文書

そういえば2010年代にあったTumbrにあった「ギリシャ反政府デモなどの暴動場面を次々と流してこれに反応する人々を集め、BLM運動や反トランプ運動のデモに送り込んで喜んでいたラディカル・リベラリスト集団」も疑わしいといえば疑わしかったのです。こちらも「2018年の大粛清」を境に跡形もなく消え失せてしまったので真相は闇の中…

当時頒布されていたGIFの一つ。
当時頒布されていた画像の一つ?(実は記憶が定かじゃない)。おそらく写真はフランスの「イエローベスト運動(2018年)」のもの。

今回の投稿自体はここまで。あまりに長文に渡るので元稿は最後に回しました。実は「ロシアの影響工作」に直接関わってくる部分は全体の一部ですが、改めて「ここをつけ込まれた」という観点から再分析を試みたくなったもので…

「シカゴFacebook拷問Live」事件(元稿)

「シカゴFacebook拷問Live」事件(2017年1月4日)はまさにそんな価値観動乱の最中に起こった象徴的出来事だったのです。

世界中のマスコミが一斉に報道管制を敷いたこの事件の本質、それは国際的にリベラル勢がもはや倫理的一貫性を保てなくなっている点を暴露してしまいました。

そう米国リベラル勢は黒人公民権運動における敗退以降、伝統的に「本当の意味で白人と真に対等に扱われる事を願う」Black Establishment層を警戒するあまり、Poor Black集団、それもよりによって人数減少をストリートギャングめいた連中で補充してきた公民権運動残党を味方として扱ってきたのです。この集団にさらにアフリカからのイスラム系移民が流入。LGBT層や障害者への伝統的差別に加え「女性を同じ人間として扱わないのが黒人が回帰すべき固有の伝統文化」「女が同じ人間に見える男はもはや人間でない」などと豪語する女性蔑視者などまで現れると、完全にBlack establishment層との連帯感を取り戻すチャンスを消失。なおに情報源はやはり以下辺り。

2000年代末~2010年代初頭のTumbrには少なからぬ比率で「男性以外、白人以外、プロテスタント以外」なる共通特徴を有するFacebook脱出組が存在し、それぞれがそれぞれなりにマイノリティとして弾圧された物語を語り合っていたものである(当時の関連ニュースは全て削除済み)。

上掲「とある本格派フェミニストの憂鬱1パス目」

事件の内容は単純明快。とある男女4人の黒人の若者グループが知的障害者の白人青年を拉致し、その頭皮を剥ぐ場面をFacebookでLive実況中継したのです。オリジナルの声明は「トランプ支持者よ、直ちにその立場を改めねば全員こいつと同じ目に合わすぞ‼︎」といった脊髄反射的激昂に満ちた内容でしたが(全米でトランプ支持者家屋への投石事件などが相次いでいた時期)紛れてSNSには匿名で怪文書が流布。「白人は昔からあらゆる手段で我々を陵辱してきた。実際我々は弱者だ。だからお前達の側から女子供や障害者を差し出せ。そいつらがどんな目に遭わされても、少しでも償いになったと喜んで笑え。その程度の事も自分で思いつけないなら、お前らはもはやリベラルでも何でもない」。それまでの経緯もあって白人リベラル側からこの妄語を嗜める声は一切起こらず、かえってネット上には「よくぞ言ってくれた。確かに彼らの言う通りだ。彼らがそう望むなら、我々に拒絶権はない」といった「(おそらく敵対するサイドが捏造した)義挙の主旨への賛同の声」がズラッと並ぶ展開を迎えたのです。この事件が「リベラルの死亡通知」といわれるのは、そうした展開に対して相応の反論がなされ、レスバトルに発展する展開が全く見られなかったから。

関連投稿の一つ

The Stern Message That White People Should Take From The Facebook Live Torture:(白人がFacebook拷問ライブから読み取るべきメッセージ:)
White people are in hysterics about a mentally challenged white man being tortured via Facebook live by 4 black youths. We must remember who’s reporting the story. It’s the white media!!! Of course they are going to overreact. They’ve been proven to be inherently racist. The same white media that’s reporting this story, are the ones that are trying to glorify and normalize Neo Nazi’s. You know when a white kid commits an act of terror, this is the same white media that portrays them as an “innocent troubled soul”. Anytime white people get the chance to diminish black people, you best believe they’ll make the most of it. Just remember all the inhumane acts that white people have done to us throughout history.

白人達は、4人の黒人の若者が精神障害者の白人男性に拷問を加える場面がFacebookライブ流された事に神経質になっています。誰が最初に伝え始めたのでしょうか? ええ白人メディアです!! もちろん彼らの反応はいつもの様にヒステリックなものとなるでしょう。 彼らが先天的に人種差別主義者たる事は証明済みですからね。なにしろネオ・ナチスを讃え正当化しようとしている人達の供給源でもあります。実際、白人の子供達が同じ様な恐ろしい行為をしても「無垢なる魂が少しばかり道を踏み外しただけ」と擁護するばかりなのです。白人なるもの黒人を減らす機会を得る度、それを最大限に活用しようとするのは皆さん御承知ですよね? 白人の歴史は私達に加えられてきた非人道的行為の歴史でもある事を決っして忘れてはいけません。

便乗して流れた怪文書。

Do You Remember When You Used To Lynch Us?(あなた達はもう私達を私刑に処してきた歴史をもう忘れ去ってしまったのか?)
White people are acting like they didn’t used to lynch black people for the fun of it. Not only did they lynch us for speaking out against their evil ways, but they used to lynch pregnant women and disabled black people. Let it happen to a white person and suddenly they’re in hysterics. Change the record.

白人達はこれまで黒人に私刑を楽しませない様に気をつけてきました。彼らはそれが邪悪な行為だと言い拡める為にも私刑を遂行し、妊婦まで同席させて黒人達を傷つけてきたのです。同じ事を黒人からされただけで白人達はヒステリックになっています。時代は変わったという事です。

便乗して流れた怪文書。

Would This Have Happened If You Didn’t Vote Trump?(あなた達がトランプに投票しなかったら、この事件は回避し得たかもしれない?)
This is the question that’s at the tip of everyone’s tongue. Could this whole situation have been avoided if white people didn’t vote for trump? Yes it could have been easily avoided!!! It was white people that brought Trump to Power. So white people have only got themselves to blame.

誰もがその事実を突きつけられる形となりました。これは白人達がトランプを当選させなかったら避けられた事件だったのでしょうか? ええ、そうかもしれません。いずれにせよトランプに政権を与えたのは白人達です。だから自分を責め続けるしか他に手がないのです。

便乗して流れた怪文書。

その一方で(マスコミが一切報じなかったので真偽不明ながら)全米規模で銃弾販売量と高級住宅街での「不法侵入黒人の正当防衛射殺」の増大が見られたとされています。要するに南北戦争に北軍が勝利して以来の米国白人原理「我々は理念として黒人差別には反対する。そしてその事は、視野内に入ったクロンボを片っ端から正当防衛で射殺する行動と矛盾しない。守らねばならない家族がいるのだから」が再確認されたという認識。
アメリカ都市における黒人差別の定量分析 - J-Stage

白人の黒人に対する居住差別は、「アメリカ合衆国における白人の黒人に対する人種差別は北部や西部におけるよ りも南部において最も苛烈に発現している」なる従来の定式に反し南部に最も低く北部に最も高く西部に中間的に現れる。どういう事か。

ほとんどの北部白人は近代工業生産体制下の下級労働力として今なお劣悪な生活環 境のなかで生活している黒人に対して無関心であり,ま たは殆んどその事実を無視してきた。ゆえに差別対策はむしろ南部より不十分で、それを不可とする法的根拠も存在せず、北部白人社会はその様な状況を合法と感受してきたのである。

そして20世紀に入ってからの都市域拡大期、白人は都市中心の旧市街地に激増する黒人やプエル トリコ人との混住を嫌って続々と郊外の新興住宅地帯に移動して白人だけのコミュニティーを形 成。そしてこれに侵入 しようとする黒人に対 して強い連帯意識 をもって阻止と抵抗を続けてきたのである。

上掲「アメリカ都市における黒人差別の定量分析 - J-Stage」択訳

この時、tumbr上の黒人アカウント(Black  Establishment中心)はどう振る舞ったのか。この事件の犯人を素早く逮捕し「身内の恥を少しはすすいだ」たシカゴ警察署長(黒人)を大絶賛し、デモを暴動や略奪に脱線させて喜んでいた黒人活動家に対抗して自警団を組織する動きすら見せていたPoor Black層穏健派に「共に再発防止に努めよう」と呼び掛けたのです。しかし実際には目に見える成果が出る以前に「2018年の大粛清」に便乗したPoor Black勢の大襲来があって全部潰されてしまいます。

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