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選手の助けになりたい全ての育成年代コーチに伝えたい10のコト(仮)



はじめに 何者にも近づける現代

『子どもがサッカーを始めたけれども、親として何かサポートできることはないだろうか』

自分のこどもが何かを始めたら親としてはそれをできるだけ支えてあげたい。

YoutubeやTikTokでいろんな練習方法載ってるな、よしこれをこどもにやらせてみよう。あれ?この子、自分のこどもと同い年なのにめちゃくちゃボール扱うの上手いな。なになに?あのフットサル場でやってるスクールに通わせてる?よし、じゃあ体験いってみよう。よし、、、月曜はここのスクール、火曜日は英語、水曜日はスイミング。木曜はあの子が通っているというスクールに行かせて、金曜日は勉強も困らせたくないから学習塾に。土曜日は試合がない日は朝からSNSで見たあの練習をさせて、日曜日は試合だから一日中試合だ。試合の合間にも色々面倒みないとな。。。

こんなふうに2024年現在、多くのこどもたちが親のサポートによって日々のスケジュールを管理され、世界で活躍する人材へ、はたまたスポーツでは日本代表までいかなくても、全国大会で活躍する選手になろうとしています。

僕がこどもの頃は、放課後みんなでグラウンドで集まりボールを蹴って、テレビで見た中村俊輔のFKを真似したり、はたまた自転車で数キロ走らせてカードゲームの新弾を買い求め彷徨ったり、自然の多い公園で秘密基地で自分たちだけの空間で時間を過ごし、たまに入っちゃいけないところに侵入して大人に怒られたり。過去は美化しがちなので、そのほうが良いと一言で片付ける気はサラサラありませんが、兎にも角にも、今を生きるこどもたちとは些か勝手が違うように思います。

無限に与えられた選択肢のなかで自ら道を切り拓いてあーでもないこーでもない言いながら白いキャンパスに自らの画材で線を描いていく、塗りつぶしていく。

いまの子供たちは、成功までの道筋のために多くの周りのサポートや情報を得ながらキャンパスを設計していく。されていく。

となったときに一言でいえば情報が多いんですよ。一昔前に比べて、DVDでロナウジーニョの凄テクを学ぶだけではなく、多くのコンテンツから情報が得られるんです。みんながファンタジスタを志すわけではないんです。デ・ブライネにもメッシでも、三笘にも、何者にでも近づけるんです。

だからこの記事では、多すぎるコンテンツのなかから、これだけは抑えておいてほしいというもの・考え方を親御さん向けにできるだけ分かりやすく伝えられる記事になればと考えています。また、大場が育成年代に関わってきて多くの指導者とも出会ってきました。学んできました。そのなかで大事だなーとなったことについてまとめていきます。

何者にでもなれる現代だからこそ、何者にも共通する土台

それがわかる記事になればいいなと考えています。

随時、内容は更新されていきます。なのでタイトルは(仮)なのです。

今回この記事を書くきっかけをくださった、普段よりお世話になっているフィジカルコーチ青柳さん(@aoyagiphysical)に心からの感謝を。

①マインドセット

さて、マインドセットのお時間です。

『おいおい、具体的なプログラムが欲しいんよ』
『うちのこどもが上手くなる最速ノウハウのチャート式は??』

わかります。この情報社会、結論から言ってほしいし、必要な情報だけ抜き取りたいですよね。だからYoutubeはショート動画が流行し、TikTokが隆盛しています。結論、要点、わかりやすい動画コンテンツ。

だからこそなんです。最初に1番大事なものをもってきました。

1番大事なものはマインドです。何をもって目の前の現場と向き合うか。平日仕事をして出来るならば土日は家でゆっくりしたいのが大人のサガ。当たり前の感情です。ですがこの記事を見ているそこのアナタはこどもと向き合う土日を選んだわけで、なんなら沢山サポートしたい。

我々コーチは現場ではどう考え、伝えていくべきか。

ひとつ、みなさんに質問です。
『プロ選手を沢山輩出した人が“良いコーチ”ですか?』

んー、これはなかなかにクリティカルな質問です。おそらく大多数の人が良いコーチと答えると思いますし、そこに異論はありません。

ですが、そこが必ず全員のゴールではないことも同時に知っておかなければならないとも、思います。僕であれば“良いコーチ”は
『選手が成長を実感し、それぞれの目標に向かうサポートをできる人』が“良いコーチ”です。

僕自身、地域の少年団からプロチームの下部組織、小中学生向けのスクールそして高校生の部活。様々な背景と目標を持った多くの選手たちに関わってきました。活動を通して学んだことは「全員がプロを目指しているわけではない」ということです。

つまり、「上を目指すために」「試合に勝つために」が先行しすぎるとそれは押しつけになり、こちらのエゴになることもあり得るということを頭に入れておかなければなりません。じゃあ負けてもいいとかそういう話じゃないですよ?

②小学生で身につけておくべき技術

育成年代といっても小学生から高校生までレンジは広くなってしまうので、ここでは小学生で身につけておくべき技術にフォーカスします。

バルセロナや川崎フロンターレのようなパス技術?メッシやネイマールのようなドリブル技術?結論としてはどちらも、です。

パスとドリブルを切り分けて考える必要はなく、両方が重要な技術かつ、それを実行するためのトラップ・ボールコントロール技術も必要です。

じゃあどれくらいか?って考えた時に自信を持って1×1が仕掛けられるくらいを指標とします。

1×1とは相手を抜き去るものというイメージがどうしても先行すると思いますが、そうではありません。例えば2023年現在、ブライトンで活躍する三笘選手の1×1の技術はテレビやSNSで見るものは相手を華麗に抜き去っているシーンですが、実際に彼が素晴らしいとされているのはドリブルだけではなく、パスもちゃんと選択肢に入っている中でプレーを選択していることです。

で、つまるところそれを身につくようなトレーニングを段階を踏んで選手には仕込んでいく。そのナビゲートしていくのが我々指導者の仕事です。

プレー要素を分解していくと
①自分の足元近くにボールをコントロールすることが出来る
②周りを見ながらぶつからないように運ぶことが出来る
③ドリブルスピードに変化がある場合でも①②のことが出来る
④ドリブルだけでなく状況によってパス・シュートを使い分けることが出来る

大きくカテゴライズするとこの4段階になると思います。また、この④の段階まできたときにそこにプラスしてタイミングやパス・シュートの種類・質が問われていきます。そして学年が上がれば上がるほどその判断スピードが速くなっていくことが求められていくわけです。

自分のプレーの“理由”を理解する


小学生年代はとくに心身の成長のスピードがバラつきがあります。身体が大きく、足が速い選手が試合のなかで優位をとっていきます。

その生まれ持った才能や、早い成長スピードに任せて、『なぜ上手くいっているのか』をなおざりにしてしまうと同じ身体能力をもった選手に出会した時、もしくは、カテゴリーが上がったときに大変苦労します。

なので、自分がなぜ今上手くいっているのかを気づかせてあげられるようにしてください。ボールの運ぶ位置が良かったのか、抜きに行くタイミングが良かったのか。その前の見せ方が良かったのか。身体の向きなのか距離感なのか。。。指導者の皆さんにはうまくいっている理由を分解して選手に伝えてあげられる目線を持てるようにしてみてください。

③声かけ


・褒める、寄り添う
・問いかける5W1H、自ら考える習慣をつける

コーチングには多くのスタイルがあります。
指導者の数だけ、コーチングのスタイルがあると僕は考えます。
同時に、選手の特性によっても接し方を変える必要があります。
選手の特性について具体的に考慮すべき要素は
①年齢
②どんな集団に所属しているのか
③どんな背景でその競技をしているのか
④性格
大きく分けてこの4要素でいいと思います。
まずは「年齢」について。相手が小学生なのか、大人なのか。それによって言葉の選び方や接し方を変えなければなりません。当たり前の話ですが、抜け落ちがちで、これは大前提で考えなければなりません。
とくに、この文章を読んでくれている皆さんは小学生年代を担当している方が多いでしょうから、「小学生が相手であり、大人や経験者を相手にしているのではないということを抜け落とさないようにしましょう。
次に、「どんな集団に所属してるのか」について考えていきましょう。いま目の前にいる選手がどんな集団に所属している選手なのか。
Jリーグの下部組織?街クラブ?地域の少年団ですか?そのチームは習い事の一環で集まっている選手が多いのか?それとも少し時期尚早かと思いますが競技志向なのか。その所属している集団に応じて我々は選手の成長を促していかなければなりません。
「どんな背景でその競技をしているのか」これは前述のどんな集団に所属しているのかと重複する部分はありますが、どちらかといえばその選手のルーツです。W杯の日本代表の活躍を見てサッカーを始めたのか。親に言われて始めたのか。それとも友達と放課後ボールを蹴っていたら夢中になったのか。選手それぞれに、それぞれの理由があります。理由を理解すると、選手との距離を縮めていくことに多くの助けをもたらすはずです。
最後に性格です。忍耐強いのか、気分屋さんなのか。ルーツによってもピッチでの振る舞いは変わるでしょう。もしかしたらフットボールが大人へと性格を昇華させるかもしれません。大事なことは画一的に同じように選手それぞれに振る舞うのではなく、できる限り個人に寄り添えるように。伝えるべきタイミングと内容含めて考えられるといいですよね。

褒める、寄り添う


僕自身が選手だった頃。今から約10年前に遡るときに監督やコーチから言われたことで何が印象的に残っていますか?当時の同級生と酒の席で思い出話に花を咲かせるときに、何が1番盛り上がりますか?
僕は①怒られたこと②褒められたこと③無茶苦茶だったこと。この3つは皆さん思い浮かべることだと思います。監督コーチといったスポーツの現場だけに限らず、学校の先生や周りの大人たちに対しての印象ってこうなんじゃないかな、と。
で、結局のところ、褒められたことは永遠に覚えているし、怒られたことは教訓にしているだろうし、無茶苦茶だったことは笑い話にもなるし、恨んでいますよね。笑
なのでこの3つの要素を我々指導者はうまく利用しながら選手に伝えていかなければなりません。このバランスを間違えると一気に選手との信頼関係は破綻するし、選手が成長しなくなるように思います。高校生でも小学生でも大人でも、年齢関係なく共通してこのバランス感は大事にしていきたいものです。
で、この章の冒頭にもあるように指導者にはそれぞれスタイルがあるのでそのバランス感の比率は異なると思いますが、僕はみなさんに「人間、褒められたほうが成長するよね」ってことを強調して伝えたいです。

問いかけ


「選手に問いかけよう!」ということは指導者養成講習会にて、チューターの講師の方々からよく聞こえてくるワードです。
その問いかけの仕方も人によって様々ですし、どれが正解というのはないとも思います。が、自身が選手役としてプレーしている時に感じたのは“考えさせる問いかけ”はしっくり自分の中に感覚として入ってきました。

たとえば、プレーを止めて「いま何考えてました?」から始まる指導者が求めている答えに誘導していく問いかけのやり方も選手の年齢やアプローチの仕方として状況によってはありでしょう。また、元日本代表監督オシム氏が現場のコーチに指摘したように、エラーの原因をコーチが捉え切れていなくて、エラーの根本原因がそもそも技術エラーなのに思考のエラーと捉えて詰められて、というのも多々あります。
選手へ落とし込むのと、自発性を促し成長させるのと、でアプローチの仕方は変わります。つまり、指導者がそのトレーニングを通して、何をどのような経緯を踏ませて獲得させたいのかによって、問いかけの質と中身はまた変わってくるということです。

④フィジカルは必要?

・今を生きる子どもたちの環境
・多くの感覚を養うフィジカルトレーニング


今を生きる子供たちの環境


現代の子どもたちの生活環境を改めて考えてみると、我々が子どもだった時と比べて、制限が多くなった環境となりました。

僕自身は埼玉の川越で育ち、たまたま小学校の校庭と林がくっついていた環境にあったため、木登りや、登ったり降ったりする坂道があったり、地面から出ている根っこを掻い潜ったり、茂みの中に隠れたり、多くの感覚がそこで養われたと思います。また、グラウンドも比較的広かったこともあり、ボール遊びはなんでもしてOK。小学四年生のときの担任がラグビー出身の先生だったので、“モグラ”というラグビーを改良した遊びというか戦争をしていた記憶があります。

そういった環境と比較して、いまは前述した遊びを子どもたちが遊びのなかで危険も含めて学習していく時代ではなくなりました。

その場ではそもそもやれることが制限されていたり、何かするにしても管理してくれる人がいて、我々の時代が良かったということを言いたいわけではありませんが、良し悪しがあるということです。

でもまー、そのときに親の代わりに叱ってくれたり、心配してくれる近所の大人がその場にいたこともあるんですけどね!今ではそういう役割を担ってくれる人がいないor関われない世の中なのです。

多くの感覚を養うフィジカルトレーニング

というわけで、フィジカルトレーニングというと皆さんはどういったことを思い浮かぶでしょうか?思いダンベルを上げること?兎跳び?きつい走り込み?

兎跳びは足腰にダメージが多すぎるということで敬遠されがちにはなりましたが、一般的にはキツイことをできるようになっていくようにすることをフィジカルトレーニングと聞いて思い起こすのではないでしょうか。

現在、市立浦和をサポートしてくれている青柳さんによると、そういった側面ももちろん大事なんだけれども、身体の操作性や感覚を研ぎ澄ませる、引き出していくことも大事なんだと教えてくれました。

例えば、狙ったタイルの上にぴったり両足を揃えてジャンプして着地することや、筋肉を刺激してその周りの可動する部位をより動きやすくすることなど、そういったものです。

大場は残念ながらフィジカルを専門に学んできたわけではないので、詳しく言及することは出来ないのですが、つまりは我々が幼少期に自然と培ってきたものをトレーニングで呼び起こす、もしくは刺激して入れていくということが、現代ではより求められているのです。

フィジカルというと身構えてしまいますが、サッカーの中で起きうる動作を研ぎ澄ませていく、プラス起きなくてもパワーの最大値を引き出せるように、上げていけるようにウェイトトレーニングを行う。我々が行うべきトレーニングは次のステップに来たようです。

(編集:2024年4月25日)
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