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【読了】人事と採用のセオリー 上司と部下の相性問題

早期離職防止コンサルタントを名乗っている以上、読まないわけにはいかないと思っていた本です。

人事の6つの機能として「採用」「育成」「配置」「評価」「報酬」「代謝」に分類し、それぞれについて考え方や具体的な対策の方法がわかりやすく書かれています。

作者の曽和さんが元リクルートで採用責任者をしていたということもあってか、タイトル通り、後半部分のほとんどが採用について書かれていますが、個人的に一番参考になったのは「配置」についての話しです。

上司と部下は同じ価値観の方がいいとも限らない

曽和さんは配属について、相性の大切さを書いています。
さらに相性といっても考え方や価値観が似ている同一性のメリットとデメリット、そして考え方や価値観がち違う異質性のメリットとデメリットについても言及されています。

例えば、上司と部下が同質の場合、早い段階で仲良くなりやすいもののマンネリ化しやすいというデメリットもあるとのこと。言い換えれば、“なぁなぁな関係”になってしまう可能性があるということでしょう。上司と部下が異質、つまり考え方が違う場合はお互いを理解するまでに時間はかかりますが、理解しあえたあとはお互いが補完関係になって力を発揮できるメリットもあると書いています。

確かに同質な方が相互理解はしやすいですが、考え方が偏る危険性もあります。一方、異質なためにお互いにわかりあえずに喧嘩別れしてしまうことも少なくないので、異質な者同士で組む場合にはサポートも必要になるでしょう。

早期離職者は「人間関係は良かったけど尊敬できなかった」という人もいる

新入社員の配属の際上司と新入社員の相性に頭を悩ます人事の方は少なくないと思いますが、曽和さんが本書に書いているような、同質性と異質性のメリット・デメリットを考慮すると、今までにはなかった配属が浮かんでくるかもしれません。

早期離職という観点からいうと、相性と似ているけど少し違う要素として「上司や先輩に憧れるか」というポイントがあります。早期離職白書2019に向けたインタビューとアンケートは現在集計中なので正式なデータではないですが、現時点のデータだと、早期離職者のうち「上司との人間関係は良好だった」という人は多いのに「憧れる上司がいた」とこたえている人は少ない傾向があります。

もしかすると、相性や人間関係以上に憧れの存在になる上司や先輩が身近にいる部署に配属した方がいいのかもしれない。最近はそんなことを思っています。


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