見出し画像

大企業から若者が逃げている。「安定」の意味の変化

大卒の新卒3年以内離職率(早期離職率)は32.3%です。(厚生労働省の発表データより)

早期離職率は当然、企業規模によっても差があります。
大企業の方が辞めにくい。規模が小さい企業ほど早期離職率は高い。というのは過去から現在まで変わらぬ事実です。

今も大企業の方が辞めにくいのは事実なのですが、中小企業との差は小さくなってきています。

いわば「若手社員の大企業からの脱出」が一部で始まっていると見ることもできます。

早期離職率は32.3%ですが、
事業の規模別に見ると下記のようなデータになります。

5人未満 54.1%
5~29人 49.6%
30~99人 40.6%
100~499人 32.9%
500~999人 30.7%
1000人以上 26.1%

規模が大きいほど早期離職率が下がっていることがわかります。
一方で、経年では違った側面が見えてきます。

1000人以上(=大企業)の早期離職率と全体平均の早期離職率の差を見ると、

2004年卒 10.0ポイント差
2019年卒 6.2ポイント差
2020年卒 6.2ポイント差

と、以前に比べてその差が小さくなっていることがわかります。

つまり、
「大企業に入った方が社員は辞めにくい」と言える一方で、
「大企業と中小企業の離職率の差は年々なくなりつつある」ことも、また事実なのです。

しかし、マイナビの就活生への調査では、就活時の企業選びの基準として「安定した会社」が5年連続トップです。
安定した会社を求めているのに、大企業で離職率が上昇傾向にある。
この一見矛盾した現象のこたえこそ「安定の意味の変化」にあると、私は思います。

かつては「会社が安定して業績を上げることと、自分の食い扶持が安定確保できること」がほぼイコールでした。
しかし、今は黒字の会社がリストラをする時代。
会社の安定と個人の安定は別になってしまっています。

そんな時代において、大企業から逃げ出す若者が求めるのは「成長予感」なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?