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キャリアでも「タイパ」(タイムパフォーマンス)重視の時代

タイパ=タイムパフォーマンスという言葉をよく聞くようになりました。
三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」で大賞にも輝くなど一般化していますね。

タイパの意味はおおむね、こんな感じです。

  • かけて時間に対して効果(満足度)

  • 時間的な効率、能率

  • あることにかけた時間から得られる見返りや利益

  • 費やした時間に対して得られる成果・満足度の割合

そして、このタイパが今はキャリアにも求められる時代になっていると思います。

キャリアにおけるタイパ重視とは何か?

キャリアにおけるタイパ重視とは、無駄な苦労をせずに手っ取り早く最短距離でなりたい自分になることです。

下積みとか、若いうちは苦労するとか、そういうのは嫌なわけです。

例えば、うなぎ職人には「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という格言があると言われています。串打ちをマスターするのに3年、うなぎを裂くのは8年かかる。焼き方は一生をかけて追及していく=完璧にマスターすることはないという意味合いです。
ものすごくタイパ悪いですね。
当然、こういうタイパの悪い仕事の仕方は避ける人が多くなります。

変化の激しい時代の中で、キャリアのタイパを重視するのは当然

私自身、26歳で勢いだけで起業したので、下積み時代を耐え忍ぶみたいな考え方は持っていません。だからタイパ重視の考えには共感する部分も多いです。

キャリアにおけるタイパ重視の背景には、時代の変化が早いことも関係しています。
上司の言うとおりに下積みを積んでいたら、いつの間にか時代が大きく変化して、自分が下積みを終える頃にはスキルが役立たずになっていた、なんて可能性もあります。
デジタル技術の進化や社会情勢の変化など、1年、2年先の未来すら何が起きるかわからない世の中で「この技術さえ習得すればなんとかなる」と思いながら下積み時代を過ごす余裕はないのです。

キャリアでタイパを重視しすぎることのリスク

一方で、タイパを重視しすぎることでのリスクもあると思います。

私は新卒入社後3年以内で辞めた方へのインタビュー(早期離職者インタビュー)をこれまで300人以上のかたにおこなってきました。年々、タイパ重視で辞める人は増えている印象です。

タイパ重視の人は「ちょっと違うな」と思うとすぐに転職活動を開始します。そのバイタリティもあって、けっこう簡単に転職先は見つかります。ただ、転職先でも「ちょっと違う」と思うと転職をします。

30代前半くらいまではこのパターンでも転職先は見つかりますが、歳を重ねた時にはマネジメント経験がないと転職が厳しくなるかもしれません。

また、何より自分の可能性を自分で狭めてしまっている可能性もあります。

計画的偶発性理論という考え方もあるくらいで、予期しない偶然の出来事で自分のキャリアが花開く可能性もあります。

計画的偶発性理論とは個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。

Wikipediaより

私も今では企業研修を年間100件以上登壇していますが、別に講師業をやろうと思っていたわけではありません。起業して仕事がなかった頃、偶然に偶然が重なって講師をやることになり、さらに動画配信をやりはじめた直後にコロナの影響でオンライン研修が一気に広がり、引き合いが激増しました。

ちなみに、起業してお金がなかったころには動画で数学の問題解説をする塾のバイトをしていたことがあります。このとき、ビデオカメラに向かって話す技術が上達したことが、オンライン研修にはものすごく役立っています。
何が将来の役に立つかなんてわからないですね、ホントに。

タイパ重視=悪ではない。タイパ重視になっている理由に目を向けつつ対話することが大切。

キャリアにおいてもタイパ重視になっている背景やそのリスクをお伝えしてきました。
今の時代、キャリアにタイパを求めることが悪いわけではありません。
ですから、仮にタイパ重視のキャリアを目指す部下や後輩がいても、論破したり同調したりするのではなく、その背景に目を向けつつ、タイパ重視に偏り過ぎることのリスクも伝えながら対話していくことが大切だと思います。

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