マスクを外したら笑顔のコストが高くなる
世の中は脱マスク社会に進んでいるようだ。
私も先日、あまりの暑さ(※5月の記録的猛暑)にマスクを外して外出してみたが、口元をおおわれていない爽快感が思ったよりも大きい。
いつも無駄に終わっている目から下のメイクも日の目を浴びてなんだか輝かしい。リップの色を選ぶ手つきにも力が入るというものだ。
ただ、マスクを外したことで若干不便に感じることがある。
笑顔の高コスト化だ。
どういうことか説明するため、話は過去にうつる。
昔、私がとある推し活においてメンターとしていた女性がいた。
その方は、たまにテレビ出演もされるような年季の入った推し活マイスターであり、大変な美人、かついつもにこやかである。
しかし、よく行動を共にさせていただいていた私は何となく察したのだが、彼女の笑顔というのは営業用で、非常な計算の上かたちづくられていた。
人間の自然な笑顔は、口からはじまって目に至る。
目が笑っていないとはよく言ったもので、口だけで終わらず目元まで笑って初めて、他人の心を暖める笑顔になるのだ。
だから目元まで笑うというのは最上級の笑顔の表現であり、究極、目だけ笑ってればいいとも言える。
その女性は明らかに、口よりも早いか同等のタイミングで目元が笑っていた。つまり、意識的に目を細めて眉を下げている。
私は彼女の笑顔を見るたびに感嘆していた。目元から笑うとは器用なことだ。
これにマスクが加わると、言ってしまえば、目だけ笑えばいい。口元がひん曲がっていようと、舌を出していようと気づかれることはない。
なんと、大変にコスパが良いではないか。
感情を伴わず、自由自在に笑顔という最強の武器を行使できる。
私はそのことに気づいてから、笑顔が必要な場面では目元だけ笑わせてきた。相手も笑顔を返してくれることが多いので、効果は十分だったと思う。
しかし、マスクである。マスクを外したら、不気味に目元だけ笑っている女が登場する。また、口も目も笑わないといけない生活に逆戻りである。
これは明確なデメリットだと思う。できたらマスクを外したくない。しかしマスクが無い方が快適である。このジレンマ。
そう、では、マスクをモニタにしてはどうか。
その人にとって理想的な口元を常に表示しておくモニタである。目元が笑ったら連動して口元も歯並びの良い笑顔を見せる。口元のコンプレックスはすべて解消される。素晴らしいではないか。
若干、コストが高そうなのが気になるが、どうだろうか。別に今じゃなくていい。十年後くらいにこの記事を見つけたビジネスアイディアに飢えるあなた、このアイディアをぜひクラファンしてみないか。需要はここにある。
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