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「レディ加賀」:加賀温泉の街おこしにタップダンスを盛り込んだ異色映画。地震前製作の映画だが、いろんな意味で応援したい!

<あらすじ>
加賀温泉にある老舗旅館「ひぐち」の一人娘、樋口由香(小芝風花)は、小学校の時に見たタップダンスに魅了され、上京してタップダンサーを目指していた。しかし、現実はうまくはいかず、夢を諦めた彼女は実家に戻って女将修行を始める。何をやっても不器用で苦戦するが、持ち前の明るさとガッツで奮闘するなか、加賀温泉を盛り上げるためのプロジェクトが発足する。由香は新米女将たちを集めて、タップダンスのイベントを開催することになるが……。

KINENOTEより

評価:★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

石川県にある名湯・加賀温泉の老舗旅館で育った一人の女性が、キャリアチェンジのために始めた女将業。その延長で温泉を盛り上げるために、女将学校に集まった若女将たちとタップダンスチームを組むという異色映画。ここに書かなくても多くの方にとっては、ちょうど今年(2024年)の1月1日に起こった令和6年能登半島地震が頭にちらつきます。加賀温泉は能登半島ではなく、どちらかと言えば福井に近いところに位置しているので、直接的な関係はなく、映画の製作も当然地震前になるので物語の中に大きく影響してくることはないのですが、どうしても応援という意味で見てしまう方もいるのかな、、と思いながらの鑑賞となりました。

僕は学生時代の2年間を金沢で、もう2年間は金沢の近郊都市である辰口町(現・能美市)で過ごしたこともあり、金沢や石川県というのは自分の中で勝手に第2の故郷的な感覚があります。リモートワークが広がったここ2,3年でワーケーションを兼ねて平日に金沢だったり、富山だったりで仕事をすることがあったりするのですが、北陸新幹線が開通して、今ではどちらかというと東京寄りの比重が大きい街になってきたと感じます(僕が住んでいる頃は北陸は関西の延長地域みたいな雰囲気でしたが、、)。ただ、古くから加賀温泉なり、山代・山中温泉などは有名だったものの、新幹線で金沢の中心地はインバウンドも含め、首都圏の観光客や外国人が増えてきたとは思うものの、住む町としての郊外部分は良くも悪くも僕が住んでいた時とあまり変化がないな、、と車を走らせていると思います(これもドーナツ現象といえるかもです)。そうした観光部分以外の地方都市の機能としては確実に人は減ってきているのは感じるので、本作のタップダンスにように、そうした観光都市に働く若者を如何に集めてきて、街全体を活性化させるのか(映画でもこのテーマに触れている部分がありますが)、、が次の課題かなと思います。

と、映画に関係ないことに触れながら、本作の感想ですが(笑)、ちょっといろんな色眼鏡で見ないと鑑賞には難しい作品かなと個人的には思いました。予告編を観る限りだと、プロのタップダンサーになる夢破れて、地元に戻った女性が女将業を始めるという、まぁ、よくある跡継ぎ頑張り系(?)の作品かなと思ったのですが、物語が途中からタップダンスで地方盛り上げという別テーマが上がってきて、女将業頑張りが、いつしかタップダンス頑張りにすり替わってくるんですよね。。これが納得できれば、終幕がタップダンスのシーンで終わるので盛り上がって見れると思うのですが、えっ、女将業の話じゃないのって前半部のきっかけ部分に躓いちゃうと、終わりまで「??」が頭からぬぐえないまま終わってしまった印象が強いです。出てくる役者さんの演技も悪くないし、地方盛り上げも大事なので提示するテーマとしては悪くないだけに、もうちょっとお話を整理したほうがよかったかな、、と思いました。

<鑑賞劇場>MOVIX京都にて


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