夏の終わり

わたしたちの夏が終わった。

同じ場所にいて、同じ音を聴いていた。
わたしは彼を見ていた。



わたしは
あのときどんな顔で彼の話を聞いていたんだろうか。

彼はわたしのことを見つけると、
そこから視線を離すことなく静かに話し続けた。
それは短く、全てがこもった言葉だった。

わたしは深く頭を下げることしかできなかった。
今までたくさんもらってきたのに、
『よろしくお願いします』に
『頑張ります』を言えなかった。
ただそこにいただけだった。

わたしはこれから
あの瞬間を忘れることはないだろう。


言えなかった『頑張ります』と
言えなかった『ありがとうございます』を
いつか言える日が来るようにと願いながら
それでもそんな日が来ることはないと笑いながら、
近くて遠い場所で生きていくんだ。

また同じ場所にいて、
同じ音を聴ける日がくるだろうか。

あなたもわたしも、夢を叶えられますように。

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