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村上健志の俳句実況(2022/04/30)《+Rx自作10句》

【はじめに】
この記事では、2022年4月30日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返り、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。

過去の自作句や振り返りは上のリストからどうぞ(↑)

0.オープニングトーク

規制もあけ始め、地方ロケが増えたことなどから、少し間隔があいていた「俳句実況」。流石に地方ロケから戻ってきて配信する気力はなかったということもあり、1か月ぶりの生配信となりました。

タイミング的には、ゴールデンウィークの序盤で晩春にあたります。今年は5月5日に来る「立夏」を前に、『当季雑詠』と言った場合の季節感が難しいと感じながら、春から夏の季語を詠んでいこうと意気込んでおられます。

「プレバト!!」で永世名人に王手となる「春の色」の句

前回の配信の後に放送された「プレバト!!」で、村上名人は更に☆を1つ獲得し、「☆4つ」として、永世名人に王手となりました。その句が、

『春の色絵本の並ぶ美容院』

村上健志(名人10段☆4つに前進)

でした。季語「春の色」という本来の意味を理解しつつ、本来の意味ではない「色(color)」という意味での効果も期待でき夏井先生も高評価でした。

そして、個人的に面白かったのが、テーマの募集中にボソッ……と語った、

『紙を丸める』ってのは人が見えるんですが、『丸まった紙』になると人がいなくなる
まあそういうやり方もあるかな……と。(by 村上健志)

このフレーズでした。上の句も「子供連れが(良く)来る美容院」であることが「物」から想像できる。人を明言していないのに、人の営みの息吹が感じられる。村上さんはそこらへんの省略の仕方や匂わせ方が本当にお上手なんだと思います。皆さんも(もちろん私も)参考にしたいところです!

1.席題「四月尽」

1つ目のテーマは、ゴールデンウィークに絡めたものも多かったのですが、配信がちょうど「4月30日(最終日)」ということで、晩春の時候の季語である「四月じん」と決まりました。

成り立ちからすると、厳密には、旧暦4月の最終日を指す言葉なのでしょうが、昨今では陽暦4月の最終日を指す作句例も増えていると思います。
ちなみに、2022年陽暦4月は、陰暦3月と「日付」が全く同じになる極めて珍しい年でした。(詳細は下の記事もご参照ください。)

そうした意味では本来の意味だと「弥生尽」の方が正しいのかも知れませんが、今回は4月最終日という意味での「四月尽」です。

早速難しい時候の季語を選んでしまい、熟考してしまう村上さん。こうした時候の季語は、映像が単体では無いだけに情報を多く盛り込まないといけなくなるため、兼題を決めて12音のフレーズを作るのはハードルが高いです。

十数分をかけて最初に作った作品が、

『四月尽旅行パンフにまだ桜』

村上健志

というものです。あるある感として分かりますが…… このまま「プレバト!!」に出したら、平場の査定でも「才能アリ」は厳しそうな感じです。『桜』は確かに実物でない季語ということで「季重なり」の強弱は付いていますが、『まだ』というのが如何にも説明的ですし、一行に書いた時に読解しづらい感じも多少ありました。

もし私なら、例えば、​『四月尽のパンフや陸奥の桜』とかにして、少しでもそれっぽくしようかなと思います(苦笑)

続いて、あまり気負わずに披露したこちらの句の方が、上に示したエピソードも反映されていてグッと好きでした。「四月尽」の2句目

『ペン立てにスーパーボール四月尽』

村上健志

梅沢のおっちゃんには相当吠えられそうですが、これはこれで村上さんらしさが出た作品だと思います。(類似句が過去にもあった気はしますがww)

《 Rx自作5句 》

私も時事だったり、四月尽からの連想だったりで以下の5句を作りました。

  • 『四月尽すつかりくたびれゐる雑巾』

  • 『ヒエラルキーは動かぬものよ四月尽』

  • 『ATM障害の夜や四月尽』

  • 『ライオンもキリンもいない四月尽』

  • 『スーパーボールゆつくり戻る四月尽』

2.席題「付き合って一ヶ月」

やはり季語が先に決まってしまうと、ある意味「縛りプレイ」みたいなものですから難しくなります。2つ目の席題は、季語でないものが選ばれます。

コメント欄を見ていて、これを選びそうだなーって思ったとおり、2つ目の席題は『付き合って一ヶ月』に決まりました。(こういう席題を選べるのもYouTube俳句実況の魅力かと思いますね~)

『ほたるいか二個ぶっ刺してパスタ食う』

村上健志

兼題とのマッチ度合いはちょっと微妙かも知れませんが、純粋に句として詠んだ時に面白みがありました。私なら『パスタ食う蛍烏賊二個ぶっ刺して』の語順にしていたかも知れませんが、やはり着眼点が流石です。

《 Rx自作3句 》

  • 『イオンなら誘える僕とさつき咲く』

  • 『みどりの日 試着の早い君だから』/Rx

  • 『塾帰りの書店の君やフリージア』/Rx

3.席題「歩幅」

そして、3つ目も、席題「歩幅」と村上さんが得意そうな(勝ち)パターンとなりました。1句目の遅れを挽回するかのようにサクサクと進行します。

『月おぼろ歩幅の狭き占い師』

村上健志

コメント欄に「辻占い」という書き込みもありましたが、村上さんが仰っていた通りで「占い」を商売としている占い師。店を畳んだ後「歩幅が狭い」姿に着目というか妄想して作った作品とのことです。

何もないところから、「歩幅」というテーマだけで「占い師」を召喚できるところを本当に尊敬します! そして、コメント欄に多くあった意見が、

コメント欄:『歩幅の広き』も(の方が)面白そう?

というものでした。確かに、「占い師の歩幅が広い」方が不自然というか、予定調和じゃないので逆張りのそっちにもドラマがありそうですね~(^^

ちなみに個人的には、『月おぼろ』と平仮名にした方が、その後の「歩幅」という漢字の連続との切れ目がわかりやすくなるかなと思いました。

(添削案)月おぼろ歩幅の狭き/広き占い師

更に、『カップ麺におにぎり載せた人の歩幅』など、コメント欄も参考にしつつ、歩幅の狭さに注目した句(着眼点)が最後まで冴え渡っていました。やはりこういったテーマの方が村上さんの良さが出る気がしますね。

最後にサクッと私が考えた自作2句です。

  • 『青き踏む二年の列の歩幅狭し』

  • 『春日傘広げて術後の歩幅かな』

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