歴四半世紀の「社内発明者」が考えた、イノベーション論

はじめに~イノベーションについて~

先日noteのオススメ欄に「# イノベーション」関連が出てきて、「一時期よく言われてたな」と思いました。だいたい「なぜイノベーションが出ない?」みたいなニュアンスで、ですが。
ということで、イノベーション(と特許、論文)について少し調べてみました。

イノベーション ≠ 特許、論文

最初に身も蓋もない結論。イノベーションの意味をネットで調べたところ、「革新」と。技術革新の意味で使われることが多いとも書かれていますが、技術に限った話ではないようです。

日本が意外と健闘している特許、論文

まず特許。2024/1/10検索した時点で最も新しいランキングで、国際特許出願件数で日本は中国、米国に次いで3位。US特許登録件数で日本は地元米国に次いで2位でした。これで弱いと言われたら心外かな、と思います。
次に論文。やはり最も新しいランキングで、日本の論文数は中国、米国、インド、ドイツに次いで5位でした。一方で、論文と関連しそうな大学生の人数ランキングで日本は、中国、インド、米国、・・・と続いて9位です。(教員の数は世界2位というデータが出てくるのですが、そのランキングに米国と中国がいなかったので採用しませんでした)必ずしも論文はマンパワーで書くものではありませんが、単純に考えれば日本は十分に健闘しているかと思います。(ドイツはもっとすごそうですが)

ということで、特許、論文の数としては十分にある日本。では他にイノベーションに必要なものは?は次の機会に考えたいと思います。



第1話 イノベーションの条件(人物編)

前回、イノベーションの意味を調べてみて、「革新」という解答を得ました。「革新」は多くの場合人々の何かを変えないといけないのかな?と考えると、世の中に影響を与える必要があるのかな?というのはよく言われる話です。それがない特許は「独りよがり」というニュアンスで。私もけっこう独りよがりな特許をこれまで・・・過去は思い出の中にしまって、イノベーション(革新)を起こす条件を、今回は人物から考えてみたいと思います。

イノベーションは2人の天才が起こす

井深大 ✕ 盛田昭夫
スティーブ・ウォズニアック ✕ スティーブ・ジョブス
本田宗一郎 ✕ 藤沢武夫
(敬称略、以下同)
というように、技術の天才 ✕ マーケティングの天才、の組み合わせとイノベーションは相性が良さそうです。最後の例は「ナンバー2の理想形」として有名ですが、この場合の「ナンバー2」は 2番手、よりも 2人目、として機能しています。この組み合わせの理想的な形について良い記事を見つけました。末尾に入れますので、最後まで読んで「スキ」を押してから飛んでいただけるとありがたいな、と思います。
ここまで挙げたのは技術とマーケティングですが、2人とも技術という例もあります。
ラリー・ペイジ ✕ サーゲイ・ブリン
は、コンピュータの天才と数学の天才だそうです。マーケティングの天才がいません。グーグル成功物語をネットで読む限り、技術的な成功点は分かりやすいのですが、なぜ広まったのか?そこは見つけられたら書きたいと思います。

実はビジネス以外の分野でも 2人の組み合わせは多く、
グロスマン ✕ アインシュタイン(一般相対性理論)
諸葛孔明 ✕ 劉備玄徳(天下三分の計)
・・・次にいきましょう。

イノベーションは1人のカリスマと優秀なチームが起こす

イーロン・マスクがEVを開発していたチームに「良い技術だな、一枚噛ませろや(超意訳)」で出資して今のテスラになった例が当てはまります。Appleを一度追い出されて戻ってきた後のスティーブ・ジョブスもこちらでしょう。(スティーブ・ウォズニアックは在籍しているが、隠遁に近い状態)
カリスマは最初の一歩とビジョンとマーケティング(広告塔)の役割を担い、組織が全力で商品を作る、という役割がうまく行けばイノベーションにつながります。一方で、カリスマが組織を信用できなくなって独裁に走る、という例も見られるのが、こちらのタイプの特徴です。
ここまで挙げたのはカリスマが組織をリードしていますが、もう一つ、カリスマは組織の外にいる、という例もあります。大学教授の研究成果を企業が商品化、ということで、テレビショッピング等でよく見かけます。毛髪に革新を!
少し興味がダダ漏れしました。話を戻しますと、買収によりスタートアップを取り込む大企業(特に頭に浮かぶのは米IT大手だと思います)も、こちらの例に入ってきます。この場合、技術はスタートアップ、マーケティングは大企業(例えばGoogleの基盤に乗ればみんな使うな、と思うと分かりやすいと思います)が担っている、と考えられます。

ここまで見て、個人名として有名かどうかはありますが、イノベーションを起こすには
技術 ✕ マーケティング
の要素があるのが見て取れます。(アインシュタインと玄徳がマーケティング・・・やめときます)
ここから、日本の企業がイノベーションを起こすために必要な要素が見えてきます。すごく良い話になりそうな気がしますが、次回。(独りよがりにならないことを願って)


第2話 イノベーションを起こすには?(組織内イノベーション、オープンイノベーション)

前回、イノベーションの条件を人の観点から調べて、技術 ✕ マーケティングの要素が必要、という例を見てきました。

では、自分たちがイノベーションを起こすには、人という観点では何が必要なんだろうというのを考えてみたいと思います。

技術かマーケティングか

自分たちは技術かマーケティングか?もしくは自分たちの中に両方いるのならそれは誰と誰か?というのを定義しないと、イノベーションは実現しなさそうです。
特に難しいのはマーケティングで、「自社はコンシュマー商品出しているし十分にマーケティング能力あるよ」と思っていても、それは自社が既に勝っている分野で、新規分野では知られていないもしくはイメージされていない、といったことは普通です。大企業が新規分野の研究開発でうまくいかないのはだいたいこれ、というのはそんなに極論ではないのかな?と思います。

どんな機能を有する誰と組む?

協業、オープンイノベーション、委託研究、いろいろありますが、組む相手に何を求める?ということです。
前回もちょっと出してみた大学の先生を例に挙げてみましょう。
中小製造業は大学の先生に求めることは多いです。技術(開発、生産能力)はあってもマーケティング(知名度と言っても良い)は弱いことが多いので、先生には種の技術(そもそもそこが合わないと組みようがない)とマーケティング(信頼感と知名度があると景色が変わる)を期待して、後は製品化頑張る、みたいなところでしょうか?
大企業はそこまでガツガツしていません。「この先生の研究、おもしろそうだからうちの製品に取り込めないかな?」くらいのイメージで接触したりします。だいたいこういうのは失敗して、もっと具体的にイメージしたところが成功します。マーケティングは企業側が担う、先生と共同でやる、最初は企業がやるが先生をスターに押し上げて共同でやる、いろいろあります。これはその企業が強い分野か新規研究開発分野かで大きく変わるでしょう。

最後に

マーケティングと言っても、分析、販売戦略、等々幅広いと思うので、本来は分けて考えないといけないのですが、一旦分析はできている、という仮定で考えてみました。分析からとなると、さらに何か考えないといけないかもしれません。

とにかく、イノベーションの規模の大小はあれ、イノベーションが成功しているな、と思える例は、技術とマーケティングがうまく役割分担できているかな、と思います。


第3話 3つの「技術」

ここまで、イノベーションを人、組織の観点から健闘して、
技術 ✕ マーケティング
に分解して考えてきました。
ここで個別の要素、まずは「技術」について考え直してみようと思います。

3つの「技術」

技術に関してはざっくりと、でも明解で納得できる、そんな本があります。

もう絶版だとは思いますが、若い頃にこの本を読んで「発明した後、これだけのことをやって技術と言えるんだ〜」と感銘を覚えた記憶があります。今紹介文を読んだら記憶と少しニュアンスが違ったのが気になりますが・・・

とにかく、技術は以下の3つで構成される、と理解しました。

  • 0〜1: 基本発明、生み出す

  • 1〜10: 要素開発、掌に乗せる

  • 10〜100: 試作〜量産、世に出す

どれが最もきついか、担当者の性格を思い出して・・・どれもきついです(笑)
すべてのマインドを持つことが重要で、特に「発明者は量産性のマインドも持つように」と言われることが多いですが、無理です(笑)
もし超優秀な尖った発明者が1人いて、その人に量産を考えさせて丸くなってしまうくらいなら、周りに要素開発が得意なメンバーを置いてフォローさせた方が進みます。問題はその尖った発明者が本当に超優秀なのか、ただラッキーで押し出しが強かっただけの一発屋なのかを見極めることですが。

つまり、上記の3つの技術には得手不得手があり、入れ替えることは難しいです。3つ揃っていることが理想ですが揃っていない場合(企業は0〜1がいない、大学は10〜100がいない、ことが多い)外部と組む選択肢が出てきます。

次回はマーケティングを考えてみます。


第4話 マーケティングって?

第2話でイノベーションを技術とマーケティングに切り分けて考えてみましたが、書きながらうすうす感づいてはいました。
「これ、マーケティングの方は何かと混同しているな」と。

マーケティングについて調べてみました。

マーケティングとは

Googleで「マーケティングとは」で検索するといっぱい出てきます。いくつか見てみると、大凡こんな感じに集約されるかな?と思います。

  • マーケティングとは、モノやサービスが売れるようにする仕組みを作る活動

  • 自動的に売れるような仕組み、という点で、売るための努力が前提のセールスとは違う

  • マーケティングは、リサーチ、戦略、広告宣伝活動、に分かれる

マーケティングの広告宣伝活動とセールスプロモーションの違いって?という新たな疑問が生まれましたが、進めます。

イノベーションにおけるマーケティング

本記事の元々の動機は「イノベーションをものにするには?」なので、イノベーションをものにするためのマーケティングを考えてみたいと思います。

  • リサーチ: 既存技術との違いは?世界の要求と合っている、もしくは世界を説得できる?どこの市場、もしくは新たな市場を作らないといけない?

  • 戦略: ターゲットに対する自分たちの認知度は?障壁は何?それは自力で埋められる?自力で埋められないときの代替手段は?

  • 広告宣伝活動: 使うチャネルは?(学会発表、展示会、ウェブ、マス広告、見込み顧客への個別活動、etc.)

「リサーチ」と「戦略」の境目が合っているか分からないところがありますが、枠組みはできました。

書いている途中で、「破壊的イノベーション」という言葉を思い出したので、関連書籍を貼って本記事の締めにしたいと思います。


第5話 イノベーションの事例研究(iPhone)

前回まで、イノベーション、技術、マーケティングを分解してみました。それ本当?については事例を見てみることが一番!ということで、今回は、21世紀初頭を代表するイノベーション、iPhoneでみてみたいと思います。

iPhone「前」の世界

ハードウェア的には携帯電話、いわゆるフューチャーホン、ガラケーと呼ばれているものが発展して、メール機能(キャリアメール)やi-Modeに代表されるようなデータ情報機能を有するようになっていました。一方でビジネスパーソンを中心に、PDAと呼ばれる携帯情報端末が使われていました。「ZAURUS」とか「BlackBerry」といった製品たちです。小さなPCのような見た目で、キーボードとタッチペンで入力をしていました。

通信環境は有線が圧倒的でしたが、前述の携帯電話の情報端末化に見られるように無線通信も少しずつ良くなってきており、Wi-Fiが普及する直前のタイミングでした。

技術

後から見ると、タッチパネルでキーボードをなくしたデザインが最大の技術的な転換点だったように見えます。フルキーボードの電話はありえませんし、携帯電話のキーボードはデータ入力にベストとは言えません。
もちろん、そのデザインを支える技術、OSや実装といったところも大きかったと思います。

マーケティング

スティーブ・ジョブス氏が言ったという「電話を再発明する」、これに尽きます。これがもし「今日は新しい情報端末を持ってきました」だったらここまで普及していたかどうか・・・あのときはポカンとしたものですが、今は私も立派にiPhoneみたいなスマホを使っています。
もちろん、「電話を再発明する」という宣言1つで売れたら苦労しないし、これを「スティーブ・ジョブス氏だから」で片付けると全く参考にならないので、他の理由を考えてみます。

  1. 携帯情報端末ではなく電話という大きな市場を選んだ:言うまでもなく。選ぶのは勝手ですが・・・

  2. これまで掴んできたファンの存在とファンの質:デザイナー、クリエータといった、今で言うインフルエンサー的な人たちに多くのファンを持っていました。Mac=カッコいい、というイメージはできていたのが大きかったかと思います。そういう意味で、iPhoneは「勝者の戦略」だったのかな?とも思います。ではなぜこんなファンを獲得したかというと・・・

  3. 「シンプル」という思想:私は逆の発想で生きていたので、PCは拡張性!ソフトウェアで機能を足す!でした。従来からPCを使っている人の多数派はこっちでした。逆にAppleは「シンプル」で、少数派でも他に競争相手のいない世界で顧客を掴み続けています。そして「シンプル」さからくる「デザイン性」。iPhoneから遡ること約10年、iMacもすごくよく売れたものでした。周辺機器メーカーがすごく影響を受けて・・・話を戻すと、ぶれない思想を押し出し続けてファンを確保しており、彼らの期待を裏切らない(上回る?)コンセプトを出せたのかな?と思います。なぜそれができたかというと・・・

  4. スティーブ・ジョブス氏がお金を出している企業だから:オーナーか雇われか、大きい問題です。あれを世に出すために「ユーザーはシンプルな携帯電話とPDAを望んでいるんだ!」というマーケティングデータがあったとも、ましてやスティーブ・ジョブス氏がそれを使って社内を説得したとも、思えない。ましてや前述のiMacのときには最初「USBしかないMacで今までの周辺機器、どうするんだ?」と笑われてたし(今となってはこっちの批判の方が笑い話)

あまりに尖ったイノベーションをしようとすると、やはりそれなりのバックボーンとオーナーシップは必要なのか?とはいえ明確でぶれない、(そして人が行こうとしている方向に合っている、、、年を取るとPCを拡張する気力がなくなってきて、シンプルが一番になってきた。。。)結局自分の素と合っている思想だから徹底できたのか・・・
次回はもう少し極端でないイノベーションを探してみたいと思います。


第6話 イノベーションの事例研究(Google検索)

前回から日が空きましたが、2例目。

Google検索「前」の世界

インデックス検索とロボット検索というのが二大潮流でした。
インデックス検索とはYahoo!!がやっていたもので、一つ一つwebサイトを見て分類する、というものでした。信頼性は高いものの当時の増えていくwebサイトにどう追い付かせていくのか?と心配されていました。
ロボット検索とは自動的に巡回してwebサイトの情報を集めてくるものです。こちらはwebサイトの増加にも対応できそうでしたが、信頼性がないサイトをちょくちょく拾ってくるという問題がありました。

技術

Googleのアルゴリズムは公開されていません、というのを言い訳に、当時言われていた内容を書くと、
「信頼性が高いサイトがリンクする相手は信頼性が高いサイト」という、
「友達の質が良い人間は良い人間」を地で行くような手法だったと伝え聞きます。

マーケティング

2人の創業者が
「ウェブの検索に革命を起こした!」
と演説した、という話は寡聞にして知りません。
この頃から台頭した3つのマーケティング手法が大きいかと思います。

  1. ストーリー

  2. 口コミ

  3. フリー

以前から高いものを買うときに自分を納得させるストーリーを作る人は多かったと思いますが、Googleの技術思想は明確で納得できるストーリーでした。
そして口コミ。ネットを介した口コミはこれまで以上に早く伝わります。ちょうど口コミのスピードと大きさが変わってきた時期だったな、と思います。(これ以降、人によっては「ちょっと怖い」という時代になって来ているのかもしれません)
最後にフリー。ネットでは当たり前でしたが、「試しやすい」というのが、1,2を増幅させた感じがします。もしかしたら優れていたけど有償の壁(プロバイダ加入が条件等)で広がらなかったサービスが、Googleの陰にいっぱいあったのかもしれません。


第7話 イノベーションの事例研究(青色LED)

久しぶりです。
前2つ(iPhone、Google検索)は、創業者が大きく絡む劇的なイノベーションのストーリーがありました。

今回の事例は青色LED。
2014年にノーベル物理学賞を受賞して、代表的な使用例を挙げられないくらいに世の中に浸透したイノベーションであり、研究、開発の経緯が比較的入手しやすく、それでいて真相はわかりにくく、個人的に私が知りたいこと、
「材料、プロセスの開発者、研究者にとって、イノベーションって何なんだろう?」
を考えるとき、これ以上ない先行事例だと思います。

世間的な認識は?

学術界では赤崎勇先生、(天野浩先生)
一般的には中村修二氏(現在は先生)
というのが一般認識だと思います。天野浩先生は赤崎勇先生の下でGaN結晶成長技術をブレイクスルーされており、文字通り「ノーベル賞級の」ご貢献をされているのですが、ボスであり先駆者の赤崎勇先生の印象の方が強いです。

https://www.marubun-zaidan.jp/pdf/amano.pdf

世に出せた、広まったのは誰のおかげ?

ここからが難しいところです。
中村修二氏、日亜化学、双方の思いがあります。(中村修二氏は当時日亜化学在籍だったことを考えると、「双方」になった時点で複雑です)
さらに、天野浩先生、豊田合成、エルシード株式会社、・・・、初期、日本だけでも様々なプレイヤーが出てきます。

この辺りが、きっといろいろなプレイヤーがいたのでしょうが結局のところスティーブ・ジョブズ氏に出所を集約できる単一製品のiPhoneと、1つの「ジャンル」である青色LEDの違いでしょう。
(「iPhone」を、スティーブ・ジョブズ氏という1人の指揮者の下でオーケストラが作り出した作品のようなもの、「青色LED」を、様々な連(それぞれリーダーがいる)が集まって作り上げるお祭りのようなもの、と表現したら、分かりやすい or 却って分かりにくい?)

材料、プロセス開発者、研究者がやることは?

「人によって違う」です。人によって異なるフェーズ(基礎?確立?量産?)で活動しています。そして、特に企業では日夜、フェーズの境界で揉めています。

で、イノベーションしたのは?

伝記になるとしたら、間違いなく赤崎先生、天野先生、中村先生、です。
ただ、その後のフェーズがあったからこそイノベーションとして認識してもらえた、逆に言えば後のフェーズがなければ青色LEDは世に広まらずイノベーションではなかったかもしれない、後のフェーズは先のフェーズの成果をベースに「誰でも」できたのか「誰かじゃないと」できなかったのか?

・・・これには全く及ばない事例だけど、自分自身の例で考えただけで胃が痛む~。

イノベーションの意気込み

すっかり長文になってしまいました。これ読んでる人、私自身以外にいるのでしょうか?結局これが、人編の結末になりそうです。

  • 尖った基本発明~世に出ることまで考えて(すごく難しいけど)

  • フォローしてくれる人、大事

すっかり当たり前の内容になってしまいましたが、特に基礎研究者は、これがあるかないかで「イノベーションした」と言われるか「何かやってた」と言われるか、運命の分かれ目です。(プレゼンで「何かやってた」を「重要な人類の発展の一歩を刻んだ」までは持っていける可能性あるとは思いますが)

自分で書いといてあれですが、こんなこと、狙ってできない・・・


第8話 今、成長している国を考えた

人に注目してイノベーションを考えてきました。まだ結論が書けてないのですが。
イノベーションする人、というのがいて、それを導入してくれる人(国)というのがいると思います。今度は、導入してくれる人(国)という方を考えてみようと思います。環境編、と呼んでみたいと思います。

指標は?

どんな指標を使うかが悩みどころです。GDP?経済成長率?こんなページたちを見てみました。

日本は、GDPは3位、経済成長率は165位です。
「3位」というほどイケイケか?とも、「165位」というほどダメダメか?とも思いました。

GDP成長額

掛け算してみよう!と思いました。
GDPの増分は、増産能力、新規設備投資額、と言えなくもありません。世の中そんなに単純ではありませんが。

上の2つのサイトを使って。結果はこちら。

日本は18位。なんとなく今の勢いの実感に近い?中国とか少し前ならもっと上だったかも、と思うと、成長率の方はCAGRでやるべきだったかもしれませんが。

これを出発点に、分析してみようと思います。


第9話 統計データを世界地図で色にして、伸びそうなところを探してみたい

「イノベーションが起こりそうなところ」というと、
「シリコンバレー」「多様性」「スタンフォード」と即答されそうなのですが、材料、デバイス的にはどうだろう?ということで(狭い分野だが私が調べている肌感覚とはちょっと違う、それは別記事)、まずは単純に統計データから見られないかな?ということで前回。
数か国をまとめた地域として特徴ないかな?とやってみたのが今回。
前回のは使っているデータが統一されていなかった(ただ大きな意味では間違ってはいなかったが)ので、極力そろえました。

グラフはExcelの「マップグラフ」機能。BIを使ってみようとしたが、動かないデータ(今回は過去のGDPなので)を1回だけ処理するなら、普通にExcelが早いです。

まずはGDP。普通に表示すると「米国、中国、以上!」となってしまうため、上位~中位クラスの特徴が出ないかと、対数にしました。こう見るとアフリカ大陸、薄目ですが、地中海に近い領域、南ア、ちらほら規模が大きそうな国もありますでしょうか?全体的にはいわゆる先進国、大国、と呼ばれるところが目立ちます。

成長率(GDP成長率)。60%超という異様な国(ガイアナ、資源でも当てたのかな?と思ったら案の定でした。隣国ベネズエラに狙われておりどうでしょう?)、マイナスという事情がある国(ロシア、ウクライナ等)があるため、ある程度で打ち切って0~10%のグラデーションが出るように。GDPで大きくないところが高くなる、というのは、感覚的にも、経済学的にも、この通りなようです(両方で目立つインドはすごいな、とも思いますが、人口から見たら経済規模はまだまだなのかもしれません)。

GDPもそこそこ大きくて成長していて、新しいものが売れそうな国。単純に掛け算したらどうだろう?というのが下。あまりGDPと変わらない図になってしまいました。強いて言えば比較的大きくて比較的政情が安定している国が見えやすくなる程度でしょうか?

無理やり何か引き出そうとするとこんな感じ。

  • 中国~インド~中東~トルコ~EUは大きそう。中国の「一帯一路」いいのかも。ただ、中国、インド、イラン、サウジアラビア、トルコ、・・・喧嘩慣れしてそうな国ばかりで主導権取るのは厳しそう。個人なら行けても、国としての日本は厳しいかもしれない。

  • オセアニア~東南アジアの南の方(「環〇〇海」としたかったが、適切なのがなかった)比較的色が濃く固まっていそう。

  • 北米がいいのは当たり前、としても、南米、ブラジルとアルゼンチンはいいとして、コロンビアも比較的いい?と思ってググったら、親米で良かったけど左派政権が誕生して世界景気の影響も受けて、で、来年は様相が変わるかもしれない。

  • アフリカ大陸は、真ん中からやや下くらいが比較的良い?なんとなく観光的にテレビで見るのはこの辺の国が多いかもしれない

と思ったらここ数日でこんな本を知りました。

本+実習(だったことにします)で見るとなんとなくそんな気が・・・


第10話 「研究」で見る世界(限られた分野ですが)

長くなったので最初に要旨。

  • 論文、知識で世界は既にフラット

  • 学会、共同研究では世界の分断が進んでいるが、成果には特に影響しない

  • 多様性、AI等言われているが、この分野の現状では物量が最も効果的


統計から何か見えないかな?というのがさっきのやつだとしたら、こっちは直に研究を見て学術的に伸びているところを探しています。
材料一分野。どんなジャンルか、肝心なところは全く出さないので、「何のことやら?」ですが、分野によって「そうそう」と思ってくれるか「全く違う」と思ってくれるか「自分の分野はどうなってるんだろう?」と思ってくれるか?

調査方法

論文・・・Google Scholar Alertsであるジャンルを入れて、出てきた論文のAbstract(ものによっては全文)を見て、1st. Authorの所属研究機関の国籍、(材料)、目的(分野)を1つずつ手作業で。「上位のみ」となっているのですべてを網羅できていないのですが、傾向をつかむことに特化しています(やってることは他にもいろいろあるのでこれだけに時間はかけられない)。
学会・・・実際行った感想。

結果 (1) 論文

60か国出てきました。
上位から、中国、インド、米国、韓国、イラン、日本、ドイツ、ロシア、台湾、英国、イタリア、フランス、カナダ、ベトナム、オーストラリア、ブラジル、エジプト、サウジアラビア、パキスタン、マレーシア、ギリシア、タイ、トルコ、オーストリア、メキシコ、モロッコ。
中国が6割。インドが1割。
材料とか基礎的な目的だと、中国、韓国、日本、米国、欧州あたりが強く、応用的な目的だと中国、インド、イラン、あたりが強い。
論文レベルに世界的な差はなく(査読論文だから、というのもある)ここには出ていないが例えばケニアの博士論文は普通に地域性と技術レベルが出ていて高レベルだった。
材料に関する中国のレビュー論文(あるテーマで世界の研究動向を総まとめするような解説論文)を見ると、普通に中国の研究実績の紹介だけで閉じられており、とっくに日、米、欧、韓のいない世界が成り立っている感じを受けた(裏ではお互い論文を調べ合っているが)

結果 (2) 学会

論文とイメージが変わる。米国の学会に行った際には、地元の学生発表を差し引いても米国とヨーロッパが多い。中国も多少はいるが、インドはほぼいない。論文を出すよりも学会に行く方がお金がかかる&業績にカウントされづらいから?
一方で、ウェブで見る限りは中国、インド、中東、なんかでも学会開かれており、そちらはそちらで地元の参加が多そう(行けてないので)。

(自分が)分かったこと (1) 論文

「中国は論文数のノルマと評価が厳しい」と聞くが、それも込みで論文は中国が席巻しています(全ジャンルだと米中は均衡しているようなので、中国が強めの分野ではある)。
インドは、「インド工科大学」が目立ったが、その他にもいろいろ出てきています。人口比で考えると伸びていくのかな?とも思います。
上位層(あえて多めに書きました)見ると、制裁関係で見かける国がちらほらと。いろいろ事情はありそうですがやることはやっている印象です。

この分野、20年前は「日、米、欧、韓、以上!(中印の人たちは米国に留学していた)」みたいなジャンルだったのですが、すっかりフラット化したな、という印象です。力の入れ方の濃淡はありますが、全世界見ておかないと何が出てくるかわからない世界になってきました。

(自分が)分かったこと (2) 学会

こっちは論文と異なり、分断された印象です。昔は「無理してでも米国の学会に行かないと」みたいな雰囲気合ったのですが、最近はみんな自国か近隣国で間に合うのか、欧米の先生方の社交サロンと化していました。そしてレベルもあまり高くない。
日本の先生、レベル高いです。せっかくの海外なので「海外の先生の発表を聴こう」と思うのですが、日本の先生の方が内容良くて、英語力関係なく会場の反応も良いです。思わず「学会は国内とアジア重視で、欧米は論文でいいか」とか思ってしまうくらいに。
中国の先生は、理屈はそこそこに実験やって数値を出してくれるので、報告書作る側として助かります。
雑感が長くなってしまいましたが、学会の印象は分断です。欧米の先生方もほぼ白人でヒスパニックは皆無、黒人は数えるほど。中国インドの方が多かった20年前の方がよほど多様でした。男女比(その他の性別の分類はちらっと見ただけでは分からない)は改善してそっちは多様化?

最後に

もっと分析するともっと細かいこと(どこどこは誰の影響を受けて、ある国ではこの辺りを国策か?と思われるレベルでやっていて・・・)まで見えるのですが、隠して書いても全く分からないので、それはやらないです。

こんな文献、記事も

特にネット情報を込みにすると「そうだな」と思いますが、経済学の教科書にも普通に書かれていました。

学術の分断よりも、むしろインフルエンサーの印象。ただ、昔よりは情報を独占しにくくなってきてる?


第11話 イノベーションの条件(環境面)のまとめと良い先行研究、今後

環境面いろいろ書いたのですがまとめ忘れてたのでまとめ、と、
昨日スマホのブラウザでイノベーションをすごく調べてた人の情報(noteは知らなかったけどお名前はなんとなく知ってて有名だったかもしれない)と
その方の記事を読み漁った結果の今後の方向性。
雑多ですが。

イノベーションの条件(環境面)のまとめ

  • 情報、知識はかつてと異なり世界同時に取得可能なため、イノベーションはどこで起こってもおかしくない

  • 成長のための資金が豊富なところほどイノベーションは広まりやすいだろう、と考えると、経済規模、成長率ともそこそこ高いところの方が有利だろう

最近見かけた記事でケニアのイノベーション事例がありましたが、エチオピア~ケニア~タンザニア~コンゴ民主共和国~アンゴラのラインは、アフリカ大陸の中では資金があり成長している地域のため、さもありなん、といったところでしょう。

良い先行研究と今後

「良い先行研究」というのもおこがましいですが、昨日山口周さんのnote記事を見かけ、「これ読めばいいんじゃないか?」と思っていくつか読んでみました。・・・すみません。にわか(「イノベーション」今回noteを始めたのを機に考え始めた)なのでなんとなくお名前聞いたことあるな、程度で知りませんでした。

今後です。山口周さんの記事に、イノベーションしたいと思っている企業の中側から「あるある」的な内容を足す、記事感想文的な感じで進めようと思います。(有料部分を見ていないのでそこにいろいろあるのかもしれませんが、生々しさとか内部ならではのところとかは入れられる余地あったので)


第12話 世の中には二種類の人間がいる。プロジェクトで動く人間か、タスクで動く人間だ。

「世界には二種類の~」のフォーマット、汎用性が高いですね。この考え方、ビジネス書のタイトルにも多いです。
(「出世する人、しない人」とか・・・)

実際には、一人の人間の中にも「プロジェクト」と「タスク」はあります。
「○kg痩せる」と「歯を磨く」みたいに。
最終的には、プロジェクトもタスクに細分化されて動くことになると思います。あれ?どっちもタスク?ということで・・・
世の中には二種類のタスクがある。プロジェクトを成功させるためのタスクと、ただのタスクだ。
とも言えるわけです。

「タスク」の種類を見誤ると、プロジェクトの成功確率は下がる

「プロジェクト」思考と「タスク」思考、同一人物でも混在しているので、当然ながら一つのプロジェクトの中にも両者が混在しています。人数が増えれば増えるほど。「プロジェクト」でタスクに取り組んでいる人と、「タスク」をこなしている人、いないでしょうか?後者が悪い、というわけではなく、後者は組織全体の中で別の役割が与えられていて、そのプロジェクトに権限と責任を持つ立場ではない、というだけです。
ただ、プロジェクトリーダーがその辺を見誤ると、プロジェクトの質は下がります。「タスク」の人にプロジェクトに関わる何かの責任を丸投げしても・・・ということです。私も若いころはこれが理解できていませんでした。意識できるようになるといいですね。

末期のプロジェクトでは、プロジェクト志向の「タスク」がただの「タスク」に変化する

これもよくあります。例えば進捗報告。
最初はやればやっただけ知見も得られるので意識が高い報告が多いのですが、うまく行かなくなり出すと、新規の報告がなくなって苦しくなり、ついにはフォーマットを埋めるだけの取り組み、その報告、が増えて、進捗報告会議自体がただの「タスク」に。

少なくとも「これ」といった共通の解決策はないのですが、どうなっているのか肌で感じることはできるとはできると思います。ただまれに、リーダーが熱くて外だけを向いていて中を全く見ていないと、最終的にリーダー一人が熱いのにメンバーは全員「タスク」でやってる、みたいなことも。

自分の中で、両者の「タスク」は切り替えられる

最後にちょっといいっぽいことを。
同じタスクでも目的意識を持つかどうかで自分の中で切り替えられますし、何なら自分の心の調子が良くないタイミングではあえて後者の「タスク」として淡々とこなして、何かが出てきたら前者の「タスク」に切り替えてアクセルを、という使い方もできます。これやるためには心の奥底に前者の考え方を隠し持っていて、結果に反応できるようにしておく必要があるんですけどね。

何とか着地できたところで、ここまで。


第13話 大企業でイノベーションを失敗させる3つの言葉

こちらにインスパイアされて。
無料部分の真ん中から下あたりに、大企業がイノベーションに失敗する理由が書かれています。この手のやつ、たまにGoogleと日本の重厚長大電機メーカーを比較するような無茶なのを見かけるのですが、同じ業界で、かつ米国同士の比較もあるので良心的です(ちなみに理系、特に物理と化学で、同時に2つ以上のパラメータを変えたもの同士を比較するのは失格)。
「能力がなかったから」とスバっと切られていたので、せめて内側で聞いたことのある3つの言葉でフォローしたいと思います。有料部分に書いてあるのかもしれないですけどね・・・。これも含めて「無能」なら「そうですね」と言わざるを得ません。そして、「イノベーションのジレンマ」にすごく関係する言葉たちです。

聞いたことのある3つの言葉

前置きが長くなりました。これです。

  • わが社では○○億円以上の売り上げが見込めないと、事業にならない

  • △△ブランドで売る以上、中途半端なものは出せない

  • うちが出せば、培ってきたブランド力ですぐに市場はひっくり返せる

これで新規のモノはだいたいやられましたね。こういうことを言うやつが「無能」と言われると、その通り、とも思うのですが、まあ「あの△△社がこんな出来の悪いものを!?」みたいに騒ぐのが世間なので、そうなるってものです。そういう意味で、最高ブランドになってしまったGAFAM、これからはどうでしょうか?

最後に、両方居たことあるので

書くと、小さい企業の方が切羽詰まった感と絶対モノにしたいモチベーションは高いこと多いです。人材含めて大企業の方が高いこと多いのですが、情熱で逆転するケースも多いです。


第14話 物理限界、どう考える?

今回はこちらの記事にインスパイアされて。

う~ん、これ、つい乗っかって訂正しなかった私たち全体もダメなんですが、ムーアの法則って法則ではなくてただのノルマですね。ああ、でも法則に「きまり、守るべき規範」という意味もあるみたいだから、合ってるのか。でも、いいときには「自然に成立する関係」っぽく使ってましたからね。

「物理限界」というと工学では「別の手段を組み合わせて超えていきましょう」となって、今は「超格子」「メタマテリアル」「原子層堆積」みたいなのが学会ではどんどん増えています。
それ以外の詐欺まがい(と自分は思ったがそれは私の見解に過ぎず、置かれた立場で当然違う)の成果というのもあって、ある日「ニュースリリースで従来の1000倍の性能が出たと発表があって、Science載ったぞ!」という話があると調べて、それは自分たちの世界では実用的ではない、ある特定条件での話でした、というのもあります。
(彼らにとってそれは意味がある話だと思うのですが、そこの領域には既に実用化されている別の強力なライバルがいるので、意味がある話なのかな?とは思いました。ただ新しければScienceも載せると思うし、まあその材料系でその特性なら興味ある人もいるのかもしれないな、とは思います。Science、Natureも万能じゃないな、と思いましたが、それから数か月に1回くらい、この手の話が、都合何回か続きました。)

「意味的価値」、すごくいいです。行ければ絶対理想的です。でもその裏で絶対スペック競争やりますし、「意味的価値」だけで留まる話なのでしょうか?「意味的価値」って、デザイン?ブランド?ストーリー性?あるいは何かいいものすべて?

よくわからないまとめです。
開発する側も性能の限界よく分からなかったし、上層部もよく理解していなかった。多分過去に「限界突破したぞ」という成功体験が、なんで成功したのかよく考えられず検証されなかったので、あやふやな感じで今の人を苦しめたんだと思う。ロクな設備更新しないで、「前回行けたから今回も行けるだろう」的な目標設定で失敗したんだったら、すごくわかる話。
「意味的価値」はよくわからんが、今回のとは完全に別。


第15話 年を取ると発明がきつい

今回インスパイアされたのはこれ。そしてこのシリーズ、今回がラスト。
この話で真っ先に思いついたのはこれ。ファンタジーですが。

「新たな時代を切り開くのは子ども」といって大人が隅に追いやられる(私に文才がないだけで実際は面白いシーンです)があって心に残っています。(が、何巻か忘れたので1巻の紹介を貼りました)

もう一つはこれ。すごいバイタリティです。堀江貴文さんの本の中で、好きな本です。

ではスタート。

年を取ると何が衰えるのか

というのを昨日寝る前にちょっと考えてみました。自分の過去と現状を思い出して、上司を思い出して・・・
結果、実はアイデアは衰えません。むしろ経験値がある分、若手よりアイデアが出てくる、まであります。周りにいませんでしょうか?アイデア課長、アイデア部長。
でもそれだけではだめなんです。それは・・・

年を取ると、〇〇が衰える

「〇〇」は、「あきらめない力」です。
ちょっとうまくいかなかったときに、あきらめてしまうんです。若いときは手を替え品を替えながら突き進み続ける。悩んでも進み続ける。
技術が画期的であるほどうまく行かないので、最後は諦めなかった人間がモノにする、というのは、会社で隣の若手を思い出しながら思いました。

年寄りは何をする?

そんな若手に、経験論からアドバイスを与え、助ける
と考える前にちょっとストップ!!
それ「前同じ事をやったけどうまく行かなかった」とか「前の実験からはこう思うな」とか、若手まで自分の方に引き込んで諦めさせるアドバイスじゃないですか?それは止めるか、もしそれが間違いだという新事実が出てきたら仕事を辞める、くらいの覚悟を持って出しましょう。

それなら、経験から来る確実さを活かして、若手が苦手な「確実性」を求められる仕事、「段取り」「調整」が必要な仕事をやる方が、助けになります。

結論

昔はそんな仕事をやっていて早く帰るベテランを「サボってる」と思うこともありました。若気の至りです。
今の若手からは「サボってる」と思われてるんだろうな、と思いながら、俗に「ブルシット・ジョブ」と呼ばれるものたちに精を出しています。
「ブルシット・ジョブ」もやってみると、改善の余地はたくさんあります。未来のベテランたちが少しでも解放される余地はあります。

若手に残すのはアドバイスよりも記録かな?と思います。記録に基づき、かつ昔と今の違いをしっかり把握した上での客観的なアドバイスだ、と言い切れるなら、余地はあるかもしれません。

そして今は昔と全然違う分野でイノベーションができるのかもしれません。発明って、年齢によって変わるのかな?と思っています。中には変わらないように見える若々しい人もいますが。

補足

「ブルシット・ジョブ」分野では、若手的なマインドで、諦めず突き進めるんです。よくわからないので正面突破しかない!というのもありますが。
ジョブローテーション、よくありますが、足してく型のジョブローテーション、いいかも、と思っています。


第16話 SFを参考にすることでイノベーションを起こせるのか?

「起こせないだろう・・・」というのは頭の中にあるのですが。

ここまで

イノベーションを起こせるのはどんな人か、どういう場所でイノベーションは育つのかを考え、

  • 技術とマーケティングの組み合わせによる

  • 規模、成長率とも高い地域が有利

じゃないか?とまとめてきました。
次の段階として、
「イノベーションってどんな発想から生まれるのだろう?」ということを考えています。
ということでタイトル。時々この手の記事を見かけます。
「実現されたドラえもんの道具」という記事をたまに見ますが、結構好きです。

「SFを参考にイノベーションのタネを考えよう」という言葉を誰に言うのか?

まず、ここに問題があります。言うべき相手が思い浮かびません。
言えるかもしれません。
ただ、その言葉から始まるブレインストーミングは、99%遊びになる気がします。残り1%は、よほど何かが降りてこればなんかあるかも、程度の1%です。
「SFイノベーション記事」(面倒なので略しました)でないな~と思う視点、の一つは、「誰にこれ言ってるんだろう?」です。

「SF実現した系イノベーション」は様々なシーズの組み合わせかつ結果

0から一足飛びでできたわけではありません。スマホ一つ取っても、技術の積み重ねでできています。その結果を「ドラえもんの道具が実現した」と言っているわけで、かつ100%実現したものは寡聞にして知りません。実用的に最適化されたものが「よ~く見ると近いような」で記事にされています。
おもしろいですけどね。その手の記事。

「SF的生活」とシーズを絡めてみるのはあり

「どこでもドア」を考えよう!は粗いですが、
あたかも「どこでもドア」のように自分が相手のところへ、相手が自分のところへ行ったかのような映像転送技術を考えよう!なら、まだあるかもしれません。ただ、それ何年でできる?と考えると、5年前だとなかったな、と思いますが。
ただ、難しいです。大量の資金を使って多くの優秀な人と機材を集めれば、それっぽい試作品ができるかもしれませんが。

あれ?結局あり?

私の現実の生活でそれを考えると「寝言」になりそうですが、十分な資金と情熱を持っている人にとっては一考の価値がありそうになってきました。
結局先立つものは金?
すみません。次回に続くかもしれません。


第17話 発明(と課題解決)の基本3要素

  • 課題

  • 解決方法

  • 効果

発明を最大限ざっくり書いてしまうとこの3要素で、課題解決も同じです。課題を解決すると何か効果がある、というのが特許の「進歩性」にあたる部分で、そこに、「過去の特許に書かれてないし当たり前の内容でないよ」となると「新規性」が出てさらに解決方法が技術的なものなら特許に、新規性か技術的な要素がなければ普通に課題解決になる、といった感覚でいいかと思います。
と書くと「当たり前じゃん」と思うくらい、こういうことやってる人、多いでしょう。(課題/解決方法/効果)の構文でいくつか例を書いてみます。こんな感じ、なので本当に効果が上がるのかは分かりませんが。

  • 部品の加工精度を上げたい/リアルタイム監視/加工精度向上

  • 無限に近い太陽光から電気を生み出したい/光吸収材料+PN接合/光を電気に変換

  • 飛び出してくる人を素早く認識したい/画像の差分検出技術/飛び出してくる人を素早く認識できる

  • 認識しやすい看板を自動で作りたい/補色塗分け技術/認識しやすい看板のデザインがあっという間にできる

最後のはあったとして技術かどうかは分かりません。

こう見ると、「課題と効果って同じ?」と思うかもしれません。同じです(キリッ)。副次効果がある場合もありますが、その時は、実務上は課題を合わせたりします。

進歩、発明、イノベーションの大きさは課題設定の大きさ

これは、大きなイノベーションでも同じです。ということで、(課題/解決方法)の構文で見てみましょう。

  • スマホとPDAとiPod、3台持ちとか格好悪いから1つにできない?基本iPodの形で/iPhone

  • ロボット型の検索エンジン、精度悪いんだけど何とかならない?/Google検索

  • ガソリンを届けにくいところでも自動車が欲しい?/EV

最後のは環境とつながってよく分からないですが、効果を考えるとこれかな?ということで。

まとめると、大きな課題設定をできると大きなイノベーションができ(れば)みんなに褒められる、ようです。

最近の論説は結局のところこの「課題設定」に関してなのかな?と思うのですが、そこのところは次回。


第18話 結局、イノベーションに絡む論説は課題設定の話

前回からの続きです。

いろいろ出てくるけど結局言ってるのは課題設定のこと

  • 質問力

  • 問いを立てる力

  • SF思考

  • 仮説思考

  • デザイン力

  • ・・・

いろいろあります。一方で、「問題を解決する人はいっぱいいる」とか「AIが答えを探せるようになる」とか、「本当か?」みたいなことを言い出すことも多いですが。例えばAIは一見無関係なことを結び付けて問題を解こうとする、突飛なことができるのかな?そこって教えることできるのかな?という、現状では疑問なこともありますが、そこは甘く見ない方が良いでしょうかね?

課題設定の提言が目立つ理由

  • 本当に重要だから(大きな課題設定をして解決できれば大きなイノベーションにつながる可能性が高いから)

  • 問題解決の方は最後個別ケースになって統一した話をしにくいから

「問題解決」でこんな本があるのを思い出しました。

この本をもってしても、問題を分析して解くべきところを探し出すところまで、ですかね。

課題設定が難しい

だから本や論説がいっぱい出ていると思うのですが、大きすぎる課題は諦められるし、小さすぎる課題は解決したとき「で?」と言われがち。あと、抽象的な課題、手段が目的になっているような課題もありますね。
通常は、大きな課題を現場で階層ごとに小さな課題に分けてやっていくパターンかと思います。そこで「で?」と言われるあたりを次回考えます。

まとめ

  • あれこれ言ってる論説は「課題設定」の話だと思っとけば分かる

  • 課題設定の仕方は解ったが課題の大きさの設定で「ん?」となる


第19話 イノベーションの個人的ジレンマ ~課題を解決したのに「それで?」と言われる~

前々回、前回は結局戻ってイノベーションは課題を解決することから生まれること、課題設定が難しいね、という話でした。

世の中には、課題を解決させて報告しても、「それで?」と言われることが多くあります。直接の上司は通せても次の階層で言われることもあります。
良い例よりも悪い例の方が学ぶのに良いので、今回は「それで?」と言われる事例を探ってみましょう。

1. 課題と解決方法が合っていない

  • 設定した課題じゃないところを解決している

  • 両論併記で結局課題を解決したのかしてないのか?

  • いろいろ並べた結果、課題が解決されてない

日本語おかしい系ですが、結局課題解決に自信がない場合に見かけます。

2. 課題の方向が違う

  • 特に求めていない課題を設定、解決

やってるうちに本来の課題は難しく未決、別の観点で改善する手が見つかった!というときに、課題ごと変えてしまって。

3. 課題が小さすぎる

  • 何か改善したが、上の階層で持っている課題と比べると誤差程度

上の階層からの課題が大きすぎて解決できず、細かなマイルストーンを設定した結果、マイルストーンが細かすぎて1つ解決した程度じゃ焼け石に水、というときに。

番外. 上司の感度が下がってる

  • 上司がそもそも課題のことを考えておらず、背景から説明するが全く響かない

まれですが、あり得ます。もっと上の方、根本的なところに問題があると、上の階層で設定された課題含めて焼け石に水、ということも。

結論. 上司を・・・

かなり前の方で、イノベーションは技術とマーケティングの要素からなる、とまとめました。上司は最初のマーケティングを担う人物になります。上司がさらに上に宣伝してくれないと、技術はどこかで止まります。
言い換えると、
上司をマーケターにさせられなければ先は細い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?