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忘れっぽい人になりたかった

「一度聞いたら忘れない」で成功体験を積んできた。相手の名前、誕生日、趣味嗜好、大事にしているものやことは、一度聞いたら絶対に忘れない。
記憶の中にストックしておくと、次に会ったときの話題に困らないし、なにより「そんなことを覚えていてくれた」と、相手がとても喜んでくれる。
自分でもおかしいんじゃないかと思うんだけど、本当にしょうもない雑談のdetailまで覚えていて、相手に驚かれることもよくある。「わたしそんなこと言いましたっけ…ああ、言いました言いました!」みたいな、そういうやりとり。


この「一度聞いたら忘れない」の裏には「忘れるのが怖い」という思いがある。もう少し突っ込むと、自分が忘れてしまったことで「それ前にも言ったけど」という枕詞をつけられたり、「そんなこともわかってなかった/知らなかったの?」みたいな高圧的なコミュニケーションに発展したりすることに、とてつもない恐怖心をおぼえる。
はい、おそらくは、モラルハラスメントを受けてきがちな人生でした。


自分がこうだから、自分が相手に言ったことやしたことを、相手が覚えてくれていなかったり、忘れられたり、記憶からなかったことにされたりすると、それがポジティブな内容でもネガティブな内容でも、とても悲しい。
そんな期待を相手にするのが間違っていると頭ではわかっている。自分だって、相手に言ったことやしたこと、全部覚えているわけじゃない。不都合なことがあったら忘れてしまいたい気持ちもわかるし、記憶に蓋をすることだってある。
でも、時と場合によっては、心がついてこないことがあるのが、自分のとても未熟で幼稚なところ。


「あれ?そうだったっけ?」「その話前にも聞いたっけ?」ぐらい、忘れっぽくて…というか、覚えてなくてもいいようなふんわりした人間関係を周りと構築できた方が、きっと生きやすいし、そういう相手の反応になっても、その状況をフラットに受け止める柔らかさを持っていたいと、心から思う。

でも「覚えていてくれて嬉しい」の笑顔は忘れられない。だから、覚えていて相手が嬉しいと思ってくれることだけ覚えていたいんだけど、そういう選別が瞬時にできる頭と、相手の気持ちを考えられる心を持ちたいな、と思う。無理かな。


本日の1曲はホリデーへの気分を上げて、うきうきしちゃいましょう。ワルツなのがまたいいよね。"hearts will be glowing when loved ones are near" って歌詞が好きです。

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