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花はいつだって心を慰めてくれる

家の中に花を絶やさないようにしている。鉢物は苦手なので、基本は生花。毎朝花の水を替えて、コーヒーを淹れるのが日課。
花が家からなくなるときは、自分の心が死にかけているときだ。へとへとに疲れていて、環境を整えることに気が向けられないとき、手入れが行き届かずに萎れた花を見ると、本当にごめんね、という気持ちになる。
花が好きで常に家に活けていた祖母の影響も強い気がするけれど、住む街にお花屋さんがあるかどうかを、住むかどうかの一つの基準にしている。

四ツ谷に住んでいた頃、スーパーで食材を買う帰り道にしょっちゅう行っていたお花屋さんがある。
四谷三丁目・荒木町の飲食店が主な顧客だったのだと思う。腰の曲がったお母さんが1人でやっているお店で、営業時間はちょっと不規則。お会計は現金だけ。お花屋さんらしい包装の用意はなくて、新聞紙とビニール袋でばさっと詰めてくれる。母の日にお小遣いを握りしめてくる子供にだけ、リボンをきゅっと結んであげていた。
「お花のお稽古なの?」「いえ、ただおうちに飾るだけです」「ふうん、お稽古行ってみたら、きっといいわよ」という会話を、幾度となくしながら、季節の花をとてもいい状態で売ってくれた。

この間久しぶりに母校の学園祭を覗いたときに通りかかった。シャッターが閉まっていて、「テナント募集中」の貼り紙があった。
お母さんには元気でいてほしいし、またいつか、ここでお花を売ってほしいなと思う。電車乗り継いで、買いに行くよ。

本日の1曲は、花にちなもう。ペンタトニックスのクリスマスアルバムからチャイコフスキーの曲で。


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