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  • エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキー的理念』

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幸徳秋水「世界革命運動の潮流(錦輝館における演説の大要)」(現代語訳)

世界革命運動の潮流(錦輝館における演説の大要) 一 みなさん、過去一年あまりの入獄と旅行は、私の主義や理想になんらの変化も与えませんでした。私は依然として呉下の旧阿蒙であり、依然として社会主義者です。 ただその主義や理想に変化はないとはいっても、これを実現するための手段や方策は、社会気運が進んでいくのにしたがって、自然と変転することがないとは言えません。 私が見聞きしたところによれば、今や欧米における同志の運動方針は、まさに一大変転の機にあり、私たち日本の社会党である者

    • エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念』第三章(試訳)

      訳についてはまず訳者序をご覧ください。 第一章 第二章 第三章本能的革命 大衆たち 本能的革命に継起する意識的革命 宮殿の革命 諸政党の陰謀 知的エリートと貴族の対比 政治家たち  今や純粋な本能の時期は乗り越えられている。進化はますます自覚的かつ反省的であるのだから、革命はもはや行き当たりばったりに生じたりはしない。いつも、動物や子供は叩かれると泣き叫び、身振りや殴ることで応えていた。オジギソウもまた、なんらかの動作に刺激を与えられると、その葉を折りたたむ。しかしこれら

      • エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念』第二章(試訳)

        訳についてはまず訳者序をご覧ください。 第一章 第三章 第二章進歩的革命と後退的革命 同時に進歩でもあり後退でもある複雑な出来事 進歩を支配者の意志あるいは法の作用へと帰属させる誤り ルネッサンス、宗教改革、フランス革命  しかしながら革命が必ずしも進歩ではないということは、進化が常に正義へと向けられてはいないのと同様である。すべては変化し、すべては永遠の運動する自然において消えつつあるのだが、もし進歩があるのなら後退もまたありうるし、もし進化が生の拡充を目指すのなら、死

        • エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念』第一章(試訳)

          訳についてはまず訳者序をご覧ください。 第二章 第三章 第一章全宇宙の進化と部分的な革命-公転 「進化」と「革命」という言葉の誤った意味 臆病または近視的な、偽善的な進化主義者 進化と革命、同じ現象の二つの継続的な段階  進化(エヴォリュシオン)とはあらゆる存在するものの無限なる運動である。それは、永遠なる起源以来の、無数の時代における「宇宙」とそのすべての諸部分の途絶えることのない変革である。限界のない宇宙に現れる天の川は、数百万、数十億という時間のなかで凝縮し、溶解し

        幸徳秋水「世界革命運動の潮流(錦輝館における演説の大要)」(現代語訳)

        • エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念』第三章(試訳)

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          エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念』訳者序

           エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念Évolution, La Révolution et L'Idéal Anarchique』の訳です。読書会の資料のために用意したものですが、せっかくなのでnote公開します。とはいえ訳者は、アナキストを自称してはいるものの、ルクリュの専門家でもアナキズムの専門家でもないので、著作を解説するどころか、そもそも訳者と名乗っていいのかという葛藤すらあります。ですのでレポート等の引用などについては特に制限しませんが、その辺りを

          エリゼ・ルクリュ『進化、革命、そしてアナーキーの理念』訳者序

          続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史③~

          前回「続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史①~」、前々回「続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史②~」の続きです。 かいつまみ方その③:常にかいつまミストとしての意識を持つ ①②は、自分の専門とする哲学者からどう足場を広げていくか、あるいは自分の専門とする哲学者を読み解いていくための、哲学史の勉強の仕方が中心でした。しかし、ただ単純に哲学史の知識を身に着けたいという人もいると思います。そういう人にオススメなのが、「普段の読書から自身がかいつまミストという意

          続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史③~

          続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史②~

          前回「続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史①~」の続きです。 ・かいつまみ方その①のまとめ さて、これ以上は際限がないのでここまでにしておきます。先ほど読んだ『エチカ』第一部の冒頭、これだけでもかなり見えてくる景色が変わってくると思いませんか?確かに、「アリストテレスは存在を10のカテゴリーにわけて~」とか「デカルトの心身二元論は身体と精神を異なる実体として~」という説明はよく聞きますし、一次文献を参照せずとも知識として知っている人は多いかと思います。ですが、直接

          続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史②~

          続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史①~

           突然ですが、前回のノート「趣味ではじめる哲学研究」には矛盾があります。前に僕は次のように書きました。 一方で僕は「専門の哲学者を決めて、その人の著作の一部分のみをひたすら読み込む」という手法を推奨していました。 ここには大変な矛盾があります。「いきなり哲学しはじめることは不可能」と言っているのにも関わらず「いきなり哲学書の一部分だけ読み込め」と言っているのです。 なんだか自分で勝手に矛盾をでっちあげているような気がしないでもないですが、しかし一方で、知識なしに哲学書を

          続・趣味ではじめる哲学研究~趣味で調べる哲学史①~

          語学初心者たちがリモートで集まって入門書を勉強する方法

           去年の10月から今年の6月いっぱいまで、古典ヘブライ語初学者たちがリモートで集まって入門書を一冊終えるという勉強会を主催しました。その時の方法がどの語学でも入門レベルを終えるのにいいんじゃないかと思って、勉強会のやり方をパターン化してみます。基本は独学するときに大事なことと変わらないのですが、改めて文章化すると何が大事なのか明確になると思い、書きました。特に古典ヘブライ語のように一般に難解とされる言語でも、入門書一冊達成できたので、割と普遍的にいける手法なんじゃないかなあと

          語学初心者たちがリモートで集まって入門書を勉強する方法

          趣味ではじめる哲学研究

          ・前置き  最近、色々な方とやりとりする中で、大学生や大学院生でない方々でも哲学に興味を持ち、勉強したいという方が意外に多いということを知りました。  しかし一方で「どこからどう勉強したらいいのかわからない!」「何が書いてあるかわからーん!」という声も非常に多く耳にします。この記事で、そういう方たちのために「哲学とはどのように勉強するのか?」をテーマに僕の個人的な経験などから勉強法を提案してみます。  「趣味で勉強ならともかく研究ってそんな大げさな…」と思うかもしれません

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