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膝関節内側に広がる痛みの正体 ~見逃された伏在神経~

膝関節内側部痛を引き起こす組織として内側側副靱帯、鵞足、半月板などがありますが、今回は伏在神経と膝関節内側部痛を考えていきたいと思います。この伏在神経の障害による、膝関節内側部痛は臨床上よく出会うので、解剖、症状、評価、介入について説明していきます。


1.伏在神経の解剖

大腿神経はL2~L4の神経根から発生し、大腿三角形の鼠径靭帯のすぐ下で分枝します。伏在神経は感覚枝であり、大腿部、膝関節、足関節、足部に至るまでの内側面に神経支配を供給します。


また、膝関節周辺で膝蓋下枝を分枝し、膝蓋骨周囲、膝関節包の内側、前方、および外側の一部の感覚も支配します。


伏在神経は下肢の感覚を支配しますが、膝関節の側副靱帯や膝蓋下脂肪体も支配するため、膝の安定性とバランスに重要な役割を担っていると考えられています。伏在神経の障害による、膝関節の感覚障害が生じると変形性関節症につながる可能性があります。


次に、伏在神経の走行について説明していきます。伏在神経は大腿神経から分枝し、縫工筋に沿って遠位に走行していきます。その後、大腿内側面の中央でハンター管を通過し、膝関節周囲で膝蓋下枝と内側下腿皮枝に分岐し、それぞれ遠位に走行していきます。


膝蓋下枝は障害されることが多い神経であるため、解剖学的な情報をしっかりと把握しておくことが必要が大切です。


一般的に膝蓋下肢は2つまたは3つに分枝しており、膝前面の走行部位としては膝蓋骨尖のすぐ下(68%)または脛骨粗面のすぐ上(32%)を横断していると述べられています。


しかし、膝蓋下肢は個体差が大きい組織になります。膝蓋骨の表層を通過するパターンもありますし、脛骨粗面より遠位を走行する場合もあります。また、筋肉との関係性の個体差もあります。


そのため、膝蓋下肢の解剖については固定されたパターンがあると認識するのではなく、人それぞれ個体差が大きい組織と考えておくことで、適切な評価や介入に繋がると思います。


2.伏在神経が障害される原因

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