尺骨神経障害を評価するための3つのポイント ~尺骨神経はどこで障害されている?~
尺骨神経は腕神経叢より、分枝し上腕~前腕にかけて走行します。尺骨神経は走行中にいくつか絞扼されやすい部位があります。
中でも、肘部管で尺骨神経が絞扼される肘部管症候群(Cubital tunnel syndrome:CBTS)は手根管症候群に続いて2番目に多い神経絞扼性障害と報告されています。
今回の記事では、臨床でも意外と出会うことが多い、尺骨神経絞扼障害について「肘部管」「Struthers Arcade」「ギヨン管」の3つのポイントを中心に記載していきます!
1.肘部管症候群
肘部管とは尺骨神経が走行する線維性のトンネルです。天井を尺側手根屈筋の上腕骨頭と尺骨頭を接続するオズボーン靱帯、床面は関節包と内側側副靱帯で構成されます。
尺骨神経は肘部管を走行する際に絞扼される可能性が高いです。最も圧縮される可能性が高い部位はオズボーン靭帯の真下です。
尺骨神経が絞扼されるリスクとして、以下のような項目が挙げられています。特に着目するリスクとしては、肘関節屈曲や尺骨神経の亜脱臼と考えています。
肘関節を屈曲すると肘部管は卵円形から楕円形に変化し、断面積は30%~41%減少します。また、屈曲90°から内圧が急激に上昇し、屈曲135°ではオズボーン靱帯とMCL間で尺骨神経が最大に圧縮されると報告されています。
また、肘部管症候群ではコントロール群と比較して、肘部管入口で尺骨神経の内側上顆への変位が有意に大きくなっており、尺骨神経の亜脱臼との関連性も考えられています。
私は尺骨神経の変位量の増大や亜脱臼に伴い、内側上顆との摩擦が増え尺骨神経の腫脹が生じると考えています。神経が腫脹すると圧迫を受けやすくなるため、肘部管症候群に繋がるのではないかと考えています。
2.肘部管症候群の症状
肘部管症候群は尺骨神経由来の症状が出現します。環指・小指の感覚障害、母指球筋の萎縮、尺骨神経のTinel徴候などが出現します。
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