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悩みすぎず進捗につなげる相談のコツ

学業や仕事などで、誰かに相談することに苦手意識を感じたことはありませんか。かつての僕はとても苦手でした。

「困ったら相談してね」と言ってもらっても、「こんなことで相談していいのか...」とか「もう少し考えないと相談できない...」とか、悩んでいるうちにどんどん相談しづらくなっていき、結局時間だけが過ぎて進捗ゼロという経験も何度かあります。

そんな僕ですが、たくさんの失敗を経て、今ではかなりうまく相談できるようになりました。このnoteではその過程で学んだ考え方と方法をご紹介したいと思います。少しでも、かつての僕と同じような悩みを抱えている方の助けになれば嬉しいです。

良い相談は期待値のすり合わせから

相談する上で最も厄介なのが期待値という存在です。いかに早い段階で自分と相手の期待値をすり合わせることができるかが、その後の相談しやすさを決めると言っても過言ではありません。

すり合わせをしないと「相手から過剰な期待をされる可能性がある」という単純な期待値の上振れリスクもあるのですが、実はこれは大したことはありません。大抵の場合、すり合わせをしていない状態では情報不足で期待しようにもできないからです。

それよりも恐ろしいのは「相手が過剰に自分に期待しているかもしれない」と思い込むことです。これは相手の期待値に対して自分の期待値が上振れている状態なのですが、この状態に陥ると時間が経てば経つほど相談しづらくなっていきます。

加藤の資料置き場 - 進捗期待値の推移

上図は、抱え込んで進捗が出ないときの実際の進捗と期待値の推移を極端に図式化したものです。期待値への期待値は、すり合わせをしないと凄まじい勢いで上振れ続けます。これはかけた時間に比例して「本当はこれくらいできているべきなのでは...」という架空の進捗が大きくなっていくからです。

対して、実際の相手の期待値はそうはなりません。図中の破線は一例として、僕が後輩のメンターなどをするときにアウトプットが見えず相談や共有もない場合の期待値推移を書いたものです。行き詰まっているであろうことは途中でわかるので、その時点から進捗期待値は下降線を辿ります。

僕の場合はこの段階になると我慢できずに「困ってることありませんか?」などと聞きに行ってしまうのですが、本当は相談者が自発的に相談できる状態がベストです(これは僕の力不足でもあります...)。

相談は期待値の上振れを食い止める良い手段であると捉えましょう。誰かに相談することで、自分が自分に期待しすぎる前に客観的に状況を整理することができます。その上で、状況を把握して助言をくれる協力者が得られると考えれば、かなりおトクに見えてくるはずです。

どうやってすり合わせるか

ではどうやってすり合わせればいいか、という話をします。すりあわせの目的は、自分の状況について自分と相談相手の認識が揃うことです。なので、まずは自分にわかる範囲で整理することから始めます。

整理する項目は主に5つで、それぞれ次の質問に答えられるようにします。

1. 最終的に達成したいゴール状態とその理由は?
2. 現在の状態(ゴールとの差分)は?
3. 現在からゴールに向かう大まかな道筋は?
4. 直近で目指す状態は?
5. 4のための具体的な行動・手段は?

5つの質問に全て答えられれば、1の「最終的に達成したいゴール」に向かうための準備が最低限整っている状態です。それまでは無理に最終的なゴールに近づこうとする必要はありません。5つの質問の関係を図に起こすと次のようになります。

加藤の資料置き場 - 5つの質問で知りたいこと

1から順番に整理していって、途中で止まってしまったらそこまででOKです。「ここまでは自分なりに整理しました」ということを相談相手に伝えましょう。相手からすればこれだけで、何がしたいのか、どの程度整理できているのか、どのように考えているのか、がわかるので相談にのりやすくなります。

また、「この5つの質問に答えられるようにしたい」と伝えることで相談の方向性が定まるので、話を進めやすくなります。あとは相手との対話を通して順番に質問に答えていきます。番号が若いほどより重要なので、焦らずしっかり時間をかけて整理することが大事です。

5つの質問には、必ずしも一度の相談で全て答えられるとは限りません。情報が足りなければ適切な判断ができないからです。これは実は結構大きな落とし穴なので注意が必要です。

僕は大学のときに非常にお世話になった指導教官の先生から「15分考えて全然進まないなら、情報不足を疑いなさい」と言われましたが、いまでもその教えに助けられています。情報収集しながら、相談を重ねて質問への答えをブラッシュアップしていきましょう。

こんな相談の仕方は相手からしたら重たいし迷惑じゃないか、と思うかもしれませんがそんなことはありません。ちゃんと相談を受けようとしているならば、情報不十分でピンポイントな助言を求められるよりも遥かに難易度が低いのでやりやすくなるはずです。

継続的に相談しよう

5つの質問に答えたことで、問題解決のためのアクションプランが最低限できた状態になりました。ここから先は継続的に状態をモニタリングしながらゴールに向かって進んでいくことになります。

一緒に質問を整理してくれた相談相手の方は、こちらが何を目指してどのように行動していこうと考えているかを知っている強力な味方です。相談コストもかなり小さくなっています。定期的に状況を共有・相談しながら、着実に最終的なゴールを目指していきましょう。

忘れてはいけないのは、自分への期待値の上振れはいつでも起こりうるということです。行動(5)の結果が意図した通りにならなかった時ほど、できるまで自分でやろうとするのではなく、なるべく早く共有して原因の分析と究明に取り組みましょう

3の質問が「大まかな道筋」しか聞いていないのは、進めながら状況が変化しうるからです。スタート地点としての2は動きませんが、現在の状態という意味では常に変化し続けます。3,4,5は変化に応じて見直したり、修正することが前提です。

また、やっているうちにそもそものゴールである1が覆ってしまうこともあるかもしれません。そのときは無理に小手先の軌道修正でなんとかしようとせず、5つの質問に答えるところからやり直すのが得策です。

さいごに

このnoteでは、かつて相談が苦手だった僕が、うまく相談ができるようになる過程で学んだ考え方と方法についてご紹介しました。少しでも相談に苦手意識を持っている人の助けになれば嬉しいです。

さいごに、相談相手についてお話しさせてください。これは相談する側からすれば相手を選ぶ以外はコントロールできないので、誰かの相談相手になる方へのお願いとして書かせていただきます。

相談するというのは必ずしも簡単なことではありません。自分ができていない、という状態を相手に晒すのは弱みを見せることでもあります。割り切れている人でなければ、相手を信頼しているか、あるいは勇気を出して相談しているということです。

良い相談をするには、お互いを尊重する関係が不可欠です。相談者が相手に対して最大限の敬意を払うのと同じように、相談を受ける側もまた、相談者の勇気や信頼に対して敬意を忘れないようにしなければいけません。

もし相談される側になったら、まずは相談者の話を聞いてあげてください。「あなたのことを教えてください」くらいのスタンスがちょうどいいです。いきなり役に立とうとして無理に意見を言ったり、強引にディスカッションしようとする必要はありません。相談者が「また相談しよう」と思える関係を作ることが、良い相談の第一歩です。

今日誰かが相談できずに抱えた悩みが、明日ひとつでも相談できるようになることを願っています。

ご意見・ご感想ありましたら、お気軽にご連絡ください。

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