令和にガンダムW見た

はじめに

 Twitterで延々実況してたことの総まとめ的な何か。



 令和にガンダムWを見た。タイトル通り。きっかけは最近繋がったフォロワーだ。俺はフォロワーの作品を鑑賞するのが好きなオタク、フォロワーオタクなので、昔書いていたという作品のURLをねだったのだ。さながら強奪である。
 そのフォロワーが昔書いていたというジャンルこそ、ガンダムWだった。俺はガンダムシリーズをぼんやり見たり見なかったりするオタクなのだが、Wは見たことがなかった。フォロワーの作品が面白かったので、原作を見てみたくなったのだ。
 そういうわけで、俺はU-NEXTに登録し、ガンダムWを見始めたのだった。
ほんの僅かにミームと化した台詞を知っている程度で見始めたので、ほとんど内容は知らなかった。名台詞「宇宙の心は彼だったんですね」をヒロインの台詞だと思っていたくらいだ。
 そんな俺がアニメ本編、全49話。見た感想をしたためたのがこのnoteだ。

 結論から言うと、ガンダムWはメチャクチャ面白かった。多くは語らないケレン味のある演出にガンダムシリーズに独特の台詞回し、テンポ良く進んでいくストーリー、かなり異質で、面白い作品だと思う。

良かったところ

 まずは良かったところを述べようと思う。
 先程も述べたとおり、第一に多くは語らないケレン味のある演出は、俺の場合メチャクチャ肌に合った。
 MSのあるような時代に儀礼的なものでない要人護送で馬車、現役なのか……とか、そもそも服装がかなり貴族主義の復権を感じさせる、とか。貴族主義的な趣が強いわりに女性の社会進出は進んでいることで家父長制の崩壊を感じたり、容姿に見る人種主義の廃れとか、考察のし甲斐のある要素とややシュールな演出が噛み合って独特の味がするのがかなり見ていて面白かった。
 また、ガンダムパイロットのキャラ立ちが濃かったのも良いと思う。彼らはビジュアル面から他のキャラクターと一線を画すデザインがされていて、モノローグによる内面の掘り下げこそ少ないものの行動や台詞回しから心情の機微を捉えやすく描写されていると感じた。
 このあたりは令和のアニメのモノローグ多用演出とはアプローチの方法が全然違うのが興味深いところだと思う。
 そして、ストーリーのテンポ感の良さがまた良かった。中盤に2話ほど総集編が入ったが、総集編が入ってむしろ助かったと感じている。
 というのも、かなり多様な勢力が入れ替わり立ち替わり入り乱れ、敵対関係も整理が必要な作品だからだ。49話、ほぼダレることなく勢力入り乱れながら戦っているからこそ、中盤で勢力と立ち位置の整理が入ったのはストーリー理解を深めるうえで非常にありがたかったのだ。
 実際、オズの現状などは作中で何転もするため、俺の場合は軍服で見分けることしかできなくなっていた。
 また、ストーリー自体は当時の社会情勢をある程度鑑みての話であったように感じている。
 前年に中東和平へのノーベル平和賞受賞があり、ルワンダ内戦やボスニア内戦が激化していた。放送年にはラビン首相暗殺、国内でも地下鉄サリン事件が起きている。内戦とテロが増えていく世相の中で制作された作品であるからこそ、内部対立と戦争の陰惨な側面を描き平和を希求するテーマになったのだろう。
 リリーナの唱える完全平和主義への反応もまた、当時の世相の難しさを反映しているように思う。ただの理想としてでなく書き切ったのはご都合主義的な側面もあるだろうが、難しいテーマへの一つの解答として評価したいと感じている。

難しかったところ

 次に、難しかったところを述べようと思う。まず思いつくのはガンダムの機体名を作中でほぼ呼ばないことだ。特にこの傾向は前半に顕著なのだが、敵対組織は当然ながら機体名を知らないため識別コードで呼ぶ。そして、パイロットも自身の機体名を呼ばないのだ。
 リアリティはあったものの、ホビーアニメの販促としてはどうだろうか。俺のような前提知識のない人間の場合、中盤以降までほぼ機体名を知らない状態で視聴することになるのだ。
 これは笑い話なのだが、全編の視聴が終わって検索を解禁するまで、五飛の乗る機体を「ナタク(ガンダムナタク?)」だと思っていた。あれは愛称らしい。
 また、内面描写の掘り下げが乏しいことでミリアルドやトレーズの目的がややわかりづらくなってしまっていると思う。戦争を美化しないために悲劇的に書きすぎないためだろうと推察はできるのだが……作品全体の持つ雰囲気が悪い方向に作用して行動がやや突飛に感じることが特に多かったと思っている。
 それから、これは作品自体に起因するものではないのだが、令和のジェンダー観で見るとやや古い価値観に裏打ちされた台詞回しや展開があったように思う。こればかりは作品が送れているのでなく視聴者が進んでいった結果であるので、実際28年前に見ていたらあまり感じなかったことだろう。

好きなキャラクターとか

 さて、ここからは不真面目・オタク・トークだ。
 俺は美少年に釣られて見たわけだが、結果的に特に好きになったキャラクターはほとんどが女性キャラクターだった。ガンダムパイロットたちも魅力的だが、女性キャラが全体的に豪胆で好みだったんだなこれが……
 というわけで、好きなキャラクターの話していい? するね!

 ドロシー・カタロニア嬢
 最初の方の台詞からヤバい女だと思っていたが、実際は誰より優しく繊細でしなやかで美しい戦乙女のような女だった。多分作中でも屈指のまともな人。彼女がリリーナ嬢に共感していたのは革命への強い意思への共感だったのだろう。流血を嘆くまともさ繊細さと真っ直ぐ気丈に振る舞えてしまう強靱さを併せ持つ。民衆を導く自由の女神みたいな革命家向きの女。多分手を汚すことに心が折れなかったミリアルドのif。
 俺は繊細さと豪胆さを併せ持つ、目的のために世界を焼けど犠牲を忘れられないどっちつかずの女が大好きなのでメチャクチャ好き。

 レディ・アン女史
 どっちつかずの曖昧な女といえば彼女。メガネかけてる方もかけてない方も好き。
 メガネかけてる方は鉄の女とでもいうべき強靱さ、メガネかけてない方は愛と信念に殉じるしなやかさ、一粒で二度美味しい!!
 でもそれはそれとして多分作中でもキマってる方だと思う。独断でドーリアンを暗殺したり。何か謎の宇宙意思に目覚めかけてたり……
 最終的に彼女の選んだ道は「愛」だったので(元々好きだったけど)一気に好感度が爆上がりしちゃったのは裏話。俺は愛に生きてる強火な女が大好きなんだ。

 ミリアルド・ピースクラフト氏
 生きてるのかい!? 死んでるのかい!? どっちなんだい!?
 彼の繊細で柔らかな内面が好きです。戦争の時代の犠牲者だよな、彼。少年時代の話とか詳しくやって欲しかった……陰惨な話しか出てこないだろ!? それもそう。

最後に

 ガンダムW、正直メチャクチャ面白かったし、ウォッチパーティとかでも盛り上がる作品だと思う。減点方式で見ると粗が目立つのかもしれないが、加点方式のオタクが変な演出が入るたびに5億点ずつ加点すると1500000000000億点、そういう感じのアニメだ。俺は見られてよかったと思うし、誰かにとってもそうであってほしい。そんな言葉でこのnoteを締めくくろうと思う。

 ちなみに、俺が見ていた当時の実況ツイートは下記のリンクから見ることが出来る。参考までに。


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