重い時だと12kgだった
空港内で手荷物を預けるときに乗せた測量計で
初めて知ったキャリーバッグの重さ
いつも持ってるからそんなに重いだなんて知らなかった

私はバンドを離れてから一度
同じように大きな舞台に憧れている女の子たちが
少しでも夢に近づけるためのバックアップをする仕事をしていた

初めてもらった衣装に目を輝かせたり
さまざまな場所でたくさんの愛情をもらう姿に
過去の自分を重ねてしまったりしていた

そんな頃、毎日働いて寝て起きて
一生懸命過去の自分に蓋を閉じて
アンバランスな生活の中でもなんとかまっすぐ歩けるように
新しい場所でも何か私ができることを見出したい
新しい夢もできたりもした

それでも、悲しくなってしまった日には
自分の居場所は過去だと思って安心することも多くて

1年かけて新しい環境と、音楽を作るという居場所
どちらが私がいたい場所なのかを探してた

今日リリースのprayという歌詞はそんな最中に書いた曲
歌い出し、「いたい場所はどこなの？」
という言葉は"痛い"と”居たい"のダブルミーニング

そして、ジャケットの天使は
天使って私にとっては偶像の姿で
偶像すら地に足をつけ、世情を見て、痛みや悲しみを知りながら毎日を粛々と歩く
都会でキャリーバッグなんか持ってたら
華やかな街に憧れた少女のように思われるかもしれない
でも彼女は図太い信念と誰にも触れさせない透明で尖った鎧を身に纏ってるから
退屈な人たちに構わず進みたい方向へ進んでいく
そういう気持ちが乗ってる

昨日もSNS内で話を聞いていて余計に思ったけど
私は、このバンドを通して
「私自身を理解し、守ってあげられるのは数多ある中からあなたが見つけた音楽と自分自身だ」ということを多分ずっと伝えたい

簡単に悩みを理解してもらえるなんて私は思ってない

SOSを出すまでにこんなにも時間がかかったのは
私たちなりにたくさん悩んで、答えを出そうと必死になったから

私たちが悩んで涙を流していた何十時間以上にもわたる時間を
「わかるよ」の4文字で片付けられるわけにはいかない

そう思っているし、そう思う人と私は出会っていると思う

私の痛みは、私だけのもの
私が何度も突き放してきた音楽と大事な人たちに大きな愛を込めて

そして、あなたの痛みは、あなただけのもの
わかってあげられないけどあなたとこうして音楽で繋がれたのなら
ともに彷徨うことはできるよ

「pray」

ねえ、今私が
いたい場所はどこなの？
あっちじゃない、こっちじゃないって
大きな荷物背負って
フラフラ、グラグラ

ねえ、今私が歌いたい歌なら
どんな人まで届くかな
どんな場所まで行けるかな

０から始める物語には
別れの歌が必要かも
声あげて
明日への入り口を探しているから

私の痛み、それは　私だけのもの
わからないでいいただそばにいてほしいの
それだけでいいよ

あなたの痛み、それは　あなただけのもの
わかろうとせずに共にさまよってあげるよ
それだけでいいでしょ？　

ねえ今私が
守りたい場所なら
突き放してしまう時が来ても
そこには愛情があるわ

傷跡が癒るその瞬間に
やっと気づく気持ちがあるの
汗をかき
ふるえる熱
この気持ち分からせてたまるか

私の願い、それは私だけのもの
分からないでいいただここにいてほしいの
それだけでいいよ
あなたの願い、それはあなただけのもの
触れようとせずに
ともにさまよってあげるよ
それだけでいいでしょ