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工場視察~株式会社トコウ@埼玉県入間市~

 2023年12月6日(水)一般社団法人 埼玉県中小企業診断協会SDGs共創経営研究会主催による【SDGs取組企業フィールドワーク(工場視察)】に参加しました。今回、研究会メンバーの支援先企業である株式会社トコウ様(埼玉県入間市)を、中小企業診断士12名で訪問・視察させていただきました。
 株式会社トコウ様は、各種金属・木工・樹脂製品等への焼付塗装、粉体塗装、特殊塗装等、様々な塗装をする企業であり、主な事業内容として工場での高機能塗装やリペイント・製作事業等も行っています。(企業概要等は同社ホームページ参照ください)

ホームページリンク先
https://toko-toso.com/

 今回の工場視察では、会社紹介・工場見学の他、国家公務員向けの研修やSDGs関連の取り組みに関するお話を伺うと共に、その後、社長や活動推進されている社員の方との意見交換等もさせていただきました。同社ホームページの経営理念にも明示されているように『進化する塗装屋』を目指されており、経営者の姿勢、社員の皆さんの取り組み等、半日という短い滞在でしたが会社全体の雰囲気として目指そうとしている姿が伝わってきました。今回の企画準備いただいた事務局の皆さま、また快く受け入れてくれた株式会社トコウ様には感謝申し上げます。

会社紹介

 まずは、会社紹介・事業内容などについてご説明いただきました。ISO9001/ISO14001といった品質と環境マネジメントシステムを認証取得「地域未来牽引企業」にも選定され、「彩の国工場」の認定等の他、埼玉県SDGsパートナシップ等の制度やさまざまな地域活動にも積極的に参画されています。同社のホームページ等に詳しく情報が掲載されているため、本文面ではここまでにします。

工場見学

ひと通り会社紹介いただいた後は、2チームに分かれて工場を案内いただきました。案内中に気づいた点としては、他の診断士の方も言及されていましたが、塗装工場にもかかわらず、あまり有機溶剤のような匂いがきつく無かったということです。換気設備等のメンテナンス(フィルター清掃・交換等)も小まめに実施しているとのことでした。
 そして何より感心したことは、ベテランの方から若手の方まで「挨拶すること」が行き届いていることでした。これは我々が同社に到着してから同社を離れるまで同じ状況でした。お忙しいにもかかわらず、こちらが恐縮するくらい丁寧に挨拶をしていただきました。後の意見交換で社長がおっしゃられていましたが、この”挨拶”は社員同士の方をむしろ大切にしているとのことでした。作業員の一人ひとりまでデスクを確保する等、コミュニケーションの場を会社として確保し、挨拶の大切さも浸透させているようでした。当たり前のことかも知れないのですが、実践できている組織・企業は少なくなってきていると感じており、大変大切なことだと思いました。
 工場見学においては、各工程について詳しく説明いただき、またこちらからの質問に対しても丁寧に応対いただきました。同社は社員一人一人にタブレット端末を配布しているとのことで、工場見学時にも案内いただいた方はタブレットを活用して、各工程での説明内容や時間等も適宜確認されていました。こういった点でも標準化・仕組化されているのだと感心しました。
 当日の工場見学では取引先のお客様との守秘義務の関係で写真撮影はできませんでしたが、我々も良く知っている自動車メーカーや電子製品メーカー、スポーツ用品メーカー等に納入される多種多様な製品が塗装されていました。以下、同社ホームページのブログに写真がありましたのでリンク先を挿入します。

(工場視察時のイメージ(このような形でご案内いただきました))
トコウ様ブログ写真のリンク先です。
https://toko-toso.com/blog/2022/09/20/1409/

会社設立経緯や国家公務員向け研修等について

工場見学からオフィスに戻り、会社設立までの経緯等について社長よりお話いただきました。経営者が真剣に考え抜いた理念と行動指針、そして幹部の皆さんと一緒に考えた10年ビジョン等、貴重なお話を伺うことができました。その際には、やはり、「何のため」に企業経営するのか、「何のため」に事業運営するのか、そのあたりをとことん考えることが重要だということが良くわかりました。
 また、同社では、国家公務員になって3年目の方を受け入れ、企業が直面する諸課題等を共有するとともに行政の役割等について振り返る機会として研修を実施しています。その研修プログラムの内容についてご説明いただきました。主旨や概要等については、社長ブログにも簡単に紹介されていますのでそちらを参照ください。

社長ブログ写真リンク
https://toko-toso.com/blog/2022/09/20/1409/

 今回のお話を伺って特筆しておきたいことは、少し上述しましたが「何のため」にその事業や仕事をしているのかということです。それをシンプルに気づかせてくれるお話として、比較的有名な「3人のレンガ職人」の話がありますが研修等にもこの内容を盛り込んでいるとのことです。旅人が3人の職人に質問してそれぞれ返ってくる言葉が違い、その結果も異なるという内容です。3人目の職人がその夢を語り続けたことで1人目の職人の他、周囲の人々に好影響を与えたというお話です。今回の社長の思いや同社の経営活動・取組みと重なっているように感じました。また、ある意味では私自身も1人目、2人目の職人のような精神状態であったかもしれないので、良い刺激を受けました。(レンガ職人の詳細のお話についてはYoutube でも公開されていますので参考までにリンクを貼っておきます。日本ハブルータ教育研究会のYoutubeチャンネルより)

SDGsの取り組みについて 

 同社のSDGs取組みについてもご紹介いただきました。各取組みの推進において重要だと感じた点は、次の5つです。

①推進者をしっかりと専任していること。
②その専任者が各活動を定量的に数値化し、自社として評価ようとしていること。
③社員を巻き込み、巻き込まれた社員も主体的になっていること。(おそらくそのようにできる組織風土が既に形成されているから可能)
④自社の経営資源だけでなく外部資源(行政・経済団体・専門家(我々診断士等も含む)等)も積極的に活用していること。
⑤経営者もしっかり活動を支援・後押ししていること。

④については、SDGsが進むにようになったきっかけとして、支援している診断士からの的確なアドバイスがあったことを挙げられていました。さらに、⑤については、PRや企業イメージアップだけでなく、SDGsの取り組みをしっかりと事業の利益へとつなげていきたいというメッセージも発信されていました。その視点は非常に大切だと思います。

具体的なSDGsの取り組みとして、廃棄塗料の再資源化や、「塗料代0円」塗装等にも取り組んでいます。捨てるしかなかった廃棄塗料の有効活用として、さまざまなアイディアを創出していることのご紹介をいただきました。「塗装」ということの一つを捉えても、「何のため」と考えることから始まり、蓄積された技術・経験・コミュニケーションを通じて、さまざまなアイディアにつながり、そして拡がっていくのだと思いました。

↓ こちらは社内におけるSDGsバザールイベント「自分では不要な物かもしれないけど、他の誰かは大切に使ってくれるかも。そんな物たちを持ち寄ろう!」(社長ブログより)という主旨で開催してみたとのこと。
推進されている方も参加された方も非常に楽しかったとおっしゃられていたことが印象的でした。(リンク先には写真等も掲載されています。)

社内SDGsバザール
楽しいことが重要ですよね。

同社の取り組みとしては、入間市のYoutube動画でも詳しく紹介されていましたのでリンクを貼っておきたいと思います。

終わりに

 訪問前に同社ホームページ等の企業情報を拝見し、どのような会社なのか、どのような事業をやっていて、どのような人たちが働いているのか、各コンテンツからある程度想像することができました。非常に率直な所感になってしまいますが視察を終えて、なるほど、ほぼこのコンテンツ通りだったということと、これらの取り組みの背後にある理念・指針・ビジョンがあってのことなのだなと思いました。そして何よりも大切なのは、経営者の思い・姿勢・人柄なのであろうと今回の訪問を通じて改めて感じました。経営者の意識が変われば、まちがいなく社員・組織・企業も変わります。そして経営者の意識を良い方向に持っていける診断士でありたいと思いました。
 今回の企画準備いただいた事務局の皆さま、また快く受け入れてくれた株式会社トコウ様には改めて感謝申し上げます。

文責 SDGs共創経営研究会 丸山康明

株式会社トコウ様よりいただいたカタログと記念品としていただいた定規(塗装付き)
ありがとうございました。


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