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カードゲーム『2050カーボンニュートラル』開催(リアル版)

 2023年10月22日(日)13:30-16:30 一般社団法人 埼玉県中小企業診断協会SDGs共創経営研究会で開催されたカードゲーム「2050 カーボンニュートラル」に参加しました。
 カーボンニュートラルの概要を学びながら、自分たちの行動・意思決定がどのような成果へと結びついていくのか、カードゲームを通じて協働しながらその重要性を考えることが目的です。今回は、4名/ 1チーム x 3チーム(12名)+ファシリテーター(1名)の13名での開催でした。
 今回、当研究会メンバーの方に同ゲームの公認ファシリテーターになられた方がいらっしゃったおかげで開催することができました。いろいろと企画・準備ご協力いただいた関係者の皆さまに感謝したいと思います。

 ちなみに、本年2月にオンラインでのSDGsゲームを体験していますが、今回は、リアル開催によるカードゲームでした。複数の拠点から多数参加可能なオンラインの魅力もありますが、やはり、ゲーム参加者同士で直接コミュニケーションしやすいという面でリアルゲームのダイナミックな体験もまた別の魅力がありました。(前回のSDGsゲームについては ↓ こちらから

今回のカードゲームの概要について

 カードゲーム「2050 カーボンニュートラル」は、株式会社プロジェクトデザインによって運営されているゲームです。我々の経済活動等が地球環境にどのような影響を与えているのか、もしくは今後どのような影響を与えていくのか等をマクロ俯瞰的に見ることで、我々の意思決定に変化をもたらし、さらにそれらの変化がどのような結果をもたらすのかを”体感できるシミュレーションゲーム”になっています。

 ゲーム中は下段のダッシュボードのようなカーボン・マップを見ながら進行していきます。(その他、ゲームのコンセプト・詳細説明等はリンク先の情報を参照ください。)

カーボンニュートラルのダッシュボードのイメージ(㈱プロジェクトデザインHPより)
(https://www.projectdesign.co.jp/2050-carbon-neutral/service/)
リアルゲーム中のダッシュボード(カーボン・マップ)

カーボンニュートラルとは  =  温室効果ガスの『排出量』と『吸収量』を均衡させること(脱炭素ポータルより

 つまり、このゲームの仕組みも、『排出量』(ダッシュボードの左上(黄色のマグネット))と『吸収量』(ダッシュボードの右上(黄色のマグネット))の数を均衡させていくイメージです。上記の写真の状態を説明すると、『排出量:13』>『吸収量:1』となっており、排出量が大きく上回っている状態です。ゲームはこの状態からスタートしていきます。

 また、単に排出量と吸収量を均衡させていくだけではなく、下の絵のように経済成長を進めながら、温室効果ガスの排出量も削減していくというデカップリング状態にシフトしていく必要があります。

経済(成長)と環境(負荷低減)の両立が重要(㈱プロジェクトデザインHPより)(https://www.projectdesign.co.jp/2050-carbon-neutral/service/)

【ゲームのゴール】
① 排出量と吸収量を均衡(GHG発生差し引きゼロ状態へ)
② 同時に経済成長も達成

今回はゲームでしたが多様なプレイヤーがいるなかで、各プレイヤーに与えられたゴールを実現しつつ、全体としてカーボンニュートラルを実現するのは非常に難しいということも体感できます。

カードゲームの実際の様子

まずは、カーボンニュートラルの概要・課題等に対する基礎知識の講義後、ゲームのルールを説明いただき、早速開始していきます。

ゲーム開始前の概要・説明等

今回、私は「環境NPO」(プレイヤー)としてゲームに参加しました。
「環境NPO」のゲーム終了時のゴールは、”排出量よりも吸収量が多くなる”です。その他のプレイヤーには、住宅メーカー、電力会社、農林業、自動車メーカー、部品メーカー、商社、IT企業、金融機関、政府等など、非常に多様であり、与えられているゴール(ミッション)も様々でした。

多様なプレイヤーに分かれ、全部で4ターン(1ターン:10分程度))の期間中に他のプレイヤーと連携・交渉しながら、組織のアクション市民のアクションを実行していきます。

配られたカード(組織カード・市民カード・資金)

 組織カードを実行するうえでは必要な資金額もあることから、手持ち資金で実行可能なことを考えたり、資金の貸し借り等も交渉しつつ、限られた時間の中で各プレイヤーが最適と思うアクションを実行していきます。

ゲーム時の様子
カードを並べて他のプレイヤーとも情報交換しながらゲームを楽しみます。

 各ターンにおいて各プレイヤーが実行できるのは各カード一枚ずつ。実行するアクションを決めたらファシリテーターに渡し、リザルトカードを受け取ります。リザルトーカードには、実行による成果として、経済的なリターンであったり、排出量削減効果であったり、逆に排出量増加の結果が記載されています。これらの結果がダッシュボード(カーボン・マップ)に反映される仕組みです。このターンを全4回実施して終了となります。 

 各アクションについても、1ターン目で実行した方がよいものや、4ターン目で実行した方がより効果のあるもの等もあるようです。また、各ターンの間には、洪水等の災害や疫病のイベント等もあり、それらに対する施策・支援のために新たな資金が必要となったり、事前の備え(対策)等を実施していると被害に遭わなかったりと、不可抗力的な要素に対するアクション等も盛り込まれています。

実行カードを資金と共に渡し、リザルトカードを受け取ります。

ゲーム結果と学びについて

さて、このようなステップで楽しんだゲームですが、その結果はどうであったか…。

結果は以下の通りになりました。排出量と吸収量は徐々に均衡化させることができましたが排出量が多いままでした。また、経済については約40%減になってしまいました。

【結果トレンド】
スタート時:排出量:12   /    吸収量:1   /  経済(60000)*
1ターン後:排出量:13   /    吸収量:1   /  経済(未集計)
2ターン後:排出量:13   /    吸収量:1   /  経済(62500)
3ターン後:排出量: 9    /    吸収量:1   /  経済(未集計)
4ターン後:排出量: 5    /    吸収量:3   /  経済(34500)

(*) 経済:各プレイヤー保有資金の合計額で評価

4ターン後のダッシュボード(カーボン・マップ)
”排出量(青)”と"吸収量(赤)"が均衡化。但し、GHG蓄積量は増加のまま(少し飽和傾向)

 ゲームの結果としては、経済と環境の好循環を実現できずデカップリング状態にシフトできませんでした。結果は残念な形となりましたが、学びの多い体験となりました。SDGsゲームの際も実感しましたが、自社や自己組織のみで展開することの限界と、協働・連携による効果アクションするタイミングの重要性について体感することができました。

 また、今回は各プレイヤーが個々にある意味で迅速に意思決定できましたが、実社会では各企業・政府団体等の内部の意思決定の調整も必要となり、一層複雑な状況になっていると思います。複雑な要素がいろいろ絡み合い、実際に何から対応していけばよいのか分からないという大きな課題に対して、カードゲームで表現可能なシンプルな要素にまとめ課題解決をシミュレーションする試みは大変意義のあることだと私は思いました。

企画・準備いただいた皆様、参加者の皆様、ご協力いただきありがとうございました。公認ファシリテータを取得された行動力と実践力、私も見習いたいと思いました。

文責:SDGs共創経営研究会 丸山康明


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