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楽しく安全に海あそび!!

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海遊び、水遊びにかかわる安全について、屋久島のダイビングインストラクターが気付いたこと伝えたい事いろいろ。
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恐怖(怖さ)は、克服しなくてはいけないのか?

最近だいぶなりを潜めてきましたけど、まだたまにお見掛けすることもある 「恐怖を克服してこそ、その次がある」 というスポ根系ドラマや小説で聞きそうなセリフですが、はたしてこれはほんとでしょうか? 恐怖という感情は、本来、自身を守るための本能的な感情であると考えられます。経験、学習によってこれをある程度克服することはできるかもしれませんが、結果、大きな危険を身近なものにしてしまうという一面も存在します。 もちろん新しい事やたまにしかしない事については不安感、恐怖感などが出て当

小学生オニダルマオコゼ刺傷事故の経緯

2020年6月、小学生がオニダルマオコゼに刺されて救急搬送される事故に遭遇したので、危険情報を共有するために詳細を記録しておきます。 事故発生 沖縄本島北部の岩が多い海岸で、事故は起きました。  午前11時ごろ、私の子供も含む4、5人の小学生が、水深50cm前後の平らな岩盤が続くリーフ内の浅瀬で、波とたわむれて遊んでいました(上写真の環境)。私は子どもたちの横からスノーケリングを始めると、沖へ5〜10mほど進んだ浅瀬で、オニダルマオコゼ(20cm弱の小ぶりな個体)が海底を

安全と安心は別物だからね・・・。ちゃんと考えないと。

安全と安心は、考えなしにごっちゃにすると、その行動や判断に支障が出る(混乱する)可能性があるんです。 一般的にイメージされ、使われている言葉としての安全と安心については、間接的に、しかも強く影響しあうようなものなのですが、話をわかりやすくするために少々強引に割り切って書いておきます。 〇安全は安心の判断材料であるが、安心は安全の材料ではない。 〇安心は主観で、安全は客観である。 〇安心は心理現象で、安全は具体的資材や行動基準によって形成される。 〇人間の行動は、安全よりも

インストラクターは体験ダイビングとファンダイビングどっちをしたいのか?

あえて言えばってことで・・・・。 あくまで印象だけど・・・。 生き物が好きな人はファンダイビングガイドがしたい。 人が好きな人は体験ダイビングがしたい。 って感じだったりなのかしらと。 まあ、けっこう無理筋(ということにしておいてほしい)な話なのは承知で読んでいただきたく。 体験ダイビングっていうのは、どうしても同じこと(ダイビングの説明部分とコースとか・・・。)の繰返しになることが多く、しかもその行動範囲が大きく制限されます。 (もう四半世紀以上前に「えのきださん。

いまさら水中スクーターの理由

安全っていうものを突き詰めていったときに屋外アクティビティだとどうしても「機動力」を避けて通ることはできません。まあ、ことが起きてからが特にそうなんですけど、「なにかあったら素早く回避しましょう」とか、「撤収しましょう」とか。あるいはレスキューの速さだったりそういうこと。 ボート(船上に人員が必ず残っている状態で)が付近にいればそのリスク回避能力は高くなります。バックアップ要素が存在しているという意味です。 具体的には緊急時のマンパワーであり、船による機動力であり、船上であ

さかなとたわむる 其の拾 ガイドの動きを見てみれば・・。

我々現地サービスをご利用いただくお客様には、ことファンダイブの場合には「ガイド」という形でご利用いただくことが多いわけですが、さて、この「ガイド」さんに何を求めたもんでしょうか??? 本来、「ガイド」は案内、またはそれをする人(from wikipedia)ということになっておりますが、この案内というのがなかなか解釈に困るもの。 こと、最近はガイドに対して厳重な安全管理を求める声も聞かれたりしてますけど、今回は(基本的に)安全以外のお話です。 おおよその場合、いろいろな生

海遊び、浮くからこその怖さもあるよ。

皆さん海遊びの時の安全って考えてますか? ういてまて、とか、ライジャケ着用の推進、とかで、浮くことの大切さを耳にする機会も増え、水辺の安全についての意識の高まりを少しずつでも感じる今日この頃。水辺の活動において、ホント浮くことってとっても大事。 でもね・・・。 実際海でよく見る危うさってほかにもあるんですよ。 で。いきなり結論。 「浮輪やフロートなんかの浮き具は、風にとても弱いので気を付けて使ってね!」ツアーオペレータとしては少々畑違いの投稿なのは承知ですが、あえて書

ライフジャケット。「装備がずっと安全」って訳ではない。

今回は、ちょいと問題提起。 水遊びには大変に心強い安全装備。ライフジャケット。 昨今、ホームセンターやら通販やらでお手軽に手に入るようになり、しかもお値段もお手頃。 そりゃ普及も進んできます。とても良いことだと思います。 が・・・。 じつは何年か前から、こういうのを何回か耳にしたり目の前で見たりしましてね。 「ブチっ!」って、股がけストラップ(ベルト)やフロントバックルのストラップがちぎれちゃう。 なんてこったい! このライフジャケット! 以前、親子スノーケリング

「DPV。 水中スクーター」 で楽しく安全に遊ぼう!

数年前から模索しておりました、うちのスタイルに即した水中スクーター運用。まあ一般のマニュアル的なものもないわけではないんですが、正直それだけでは物足りない感じも否めず、特にウチの運用においての最適化を考えて、あれやこれやといろんなことを試していました。一応、満を持して(笑)昨シーズンよりレギュラーメニューとして運用しています。 そして、トップウォーターシュノーケリングにも、引率者器材として、状況の許す限り持っていくようにしてます。もともとスクータースノーケリングもシュノーケ

ウェアラブルカメラをもっと上手に!ドラレコにも負けてないぞ!

わたくし、安全な海遊びのための記録として、ウェアラブルカメラ(マスクマウントカメラ)をドライブレコーダー的に常用しているわけですが・・・。 昨日、「なるほど実感報道ドドド」という番組(九州沖縄ローカル)で、ドライブレコーダーの特集がありまして、マスクマウントカメラ信者(笑)としては、そりゃ確認しなきゃいかんなと録画してもらったわけです。 ドライブレコーダーのあれこれ。個人的には見ごたえのある内容でした。 ドライブレコーダーは最高の目撃者。  記録。証拠として警察も重視。

「飛込み」についてのスポーツ庁長官発言に思うこと。

いったい何年前のネタだよ・・・。 と、いまさら感満載ではありますが(笑) 小学校での水泳授業や海水浴場のライフガードや、なにより本業の海のお遊びやさんであるところの屋久島マリンサービスYMSの中の人として、この思いは以前より全く変わらないどころかいよいよ思いを強くするばかり。なので以前のブログよりちょこっと書き直して再度投稿でございます。 学校のプールでの飛び込みについて、「1メートルのプールでも飛び込みの練習はできる」「なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子

そとあそびの前に、自分の安全基準を見なおそう。

もちろん「絶対安全」で「事故ゼロ」が理想なのは間違いありません。 とはいうものの、完璧ということはありえません。なにしろ遊びに出ること自体がリスクのある環境へ飛び込むことなわけですから、万全の準備をしていても起こるときは起こるのが事故。 まあ、基本的には「あそび」ですから、無傷で帰ってくるのが当然といえば当然ですが、そこは冒険になったりアウトドアスポーツになる「そとあそび」。 たとえば、競技性スポーツでは、多少の怪我(あと故障ともいいますね)は許容されている節、あるいは

あくまでもYMS的 三つの安全

開業当初から基本スタンスは変わることなく。安全というのは譲れない一線。同じ行動、同じプログラムでもより安全にその上でより楽しくというのが身上。 その安全という言葉を相当拡大解釈(意訳)しながらYMSのサイトにアップしたのが2005年ころかな。 本人的に、この3つの安全はYMSの根幹をなす部分なので、あえてここにも置いとくことにします(笑) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー YMSは現地型ダイビングサービス(ダイビングショップ)と

体験ダイビングのスタイル

体験ダイビングって、実はとても奥が深いと思っている(ハマっている?)屋久島マリンサービスの榎田です(笑) 始めて水中で息をするっていう、ある意味最高に料理しやすい(ひどい言い方してます。スイマセン)ゲストを連れていくアクティビティ。引率者のプライドと技術がもっとも生々しく反映されるアクティビティであるともいえます。 やりようは実に多彩。お店や担当者の方針や性格、あるいは技術、あるいは地域性だったり、一括りにするにはあまりに幅広い。それでも全部まとめて「体験ダイビング」とい