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北海道ロケット打上げ観覧紀2019夏

国内では珍しい民間宇宙ロケット『MOMO』の打上げ観覧に東京から北海道へ行った際の旅行記です。今後高頻度で打ち上げられるようになるとされていますので、皆様のロケット打上げ観覧旅行の参考になれば幸いです。

最初に付録 - おいくら万円

 今回『ペイターズドリーム MOMO4号機』の観覧旅行
全行程6泊7日にかかった費用は

  25,000円 フェリー
  24,480円 レンタカー(追加保険込み)
   4,774円  ガソリン・高速 
  20,841円 飲食宿泊等
計 75,095円

 船での北海道入りや札幌欲張り行程など時間的な贅沢はありましたが、金銭的にはむしろ貧乏旅行に近い動きだったのです。反省は最後にするとして、よろしければ旅の行程をご覧ください。

・ロケット打上げって?

 今回観覧に行くロケット『MOMO』は観測ロケットという種類で、北海道は十勝平野付近の海岸から海へ向けて打ち上げられます。ロケットエンジンで高度40km近くまで加速上昇した後は惰性で高度100km付近まで上がり、惰性で十勝沖50km程度の海へ落下します。
 そのためロケットが飛ぶ空・海・地上に人が立ち入らないよう規制する必要があります。北海道とはいえ空は飛行機が、海は船舶が活発に動いていますので、ずっと立ち入り禁止にしておくわけにもいかず、時間を区切って立ち入り規制範囲を設けることになります。
 ロケットの目的に沿って物理的・社会的に打上げ可能な時間帯を
『打上げウィンドウ』
といいます。

『ペイターズドリーム MOMO4号機』の打上げウィンドウ
2019年7月13日
 11:05~12:30、16:20~17:20
同7月14日
 05:15~08:00、11:05~12:30、16:20~17:20

打上観覧旅行としては
このウィンドウ中に公式観覧場所に居る事が移動の目的となります。

 ロケットについてもう少し詳しく知りたい方は、拙作のnote記事で解説しておりますのでそちらをご覧ください。

7月11日(木)

9時 上野 TOHOシネマズ
 映画のチケットを買い、ロビーでマッタリしていると着信あり。予告があったので判ってはいたのですが、公式観覧場SKY-HILLSでの日帰り観覧バスツアー正式中止のお知らせでした。最低催行人数15人のところ、半分も集まらなかったよう。
 打上日の発表が打上げ9日前の7月4日という急過ぎる展開に、参加できる人も限られたでしょうし、過去に催行されたツアーよりもサービス内容が削減されているのも悪材料と言えます(※注1)。
・添乗ガイドなし(以前は居た)
・観覧所に露店が出ない見込み(以前は飲食の出店があった)
・観覧所での同時開催イベントなし(以前はモデルロケット打上げ等の
 イベントが同時に行われた)
 といった風。単純に旅行商品としての価値が下がっており、それでいてお値段据え置きの22千円。ちょっと強気ですね。
 出発到着地が札幌である点も問題で、ロケット打上げは当日行われるとも限りません。むしろ伸びる方が普通です(※注2)。翌日へ順延された場合、最遅で札幌へ18時に帰着後、翌朝5時のウインドウを観る為には大急ぎで大樹町へ向かう必要があります。帯広での途中乗下車ができれば利用しやすくなりそうですが、ツアーバスの性質上難しいのでしょうか。
 私のような道外民はバスの行程も視野に入れてレンタカーを手配しなければなりません。バスの札幌帰着が遅れる可能性とレンタカーショップの営業時間を考えると、バスで札幌を発つ前にレンタカーを手にしておきたいところ。バスの札幌出発時刻は朝6時であり、これもレンタカーショップの営業時間外であるので、バスツアーの前日からレンタカーを確保する必要が出てきます。
 というわけで今回レンタカーは打上げ日前の12日(金)から、余裕をもって15日(月)の3泊4日、札幌駅前発着という形で手配しました。

 24,480円 レンタカー3泊4日(オプション保険4000円込み)

10時半
 映画『ガールズ&パンツァー 最終章 第2話』を観終わった後、仲御徒町駅前でアメニティ類と飴と飲料を購入。何故この映画を今日観たのかといえば、そりゃ大洗経由で北海道へ行くからです。全く自然ですね。

 1,200円 映画
 642円 アメニティ
 844円 飲食物

11日(木)11時 東京駅出発

 東京らーめんストリートは『東京駅 斑鳩』にて『濃厚らー麺』を頂く。こういうスープはトッピングがゴテゴテ乗ってない方がいい。減塩は忘れてありがたく飲み干しました。
 八重洲口側の『高速バスきっぷうりば』にて高速バスとフェリーの連絡きっぷ『パシフィック・ストーリー』を購入。東京駅から札幌駅まで行ける便利な連絡切符です。
 事前に『商船三井フェリー』へ電話にてフェリーを予約した上で高速バス有人窓口で切符を購入するという手順となります(※注3)。

 10,500円 高速バス・フェリー連絡切符(B期間)
 820円 飲食

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11時半 高速バス
 水戸駅行き高速バス『高速みと号(茨城交通)』は11時30分に東京駅八重洲口から発車。『パシフィック・ストーリー』の東京駅-水戸駅間分の切符で利用できます。正規料金では2,080円。商船三井側の推奨プランでは14時20分東京駅発のフェリーターミナル直行便となっていますが、今回は大洗に寄り道する都合、早い便で水戸へ向かいます。

13時半 水戸駅着
 定刻から10分程の遅れで到着。6号向島線と水戸駅周辺の渋滞の影響か。高速バスの装備はwifi付き、トイレ付き、トランクルームでの手荷物預かりあり。利用者10名少々と空いていたこともあり快適でした。
 『高速みと号』の終着水戸駅では北口から10分かけて南口へ行くという謎の運用を行っています。特に南口に用が無いのであれば北口下車がベターです。

14時半 水戸駅発
 『高速みと号』が定刻着であればギリギリ乗り継げる便は発車直後でしたので、約1時間水戸駅ビルexcelをひやかしました。
 『茨城交通50系統 那珂湊駅行き』は4分遅れで水戸駅発。ごく普通の路線バスですが、大洗女子学園の校章ステッカーが貼ってあります。この系統は通常大洗港フェリーターミナルへ直行しないので、商船三井フェリー公式は『大洗派出所入口停留所』での下車を勧めていますが、今回は『大洗シーサイドステーション』へ行くために『磯浜街道停留所』にて下車。『パシフィック・ストーリー』の水戸駅-大洗フェリーターミナル分の切符で利用できます。正規料金では530円。

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隙あらばガルパン。
バス車内に作中学校の校章が。

15時半 大洗シーサイドステーション
 ここはアニメ『ガールズアンドパンツァー(GuP)』で度々登場しているショッピングモールで、店舗数としては衣料品が多めです。
 私は浮かれポンチの勢いで、サザコーヒーのスペシャルティコーヒーを頂きます。これは凄くバランスの良いコーヒーで、何も尖っていないし何も不足していない、上のステージのスタンダードという感じ。奇をてらった事をしようという下心が一切見えないのです。それ故に「これよりも他のコーヒーの方が好き」というレビューがあったのも頷けます。このクラスのスタンダードを知った上で自分好みのコーヒーを探すというのはアリでしょう。

 『大洗ガルパンギャラリー』へ。店舗内は物販半分展示半分という贅沢な使い方をしています。展示はパネルや記念切符からグッズ、ジオラマまで。歴代の駅ノート(?)もありました。パネル展示のガルパン年表は非常に詳細で、歴史好きにはお勧め。アニメ企画は2010年で、ロケハン2012年1月という時期的に、企画時は特に風が吹いていなかったものの、2011年にサービスインしたWorld of Tanks(WoT)のスマッシュヒットを横目に見ながらの突貫工事で2012年10月にアニメ放映開始。伝説の2話落としというヤラカシを起こしながらも大洗町と連携し、2012年末以降様々な施策を打っていった流れを読み取れます。

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駐車場にもガルパン。

 今でこそ戦車趣味の認知は多少ありますが、2011年春以前の戦車趣味、殊戦車ゲーム趣味界隈はニッチもいいところでした。この種のソフトとしては大成功した『PANZER FRONT(アスキー,1999)』でも2万本以上、続編の『PANZER FRONT bis.(エンターブレイン,2001)』が2.4万本以上といったところ(何れも国内販売本数)。プレスリリースでは「ミリタリーファンはもちろん、コアなゲームファンからシミュレーションゲームファンなどを対象に年間 10 万本の売上を見込んでいます。」としており、家庭用ゲーム機が隆盛していた時期としてはかなり控えめな数字となっています。
 同時期にエンターブレインが出した恋愛ゲームが4.2万本、2Dタクティクスが36万本売れていることから、戦車ゲームは成功しても大きな売り上げには繋がらないジャンルである事が察せるでしょう(※注4)。
 PCゲームやシミュレータの世界でも同様で、様々なタイトルが出ては消えました。一例として、当初シミュレータ寄りのゲーム(ショートカットキーが数十個)として一部で評価された『Panzer Elite(Psygnosis,1999)』は続編が純粋なアクションゲームとなり、その後3作目は出ませんでした。2作目が出た『Panzer Elite』は非常に良い方で、単発で終わるタイトルの方が大多数だったのです。戦車シミュレータや戦車ゲームは商業的な大成功作が存在しないジャンルであり、純粋に会社経営的には「作ってはならないもの」だったのです。
 その時勢を破壊し尽くし、ライバルの隆盛をも助けたのがWoTであります。TPSそのもののゲーム画面、FPSとしてはやや多い程度の操作キーという取っつきやすい作りでありながら、貫徹力や避弾経始といったマニアックな要素をしっかり取り入れ、戦車ごとの個性が発揮されると同時に幾何学的にも勝敗決定要素としても緻密に作り込まれた戦場MAP、戦術を考させる為の情報の提示など、圧倒的なオタク街道とカジュアル路線の折衷に成功した革命児でした。
 WoTは残念ながら日本サーバーが設置されなかったため国内での盛り上がりは世界のそれに比べて下火でした。しかし曲がりなりにもGuPとコラボが行われるなど同時代の異世界共闘が実現され、2019年現在もプロチームが活動しているなど根強い人気があります。

 1,600円 コーヒー&ケーキ
 650円 GuPピンズ
 180円 ダージリン様のお茶
 200円 おからドーナツ
 216円 アメニティ 
 100円 飲料

フェリーでGO

17時15分 大洗港フェリーターミナル
 『大洗シーサイドステーション』から徒歩でフェリーターミナルへ。途中『大洗マリンタワー』を冷かしつつも20分程で到着。夜間通行止めのゲートや、ちょっとしたチェックポイントがありましたが、特に止められたりすることもなくターミナルへ到着。公式の案内では19時45分発で「出航の40分前までに乗船手続きをお済ませください。」としています。つまりこの時点で出航まで2時間半ほど余裕がある筈ですが、実際にはさほど余裕はありませんでした。

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隙あらばガルパン。

 ターミナルには自動チェックイン機があり、これは電話予約時に伝えられる予約番号を入力するだけで乗船券(カードタイプ)が発券される仕組みなのですが、同時に決済を行うことが出来ません。今回は船室のアップグレードを行う関係で現金決済が必要なので有人窓口を利用せざるをえないのです。
 17時15分に到着した後、有人窓口に並び、乗船手続きが済んだのは17時50分。そこそこ混雑した待合ロビーで一休憩していると18時半からの乗船開始がアナウンスされ、いそいそと乗船。船室を確認し、コインロッカーに荷物を放り込んだら早速の風呂です。

 2,000円 船室アップグレード(B期間コンフォート)

19時 新さんふらわあ ふらの
 大洗-苫小牧夕方便の浴場は乗船時刻から利用可能です。まだ明るい大洗マリンタワーを眺めながらの入浴です。出港前とあってさほど混雑しておらず、揺れもないのでお勧め。利用に追加料金なし、シャンプー・ボディーソープ・ドライヤー・おむつ交換台ありと、なかなかの好設備です。
 この頃から天気予報通り雨が降りはじめ、苫小牧まで降ったり止んだりといった感じでした。

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 ネットワーク装備はイントラネットとフリーwifiが利用できます。イントラネットはwifiで船室全般から接続可能であり、船内情報と映画等のオンデマンド放送を利用可能ですが、インターネットには接続できません。
 フリーwifiはインターネット接続できますが、アクセスポイントはロビーのみであり、試験運用という触れ込みもあって接続状態は劣悪です(2019年7月現在)。
 陸地の近い一部海域ではNTTの4G回線が繋がりました。

11日(木)19時45分 大洗港出港

 バウスラスター・スタンスラスター(サイドスラスター)両方を装備している『さんふらわあ ふらの』は第3ふ頭東岸壁をスムーズに離れます。しばらくは大洗港の長大な防波堤に沿って走り、港外へ出る頃には街の灯かりでしか陸の形を認識できない程に暗くなりました。
 夕食は船内売店で購入したカップ麺と冷凍食品。物価はコンビニと同程度です。給湯室のお湯と電子レンジは自由に使えます。

 830円 飲食

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さんふらわあ夕方便の給湯室。
電子レンジ・熱湯・水・冷水・紙コップを無料で利用できる。

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 アップグレードを行った船室『コンフォート』はカプセルホテルスタイル。船内用使い捨てスリッパとテレビ用イヤホンが付いてきます。

 船という事で気になるのは揺れですが、往路は極軽い荒天といった感じで、立っていると明らかに揺れている事が分かるのですが、揺れているのだという事を意識さえしていれば歩くのにも問題はない程度でした。
 復路は天候も回復しており、波による揺れは全く感じませんでした。

午前4時 展望デッキ
 小雨が降ったり止んだり。日の出は雲の中。岩手県釜石沖にてさんふらわあの大洗行き便と擦れ違い。他の貨客船やタンカーとも擦れ違ったり追い抜いたり。航海速力24ktというスペックは伊達ではなく、追いついてくる船は絶無。本当に速い。
 売店開店後にカップ麺やパンを購入。

 383円 飲食

11時13分 船室
 公式Twitterアカウントにて13日土曜日11:05ウインドウのNoGoが発表され、16:20-17:20ウインドウを検討するとのアナウンスがされました。

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船内もときどきガルパン。

13時20分 苫小牧西港フェリーターミナル着
 苫小牧港 西港区 開発フェリー埠頭1号岸壁へ接岸。mooringやタラップの取り付けが行われ、35分には早々に下船。雨は止み、やや肌寒ささえ感じるターミナルから、13時56分発の北海道中央バス『高速とまこまい号』札幌駅行きに乗車しました。こちらは『パシフィック・ストーリー』の苫小牧フェリーターミナル-札幌駅間分の切符で利用できます。正規料金は1310円。このバスはトランクルームがありますが、トイレは付いておらず、適宜PAで休憩をとる運用となって。苫小牧市内で鈴木宗男候補ご本人搭乗の選挙カー(2019年参議院議員選)に遭遇して「北海道へ来た感」を感じたりしつつ札幌へ。

12日(金)15時半 札幌到着

 『高速とまこまい号』を時計台前停留所で途中下車。『さっぽろテレビ塔』をひかした後に『札幌市時計台』へ。改築を重ねた移築建物ということなのでオリジナルにどの程度近いのか微妙なところではありますが、柱が壁から微妙に離れて立っていたり、一階天井板=二階床板という構造だったり、観覧者用の動線が一部破綻していたり、古い波打ったガラスが多数使用されていたりと見どころ多数。
 現用時計のメカは部分的にしか見られませんが、同型のムーブメントが動作状態で展示されており、これがなかなかの説得力です(本物ですが)。仕組みの解説動画もGOOD。

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基礎。移築建物なので移築時に新たに作られた?

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ムーブメントと文字盤を結ぶ自在接手がセクシー。

 時計台の歴史と北海道開発の歴史は大いに関連する面があり、札幌市の成り立ちについての展示において概論から各論までバランスよく紹介説明されている印象でした。

 200円 時計台入場
 1,350円 飲食

19時 ニッポンレンタカー札幌駅北口 営業所
 雨が降る中レンタカーを受け取ります。車種はトヨタ『ヴィッツ』。事前にSNSで勧められていた天馬街道経由での大樹町入りを目指し、とりあえず苫小牧をカーナビにセットします。
 苫小牧港から札幌へ来て、また苫小牧へ向かうのは奇妙ですが、公式バスツアーが催行される場合は札幌駅土曜早朝発夕方着となり、バスの札幌帰着が遅れた場合には土曜日中にレンタカーを受け取れなくなり、日曜早朝ウインドウに間に合わなくなる可能性があります。この事態を回避するために金曜中にレンタカーを確保し、コインパークに停めるという段取りを考えていました。しかし公式ツアーは中止となり、翌土曜日11時のウインドウも見送りが確定しているので、苫小牧泊で襟裳岬へ寄り道してから16:20ウインドウに間に合うように大樹町へ行こうと考えていました。

 しかし早くも音を上げる事になります。まず前照灯が暗い。点灯していないのではないかと疑って確認したくらい暗い。単純に前照灯が暗いだけでなく、道が見えない。雨天は路面の表示が見えにくく運転し難いのですが、そもそも北海道では本州ほど路面への表示に力を入れられていません。雪が積もれば見えなくなりますし、除雪車が走れば路面は削り取られます。更に札幌市街地でも街灯が少ないこともあり、雨に濡れた路面は黒い板のよう。街中でさえ安全に走れる気がしません。そこで早々に予定を変え、行き先を近隣のネットカフェに変更しました。

20時 ネットカフェ自遊空間 菊水環状店
 雨のなか最寄りのネカフェへ。寝転がれて充電できれば良いということで、当初からネカフェ連泊を予定していました。最悪満室でも待ちさえすれば利用できる点で安心して頼れます。
 店内は遊戯スペースとブース席が同フロアなので少々騒がしい感じはしましたが、寝る分には問題ないかなと、この時は思っていました。

 2,234円 ネカフェ+シャワー室利用+入会金
 890円 飲食

13日04時 札幌出発

 雨は降り続いていますが大谷地経由で国道36号に入り苫小牧方面へ向かいます。

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 明るくなったので道路はもう大丈夫と思ったのもつかの間。市街地では車線表示が消えかけている所が散見されます。都市間道路はちゃんとしているのですが。市街地は高頻度の除雪で表示が傷みやすいということなのでしょうか。
 千歳市街地に入ると車線表示が完全に消滅し、幅員は片側2車線分、車線表示は1車線分の道路を2両が並走するという謎現象が発生しています。除雪作業で表示が削られたまま修復していないということなのでしょうか。謎です。

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千歳市街地の国道36号『弾丸道路』
表示上1車線の道路を2両が並走するという謎の現象が発生する(車線境界線が省略されている)。
他方で一時停止標識に対して路面に止マレ表示が無いことが多い。車線の進路矢印(通行方向別通行区分)が表示されていないことがある(大樹町市街地にも例あり)など、北海道の道路を走るうえでは少々注意が必要。
 
 苫小牧からは無料の高規格幹線道路『日高自動車道』へ。雨で視程2km程という条件もあってか、殺風景な道路という印象。平野部は広いと言えば広いのですがこれくらいの広さ感なら北関東でいくらでも感じられますので普通ですね。高規格道なので高速道路と同じ感覚で走れますが、1車線区間で地元民が後ろから来たら、さっさと追い抜いて頂きましょう。旅先でオービスとか最悪ですし。
 カーナビの謎誘導に疑問を抱かず日高門別ICで下りて浦河市街地へ。 国道235号-336号と太平洋沿いを南下していきます。
 浦河市街地を抜けると右手は太平洋。海です。天候は相変わらずの雨ですが、埼玉県民には海を見せておけばとりあえずテンションが上がるのでチョロいもんです。

07時 道の駅 サラブレッドロード新冠
 走りやすいとはいえ不慣れな道を運転しどおしでしたので『道の駅 サラブレッドロード新冠』の隣『セイコーマート 新冠店』にて休憩をしました。札幌菊水の時点ではイオン静内店で休憩するつもりだったのですが、よく考えたら営業時間前に到着することは明らかですので、菊水の時点で思考力が終わっていた証左です。イオンに到着する前に気付けた点だけは良かったのではないでしょうか。

 100円 飲料

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道の駅『サラブレッドロード新冠』は雨。
予報では日高山脈の向こうはもう少し良い天気のよう。

 このあたりの道にはところどころに『P』マーク、即ち駐車場があります。首都高の退避所のように道の左側が数十m広くなっている構造のものが多く、一部は道路から分離された駐車場となっています。血の気の多い貨物車(生鮮品輸送?)がそこそこ走っていますので『P』を利用してどんどん追い抜いて貰います。

8時20分 ホクレン幌別
 小休止がてら給油しておきました。この交差点は天馬街道への入り口であり、後に意図せずもう一度来ることになります。
 
 1677円 ガソリン

 1リットルあたりのガソリン価格は以下の通り。価格と営業時間の長さでは宇佐美が強いのですが、札幌苫小牧間及び帯広など地域の主要都市にしかありません。ホクレンはネットワークの広さが特徴です。

142円/L 出光セルフ札幌
142円/L ホクレン幌別
139円/L ホクレン帯広みなみ野
131円/L 宇佐美38号帯広
利用日: 2019年7月13日-15日

余談ですが同時期埼玉県では129円-134円程度でした。

09時半 襟裳岬
 岬に近づくと視程はみるみる悪化し、『えりも岬観光センター』駐車場では200m程度に。到着と同時に防災無線から襟裳岬-広尾間の黄金街道通行止めのお知らせ。つまり日高幌別まで戻り、天馬街道経由で大樹町へ抜ける他に手が無いということです。

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 広尾方面から大樹町へ向かう道に比べ、天馬街道まわりでは小一時間ほど多く時間がかかります。
 一方公式Twitterで9時27分に13日(土)中のNoGoが発表されました。つまり16:20~17:20のウィンドウでの打上げが無くなりましたので、今日中に急いで大樹町へ出る理由もなくなりました。
 そういうわけでとりあえず大樹町はコスモールで休憩の後、帯広に入って明日早朝のウィンドウに備えることとします。

 140円 飲料
 算外 土産類

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視界はご覧の有様。視程200m弱といったところでしょうか。風は襟裳岬にしては穏やかだったようですが、それでも他地域と比べたら強く、10m/s以上はあったようです。

11時 襟裳岬発
 1時間程かけて幌別まで戻り、先ほど給油したホクレンの交差点を曲がって天馬街道(国道236号)へ入ります。市街地を抜けると程なく道の左右は馬の放牧場が広がり、名物「馬横断注意」の看板も散見されるようになります。霧の中の牧場というものも風情があって良いものです。
 上杵臼除雪ステーション駐車帯と翠明橋公園で小休止しつつ登っていくと次第に雨が強くなっていきます。これは確かに今日中は厳しいなという印象を持ちながら野塚トンネルを抜けると所々路面が乾いており、その状況は広尾町平野部に降りるあたりまで続いていました。

ロケット射場の町 大樹町到着 しかし

13時半 道の駅『コスモール大樹』
 襟裳岬から『コスモール大樹』まで賞味2時間半。GoogleMapによると115分とのことですので、順調だったと言えます。調子に乗って最大で制限速度+20km/h程度で走ってこの所要時間ですので、平均+20km/hくらいが地元民の速度感覚なのでしょう。特に野塚トンネル先の下りでは皆さん結構とばしていらっしゃいました。

 『コスモール大樹』到着後にTwitterで状況を確認すると12時31分には翌日14日(日)中のウィンドウのNoGoが発表されていました。つまり13日と14日の土日ウインドウでの打上は全てなくなり、打上げ観覧の線は完全に無くなりました。予報的にはギリギリな感じなのですが決まった事は決まった事。概ね9日前の予報の通りの天候となった形です。

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翌14日、コスモール入口に掲出されたNoGoのお知らせ。

 既にNoGoが決まっているとはいえ、この時点でコスモールは曇っているもののかなり明るく、視程も1km以上あり、天気予報によれば午前中は海からの風、午後は陸からの風となり多少改善するとのことでした。日高山脈の十勝側は所々路面が乾いており、打上げ延期に得心しなかったので射点へ向かってみることにしました。
 道道55号で海側へ向かうと芽武あたりでは視程1km未満となり、路面は濡れており今にも降り出しそうな感じ。予報よりも悪い天候でした。
 翌日14日午前はやや強い雨でしたので、13日昼時点でのNoGo判断は妥当だったと言えるでしょう。MOMO型ロケットは打上時刻の約7時間前に準備を開始しますので、16:20打上げの場合は、9:20での打上げ判断後から屋外作業を行う事になります。雨中の作業に違法性はありませんが作業効率は確実に低下しますし、機内へ浸透した雨水が機器に悪さをする可能性がありますので、そういったリスクはできる限り避けるべきでしょう。

 ついでと言ってはなんですが、コスモール裏手、旧大樹駅隣にある東京大学のパラボラアンテナも見学。MOMO-F3ではテレメトリの受信にこのアンテナが使用されました。今後の打上げでは公式観覧場へ行かず、あえてこれを観るという乙な楽しみ方もあるやもしれません。MOMO型ロケット上昇中はカウントに同期して仰角0度から56度程度までピッチング、真方位84度から98度程度までローリングする筈です。

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 コスモールの物産エリアで土産を買い、襟裳で買った分も一緒に梱包発送して頂きました。
 
 算外 土産類+送料

 2019年8月現在HBC北海道放送で放映されている番組『北海道独立宣言』の番組企画として作られた飲食店『蝦夷マルシェ』のクラウドファンディングに参加しているので寄ってみたのですが、団体利用による臨時休業とのこと。webに駐車場の有無や臨時休業などあるべき情報が全く案内されていない点はマイナス。その種の情報を店の扉のラミネートだけで済ませるというのはいただけません。私が店舗の前に居た数分の間に1組の老夫婦が訪れ、臨時休業をお伝えするとガッカリなさっていました。
 番組企画自体が相当無理のある内容でしたので手が回っていなかったのでしょうが、率直に言って無茶苦茶です。2019年8月現在は多少改善していますが十分とは言い難い状態で、コンプライアンス的にも問題点が残っている感は拭えません。

17時 帯広へ
 翌日のウィンドウがNoGoとなったことで特にやらねばならない事もなくなったわけですが、レンタカーの返却は15日(月)としているので、翌14日(日)は大樹町の図書館で資料をあたることにします。
 この時点で疲労困憊、溜息をつきながら高規格幹線道路『帯広広尾自動車道』を走り、帯広市内で給油の後ネカフェへ向かいます。

 1,625円 ガソリン

 ジョイカフェ帯広柏林台店泊。設備がしっかりしており、ブースが広いのもGOOD。駐車場が広くない点と、お値段がやや高めである点は難です。

 2,022円 ネカフェ

14日 大樹町内

6時半
 手指のむくみなど体調不良感が強いのですが、とりあえず出発。なか卯で朝食後、大樹町へ向かいます。

 750円 朝食

 行動ログをまとめて気付いたのですが、12日は夕食抜き、13日は早朝に食べたきり飴と飲料しか採っていません。これでは疲労するのも当然です。『蝦夷マルシェ』空振りも要因の一つですが、根本的に食事を軽視していた点が原因かと思います。普段から飲食に頓着していないのも遠因でしょう。

9時半 大樹町生涯学習センター
 帯広からここまで2時間以上かかっている理由は、当記事を書いている今となっては思い出せないのですが、道道151号の札内清柳大橋を渡った覚えがあるなど、帯広市内で相当遠回りをしたようです。白樺16条西2丁目スタートなのですから素直に南下して『帯広広尾自動車道』に乗れば1時間強で行ける筈なのに一体何をしていたのでしょう。何処かの道の駅で雨に降られながら休憩したような気もしますが、覚えていません。あな恐ろしや。
 生涯学習センター入口付近にJAXAはH-IIBロケット2号機(HTV2打上機)のフェアリングの一部が展示されています。次ぎ板や発泡性材で接合している事がわかるお徳仕様となっています。

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 目的の図書館は10時からですので、開館を待ち利用しました。率直なところ特に目立った資料には行きあたらなかったのですが、既知の資料を落ち着いて読めた点で良い時間を過ごせました。「宇宙のまち」としての長年に渡る継続的取り組みと共に、それに頼り過ぎていないバランス感覚は、かなり秀でていると言えるでしょう。
 一方、ここまでの取り組みや打上実績があるにもかかわらず、観光客や少なからぬ住民の方々に対しては、IST社のプロジェクトはまだまだ浸透していない感がありました。コスモールの展示も系統に関する説明という意味では十分に伝わらない形であり、まだまだ工夫の余地があるという印象でした。

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『大樹ロケットもなか』はステレオタイプなロケット像とMOMO初号機のペイントを折衷したようなビジュアルのアイスもなかです。アイスの中のあんこが凍結しているので歯が弱い人は注意。

 280円 飲食

20時 帯広自由ヶ丘温泉
 カード会社の決済処理ミスによるちょっとしたゴタゴタがあったりしながら、なんとか帯広へ戻り、翌日の札幌行きへ備えます。自由ヶ丘温泉は規模の割に広い休憩スペースがあり、営業時間が午前1時までと長く、お湯はちゃんと温泉です。

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隣接するラーメン屋『帯広ロッキー 自由が丘店』と中で繋がっています。こちらの営業時間は20時半までと短い点に注意。

 930円 飲食
 440円 入浴料

 午前1時までの営業時間を活用し、午前5時ウィンドウ観覧の場合はここで時間調整を行うのも手です。

15日 帯広から札幌へ

0時半 帯広発
 自由ヶ丘温泉の休憩スペースで軽く寝た後、移動を開始します。これまでの運転距離は500km強。道民的にはどうという事もない距離でしょうが、不慣れな道を500km走るには神経を使いますし、お安いグレードの車とあってカーナビ以外のアシスト装備もありません。また食事を疎かにしていた事もあって疲労が溜まり「早く運転から解放されたい」という焦りが、妙な時刻での出発を決めさせたと言えるでしょう。

 1472円 ガソリン

 途中給油を挟みつつ国道38号を十勝清水方面へ。雨は全く降っていませんでしたが、ハイビームにしないと殆ど何も見えない暗さの中、約1時間で『セブン-イレブン 十勝清水本通10丁目店』へ到着、30分ほど休憩します。

2時 十勝清水発
 未明の国道274号を西進、標高を上げてゆくと雨が降り始めました。『十勝清水IC』から『道東自動車道』へ。やたら輝度が高く圧迫感のある緑デリニエーターが続きます。この辺りはきつい上り坂になるので減速防止の為に緑を使っているのでしょうか。高速道路から視ることは出来ませんが、すぐ横では根室本線がホースシューカーブのような線形を駆使して高度を上げていきます。
 3時に『占冠PA』へ到着。ここで1時間半ほど休憩し、明るくなってきた4時半頃出発。未明は見えなかった高架橋とトンネルが連続する道東道を走り、5時20分に『夕張IC』へ到着。パーキング(紅葉山)で小休憩しました。
 このパーキングは道から分離され、大型車が何台も入れる大きな作りです。トイレや自販機等はありませんが、確実に駐車できる点がGOOD。補給は新夕張駅周辺のコンビニが良いでしょう。

 2,330円 高速料金

 ここからは国道274号で西進します。この道と並行する石勝線の運転間隔は上下あわせて1時間2本未満。道路からの見通しはあまり良くありませんので、偶然走っている列車と出会うという事は厳しそうです。

6時 道の駅 マオイの丘公園
 ここで再び小休憩。鍋の碑があります。
 松浦武四郎が旅に際し携行した鍋を供養する鍋塚を建てた事に発し、松浦武四郎紀行足跡之碑として鍋を吊った形となっています。
 駐車場はキャンピングカーの利用者が多かった印象があります。

8時 札幌
 給油の後、ニッポンレンタカー札幌駅北口 営業所へ返却しました。
 結局運転時間自体は帯広-札幌間で5時間ほどでしたが、変な時刻に出発し、不慣れな道を走り、中途半端な休憩を挟みながら7時間半車内に居続けた結果ヘトヘトのヘロヘロ。出発時刻や体調管理のマズさもあって非常にダメな移動でした。もう運転しなくてよいという安堵感が強かったのが実情です。
 公式バスツアー+翌日ウィンドウをカバーするには札幌を起点にする事は避けられませんので、乗り捨てプランの利用が現実的でしょう。

 1,102円 ガソリン

 ここまでのガソリン給油量は42.5L、5876円、走行距離770kmでしたので1Lあたり18.1kmの燃費でした。負荷の小さい地域の走行であったにもかかわらず燃費が伸び悩んだ点については、湿度が常に高い状態だったので概ねエアコンを付けっぱなしにしていた条件が影響していると思われます。
 トヨタヴィッツの公称燃費はJC08モードで17.2~34.4kmとなっています。

 札幌市街地を散策。札幌市電を眺めながら狸小路商店街あたりまでブラブラ。さすが北海道の人口の約4割が集中する都市だけあって商業地の規模も広大ですね。以前ひょんなことからメイド喫茶の店舗数を数えたことがあたのですが、札幌は秋葉原に迫るメイド喫茶つよつよ都市でした。秋葉原と大阪の店舗数が増えた現在でも、札幌は日本有数のメイド喫茶集中都市です。
 狸小路商店街をひやかし、街の雰囲気を愉しんだ後は北海道庁旧本庁舎前を通り札幌駅へ戻ります。

11時 丘珠ドライブ
 Twitter繋がりのT氏と落ち合う約束をしていたので札幌駅へ。車で連れていって頂けるということなので軽いノリで丘珠空港(札幌飛行場)へ。
 陸上自衛隊や警察のみならず定期航空路線とジェネアビ向けにも共用されている空港で、コンパクトながら一通りの旅客設備が整っています。道内便のハブとなっており、ジェネアビの活動も盛んで、地方空港の割に離発着の密度が高い印象です。
 丘珠空港緑地の駐車場付近は滑走路間近で離着陸機を観られます。特に頭上を掠めるように飛ぶ着陸機はなかなか。私有地と接していない点もGOOD。滑走路延長時には滑走路用地となる土地ですので、今の年代限定の風景でもあります。

画像21

 当日7月15日は参議院議員選挙を前にした内閣総理大臣による応援演説が札幌駅前で行われる関係から警察ヘリが忙しそうにしていました(警察ヘリの離陸を優先させる為にエアライナーのダウンウインドをエクステンドしたらしい?)。
 滑走路長が微妙に短い為に運航機種が限られ、他のハブ空港との接続が無い点が厳しいところ。滑走路は過去に延伸が行われ、今後も延伸計画はあるようです。空港周辺は農地及び公園となっており、拡張自体はできそうなのですが、延伸した分単純に騒音地域が滑走路延長上に伸びる事、より大型のジェット機の乗り入れや増便による騒音負担の増加に対する補償、或いは打算勢への対応など、クリアすべき課題は多そうです(※注5)。
 率直に言ってターボファンエンジン機(ERJ-175)よりもターボプロップ機(Saab 340)の方がやかましいので、1800m化と同時に道内便もターボファン化してしまった方が良いような気はします。奇策としてはロンドンシティ空港のような特殊な運用を行えば騒音負担を減らす事が出来ますが、さてさて。

 700円 飲食

15時 札幌駅
 丘珠空港観光の後は札幌駅へ送って頂くがてら2018年9月の地震被害についての説明を頂きました。一部街区では2019年7月現在でも道路を規制して復旧工事が行われており、伝え聞く以上の被害があった事を伺えました。
 札幌駅からは小一時間ほど歩き回ったり、数年ぶりにリアル本屋(同人ショップ以外の)でだらだらしたりしているうちに18時。早いですが休むことにします。

18時 ネカフェ 自遊空間札幌南二条店
 店内は広くなく、ブースもまた狭めです。一方無料朝食や格安フードなどサービス面は良いです。
 無軌道な行動が祟り疲れていたので、時間を気にしなくて済む先払い24時間コースにしました。このコースはシャワー付き途中外出OKという変わった運用で、夜のすすきのへ繰り出した後に戻ってくるという利用方法を想定しているようです。

 1,180円 飲食
 3,080円 ネカフェ

 久しぶりに紙のコミック(GuPアンソロ)を読むという余裕を出しながらも、やはりネカフェでの睡眠は寝たような寝ていないような感じでよろしくありません。

16日 札幌赤れんが庁舎

10時半 北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
 疲れに任せてダラダラしつつ、帰りのフェリーの電話予約を入れた後赤れんが庁舎へ。
 前日建物前を通過がてらに見て気になった点がひとつ。この時代の玄関ポーチに馬車馬を留める為の弧状金具が設置されていることがあるのですが、どうもこの建物には設置されていないよう。玄関ポーチの柱の2m程度手前で進入規制が敷かれており、日影の中で撮影するしか手が無かったのですが、画像を加工しても金具は勿論、金具を撤去した痕も見当たりません。
 赤れんが庁舎前の煉瓦舗装にも注目、というのも先日見学した札幌時計台の展示にかつて庁舎前に敷かれていた木塊舗装の模型があったので、足元に注意が向くわけです。すると何やら彫り物が施された煉瓦が目につきます。市町村章や文字など。
 これらは『レンガに刻む私のまち』プロジェクトによって設置されたものであり、大樹町の刻印レンガもありました。レンガは江別産とのこと(※注6)。

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このレンガが札幌で唯一目に入った宇宙輸送産業成分。
株式会社植松電機・北海道大学・室蘭工業大学・インターステラテクノロジズ株式会社等の宇宙産業関連企業団体があるにもかかわらず、それらに対するフォーカスは皆無というのが実感です。

 舗装といえば国後島メンデレーエフ空港は長方形のコンクリートブロック(約1.6m*約7.2m)を敷き詰めて作られているようです。この舗装が本土から直行便で行けない理由の一つなのでしょう。

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 外国人観光客だらけの赤れんが庁舎前。大樹町もこれくらい晴れれば良かったのですが。

 庁舎前から屋内へ移ったのは11時。
 一階『北海道の歴史資料ギャラリー-文書館展示室-』から見学。一番の目玉は松浦武四郎が画いた蝦夷地地図であり、他は明治時代の資料が多く展示されています(※注7)。

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松浦武四郎の蝦夷地図より現大樹町付近。
アイヌの概念で河川は海を発し丘を登る、即ち起点を河口または河の合流地点としている。
アイヌの河の名前は今も多く残るが、地名として残るものは割合としては少ない。ここではメム(芽武)、画面左外にはフウレヘツ(大樹町字振別)の名が見える。

 展示やボランティアガイドの案内の傾向は主に明治以降の大日本帝国による北海道開発という視点であり、アイヌの地方毎の社会や文化、地方勢力同士で反目、意思決定システムの欠陥、アイヌの人々の変化、或いはアイヌ利権揶揄されるアイヌとは凡そ無関係な活動を介したブラックな経済といった事実は概ね漂白されています。
 松前藩の北方進出や大日本帝国の植民地化政策によるアイヌに対する経済的・文化的な侵略は歴史的事実ではありますが、アイヌ側にフォーカスが当たっていないという意味で一方的な展示であり、乱暴でピュアな対アイヌ加害史観の論拠となる資料展示という印象は拭いきれませんでした。決して広くない展示室であり、また植民政策側の建物としての歴史を尊重した結果このようなバランスになっていると理解する事もできますが、改善の余地はあるかと思います。

 ゴールデンカムイ勢と思しきカップルは大変熱心に観てらっしゃいました。やはり周辺情報を知ってから一次ソースに触れるという順番は強いですね。高等教育や研究とは逆のアプローチですが、こういった作品は低コストで広い情報に興味を持てるという点で大変結構だと思うのです。俯瞰的に多くの物事の関係性が判った上で一次ソースに触れれば、作品をより深く楽しめるだけでなく、作中表現の誇張や省略にも気づけるでしょう。
 一方、団体生徒達は50cm/sでスルー。プリントを埋めるという作業がお忙しいようで。そりゃ興味ないものの一次ソースを見せられても情報の処理のしようがないわけです。展示内容は面白いので勿体ない。

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展示の一つ『新聞縦覧所設置の願』と書き起こしから。
「僻遠辺土之民ヲシテ普く新聞誌ヲ読シメバ固陋頑愚之民ヲシテ少シハ耳目ヲ広メ時態之隆替ヲ知ラシメ旧習ヲ除ク一助トモ可相成奉存候ニ付~」
乱暴な意訳「僻地に住む頑固で愚かな民に新聞を読ませ、時代の変化というものを見せつけることで、古く愚かな習慣を改めさせるさせることに役立つでしょう」
 今これをやったら週刊誌とワイドショウが無駄に騒ぐ奴です。
 新聞の有用性を知らしめ新聞購読者の増加に繋げるという、情報伝達と産業振興という公共的な建前で設置運営され、人が集まる特性を利用した(闇の)商売の場ともなり、やがて新聞購読者の増加や風俗取り締まりにより消えていった、新聞縦覧所の明るくて暗い歴史にも想いを馳せられる展示品です。おもしろ。尚札幌でも他地域同様に腐敗したのかは未調査です。

 二階『樺太関係資料館』は樺太についてというよりはロシアの南樺太侵略や三船殉難事件など戦災についての展示が色濃い。展示の全てがそうであったわけではありませんが、部屋中に聞こえる戦災に関するビデオ音声が場を支配している感じでした。見学無料とウェルカムな割にはなかなかヘヴィです。赤れんが庁舎前は半分以上台中方面の方でしたし、一階や二階の『旧北海道長官・知事室』にはそこそこ居ましたが、やはり込み入った展示となると長居は厳しいようです。
 そんな中、生徒達は1m/sで早足通過。必要以上に大きな声で話していた様子から、一応展示室を通ったというアリバイ作りであって、どちらかといえば展示から目を背けたいという風。興味の有無ではなく、もはや展示に近づきたくないという感覚、共感はしないけれど解ります。ダイレクトな表現はないものの、関係者のインタビュー等あり生々しい雰囲気です。
 こういった展示は生徒側に受け止めるだけの体勢が事前に備わっていないと難しいでしょう。広島の『広島平和記念資料館』は展示スペースの広さをしっかり使って概論から入り、子細な被害や科学・医学的な話へと繋げていく流れが出来ていましたが、それでも逃げるように展示室を抜けていった生徒達の印象が強かったものです。

 展示絵画についてはボランティアガイドの説明が無いと背景がわからず、いまひとつ。ガイドの方々は対応がラクそうな老夫婦のご婦人を見つけてはくっついて説明して歩くという風で、怖そうなおじさん(目と姿勢が悪いだけです)にはあまり興味が無いご様子。
 というわけでボランティアガイドの話を盗み聞きする範囲では面白いです。

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窓には古い製法のガラスが混ざる。札幌時計台にもかなりの枚数が残存しており、ガラスの研究目的で訪れる人も居るのだとか。

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年代物の扉には隙間が。雨漏りもあるそう。

 後は『総務部北方領土対策本部』なる仰々しい部屋で返還要求署名をしたり売店をひやかすなどして見学終了。

 この赤れんが庁舎は2019年10月1日より一時閉館し、約3年間に渡って大規模改修を行うとのこと。建具に隙間がある・床の一部がボコボコ・一部展示室を除いてバリアフリーではない・外国人向けの展示補助は主にウェブページであり、ページ自体はよくできているものの、見学者の積極性あっての補助にとどまっている・見学者向けに公開されていないエリアが多い・wifiが使いにくい、といった一見して感じられる問題がみられましたので、これらが解決・改善されるといいですね。

13時半 赤れんが庁舎出
 結局3時間ほど赤れんが庁舎で愉しんでいました。もっとゆっくり観たかったのですが、この後の予定は遅れられないので余裕をもって切り上げました。

 札幌駅前ビックカメラの下にあるバスターミナルへ。有人窓口で『パシフィック・ストーリー』を購入します。東京駅八重洲口窓口ではA4版クーポンであり、東京駅-水戸駅の券と水戸駅-大洗港フェリーターミナルの券が別の券となっていましたが、札幌発では大洗港フェリーターミナル-東京駅間が1枚となっている点が大きな差です。
 公式ページの.pdf(※注8)では大洗フェリーターミナルから高速バスに乗らず、路線バスで水戸駅へ出た後に高速バスに接続する経路も示されています。水戸駅のサザコーヒーで一服してから東京へ行くという事もできそうです。

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 10,500円 高速バス・フェリー連絡切符(B期間)

15時 札幌駅バスターミナル発
 切符購入後は飲食エリアへ行ってみたのですが結局何も食べず。一瞬は食べようと考えたのですが、迷うのが面倒になりハイボールで誤魔化すという、振り返ると酷い行動をとっていたものです。
 『高速とまこまい号』は15人ほどの乗客を乗せ、定刻に出発。PAでの休憩を挟みながら17時前に苫小牧西港フェリーターミナルへ到着。往路とほぼ同じ約110分の行路です。
 乗船開始が17時半とあって多くの乗船客は手続きが完了しているのか窓口は空いており、17時15分には乗船手続き完了。売店で北海道名物のスープ付きカップ焼きそば・セイコーマートブランドのカップ麺・それに120円の調理済みスパゲッティ2つ等を買い込んでいるうちに乗船開始が告げられます。
 スープ付きカップ焼きそばについて、一度手に取った後にカップを持参していないからということで棚に返した人が居ました。確かにこれは船向きの商品ではないかもしれないと一瞬思いましたが、必ず焼きそばと一緒に飲まなければならないものでもなく、持ち帰るなり何なりすれば良いのにと思いますが、ミスマッチといえばミスマッチなのでしょう。

 2,000円 船室アップグレード(B期間コンフォート)
 947円 飲食

 乗船後は荷物をロッカーに放り込み、さっさと入浴しました。19時前には食事をしてバタンキュー。夜は『欽ドン!良い子悪い子普通の子』に出演された長江健次さんのミニライブが開催されていました。こういったクルーズ船的なレクリエーションが不定期開催されています。少しお徳感。

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接眼レンズにスマホカメラをくっつけて撮影。

 翌朝から昼にかけてはロビーで旅好きのご老人一行と雑談をしていた事くらいしか記憶がありません。疲れ過ぎです。

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午前8時。相馬沖の太平洋をゆく『さんふらわあ さっぽろ』。

 旅慣れた高齢の方々はかなり灯台に対して興味を持っている方が多い印象です。昭和時代に流行した唄には灯台をテーマとした作品が多かった故でしょう。そういうわけで大洗行きでは陸側となるロビー側窓に高齢の方々が緩くかじりつき、あれが灯台だの、いやいやあれは違うだのと緩い話をしているわけです。船側の装備やサービスはそのニーズに応えられているのかといえば、疑問でした。

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船内ディスプレイとイントラネットサービスで見られる現在位置。
精度が低過ぎて役に立たないとすこぶる不評。タブレットPCのGoogleMAPで神扱いになれるという何ともトホホな環境。

13時 大洗港入港
 13時50分下船開始。降りはしたのですが、東京駅直行の『高速みと号』は15時発と約1時間待ち。船側の遅延対策なのでしょう。大洗の街に出歩く程の余裕もないので待合室で大人しくしていました。参議院議員選の政見放送が放送を観るなど。
 この乗り継ぎの悪さもあってか『大洗港フェリーターミナル』からの利用者は5名ほどでした。

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下船時間からだいぶ経過したターミナルビル待合室。

東京駅へ

 定刻に『大洗港フェリーターミナル』を発った『高速みと号』は水戸駅南口で運転停車、後に北口へ行くという恒例の謎運用を見せつつ東京駅へ。乗客はそこそこ増え10人強に。途中アナウンスがあり、道路状況により遅延の可能性があるので八潮PAにて『つくばエクスプレス(TX)』との接続の為の停車を行うとのこと。八潮PAへの乗り継ぎ停車はウェブページでもアナウンスされているので、臨時停車というよりは、定時性を重視する乗客への予防的アナウンスなのでしょう(※注9)。

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 結局当便は17時27分に八潮PAへ停車の後、多少の混雑はあったももの東京駅八重洲口降車場にはほぼ定刻の18時過ぎに到着しました。
 かくして東京駅起算126.5時間(5日と6.5時間)の『ペイターズドリーム MOMO4号機』打上観覧旅行は幕を閉じたのでありました。

反省

 そもそも何故遠回りの札幌経由なのかといえば、中止になった札幌発着のバスツアーを中心に予定を組んだ為です。

画像34

 バスツアーの中止が決まった時点でレンタカーの手配を変更する事も出来たかもしれませんが、『パシフィック・ストーリー』を乗り通してみたいという誘惑もあって札幌発着の予定を変更しませんでした。
 北海道での走行経験は『MOMO2号機』観覧の際に帯広-大樹町間を走った程度で長距離の経験が無かったので、事前に多少の情報は調べたものの、正直侮っていました。いくら道が走りやすくても遠いものは遠いのです。アシスト機能の少ない車種では猶更遠く感じます。レンタカーを乗り捨てプランに変更し、都市間移動に高速バスや鉄道を使えば札幌発着という目標と走行距離の低減を実現する事も出来たでしょう。
 ウィンドウが読めないからといってアドリブに頼り過ぎると厳しいことになるということも明白になりました。余裕を持った移動と休憩の計画が必要でしょう。
 行動ログを遡ると1日の摂取カロリーが1700kcalと、だいぶ不足している事がわかります。序盤からヘロヘロになるのも当然であり、体調管理の面では大失敗していました。
 日程に関しては事前の調査委不足で1日余計にかかってしまいました。札幌観光という意味ではあと2日くらいは欲しいところですが、ロケット打上げ旅行としては日にちが掛かり過ぎです。一例として、土曜日羽田発帯広行きの第1便で帯広入りし、日曜夜便で羽田へ戻る2日間プランもギリギリ可能です。

総括

 結局打ち上げは観られなかったのですが、ロケット打上げは概してこんなものです。打上げに必要な条件が全て満ちた場合にのみ打上げできるデリケートなものですので仕方ないと割り切るほかないでしょう。
 とはいえ満足度が低いかといえばそんなこともなく、ちゃんと旅行した感じでした。夏の北海道のドライブは良い経験で、『優駿浪漫街道』や『天馬街道』は天候の良い日にもう一度走ってみたいものです。札幌観光に関してもまだまだ観足りていない感じがしますので、再訪したいところです。
 フェリーでの北海道入りに関しては、時間と体力があるのならアリかと思います。飛行機ほど忙しないのも良いですし、何より時間を無為に過ごすという贅沢を味わえます。
 

注釈

(※注1)
大型ロケットの打ち上げは1か月以上前から告知されるのに対し、MOMO型ロケットの打ち上げは数週間前から数日前と非常に差し迫った時期に告知されています。
MOMO1=24日前
MOMO2=33日前
MOMO2(再トライ時)=9日前
MOMO3=18日前
MOMO4=9日前
役場への各種申請情報を調べたり、HIUや地元住民の伝手を辿ればある程度時期を絞ることは出来ますが、機体側の都合もありますので確定的な判断はできません。

(※注2)
ロケットの打ち上げは機体・気象・空海地の安全など複数の要素が全て想定された範囲でなければ行えませんので、大抵延期になります。MOMO型ロケットに関しては1号機から4号機までに関しては、2号機の再トライ時を除き、一度たりとも予定された最初のウィンドウで打ち上げられていません(2号機の再トライ時も船舶進入により30分ほど延びました)。
NASAやJAXAのような大型ロケットでも中止延期はよくある事です。

(※注3)
https://www.sunflower.co.jp/route/fare/plan/ferry-and-bus.html
http://www.ibako.co.jp/contents/newsrelease/2019/07/19534.html

(※注4)
https://dakuryu.at.webry.info/200807/article_7.html
http://supernova-novx.my.coocan.jp/d639.html
https://www.enterbrain.co.jp/up_files/bulletin/panzer.pdf

(※注5)
http://www.city.sapporo.jp/shimin/okadama/torikumi/kentokaigi/documents/houkokusho.pdf

(※注6)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/sum/akarenga/rengahoso281114.pdf

(※注7)
http://files.ainuchimeiken-club.webnode.jp/200001008-19b021aa8f/3%E8%83%86%E6%8C%AF%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C%E8%AA%9E%E5%9C%B0%E5%90%8D%E9%9B%86%E7%A9%8D.pdf

(※注8)
https://www.sunflower.co.jp/route/fare/plan/pdf/201904ps.pdf

(※注9)
八潮PA停車時は車内にて追加料金100円でTX秋葉原駅まで有効の乗り継ぎ乗車券を購入できます(正規料金463円)。東京駅到着時間が読めないほど渋滞していればTXの方が速いでしょうが、八潮PAから八潮駅への乗り換え、運転間隔、TX秋葉原駅からJR秋葉原駅への乗り換えを考えると定刻より少し遅いくらいではないでしょうか。

北海道ロケット打上げ観覧紀2019夏 2019年8月28日

追記(2020年9月)

 連絡切符『パシフィックストーリー』を構成するバスの運行に変更が行われています。2020年8月17日以降、旅客需要の減少によりフェリーターミナル直通の高速みと号は運休となっています。そのためフェリーターミナル最寄りの停留所は『茨城交通50系統』の大洗派出所前となり、約700mを徒歩にて移動する必要があります。
 また水戸駅-東京駅間の『高速みと号』土休日上り便は、浅草、上野を通過する運用に変更されています。

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