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インバウンド復活の切り札は 団体・パッケージツアー? ~北朝鮮の観光から学んでみる~

月間220万MAUを誇る日本最大級の訪日観光メディア「tsunaguJapan」を運営しインバウンド事業を展開している株式会社D2C Xの中西です。連日30度を超え、35度を超える日も出てきており、ステイホームに拍車がかかる気候になってきた中で、非常に面白いアイデアを聞いたので纏めさせて頂きます。

東京五輪を開催するとしたら?


先日、Newspicksの番組を見ていて、思わず声を出して頷いてしまったことがあります。慶應義塾大学・医学部教授の宮田裕章さんが、以下動画の33分頃から話している内容でして、端的に要約すると、

Q:来年、東京五輪を開催するとしたら?
A:パッケージツアーであれば、可能性がある。


つまり、団体旅行であれば、事前にPCR検査も行程管理もできるし移動もバスに限定して市中感染を防げる。ある意味、2~30人のクラスター感染確率は許容してもらう前提で付き合っていくというアイデア。

個人的に団体ツアーは、三密不可避で最も厳しい観光の業態であるという認識でいましたが、感染管理の視点でいうと、Withコロナ時代に対して逆にマッチしてるかもしれないと思いました。

北朝鮮観光の実情とは

この話を聞いたときに、思い出したのが北朝鮮です。

北朝鮮? なぜ? と思った方も多いかと思います。また、そもそも入国すらできないと思っている方々がいらっしゃると思うのですが、実は日本人でも北朝鮮観光は可能です。2018年には、年間で360人の日本人が観光で北朝鮮へ入国しているそうです。

─日本人の大多数は、北朝鮮を観光できるとは思っていないのではないでしょうか。

そうでしょうね。とはいえ、2018年に北朝鮮は外国人観光者を約20万人受け入れた。中国人が最多ですが、欧州からは専門の旅行会社を通じて入国しているし、北朝鮮の敵対国であるアメリカからの観光客もいます。

─日本からの旅行者はどれくらいですか。

昨年は360人ほどが訪問していることがわかっています。中外旅行社をはじめ専門の旅行会社もあり、今ではSNS(交流サイト)などを通じて積極的にPRしている会社もある。1990年代にはJTBや近畿日本ツーリストといった日本を代表する旅行会社が北朝鮮へのツアーを募集していたという実績もあるのです。

経済制裁を受けている北朝鮮では、そもそも外国人に門戸が開かれていないというイメージがあるかもしれないですが、実は観光業は制裁の対象外となっています。そのため、中国を中心として年間20万人程度の外国人観光客を定期的に受け入れ、外貨獲得の手段としています。

では、完全に自由にFIT  (Foreign Independent Tour) を受け入れているのかというとそれは違います。基本的には、旅行代理店を通してビザやホテルなどを手配するパッケージツアー形式になっています。

入国後には1人の旅行者に対し、最低2人の案内員とドライバーがつく。この点で、案内員=監視員と外国人からは思われてしまう。実際に、旅行中はつねに行動を共にするし、突然の予定変更もしづらい。この点でも、外国人による北朝鮮観光はいわゆる観光とは異質です。

北朝鮮は、従前からガイドという名の監視員をつけてパッケージツアーを開催しており、ガイドを通じて旅行者の行動を管理していました。

Withコロナ時代に市中感染を防ぐという意味合いでは、北朝鮮観光ほどではないですが、ある程度管理することを前提として、団体・パッケージツアーでインバウンドの方々を受け入れ、ウィルスの拡散防止・感染経路の特定を実現できる形に作り上げた新しいツアーが切り札になるかもしれません。

さらに、その団体・パッケージツアーの内容に、医療従事者の帯同や指定病院への迅速な搬送など安心安全もセットになっていれば、観光客も受け入れ側も安心して開催できるパッケージツアー商品に仕上がると思います。


パッケージツアー成功のカギは

感染拡大防止を目的とした管理体制及び万全な医療体制は前提として、パッケージツアー成功のカギは、観光地の魅力 これに尽きると思います。

今回のアイデアは、自由を犠牲にしてでも旅行へ行きたいと思ってもらうことが非常に重要なポイントです。北朝鮮が何故年間20万人の外国人観光客を受け入れられているかというと、情報があまりないある意味ミステリアスな国であるということが一部の旅行者を強烈に惹きつけているのではないかと考えています。

来年は、東京五輪という強烈なコンテンツがありますが、それに留まらずどうしても日本へ行きたい!と思って頂ける強力な観光コンテンツを開発し、世界へ向けて継続的に情報発信していくということがWithコロナ時代のインバウンド観光においてパッケージツアーを成功させるキーになると思っています。

最後に

Newspicksの討論内容にも出てきましたが、今後コロナウイルスが高速で変異する可能性があるということで現在開発されているワクチン・治療薬があまり役に立たないかもしれないということを考えると、しばらく団体のみというか団体・パッケージツアーであるからこそ外国人を受け入れることができるというシナリオも考えて準備する観点も必要だなと感じています。


日本各地にいる多くのインバウンド事業者の方、今回は特に団体・パッケージ旅行を販売・企画する旅行代理店・ランドオペレーターの方々にこの情報が届けばと思いますので、このnoteをSNSなどでぜひシェア頂けると嬉しいです!

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

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