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乃木坂46 中編

8
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和。

和。

凍て刺すような風が体を吹き抜ける。

もう一度だけ。

せめて夢の中でもいいから。

何度願ったって叶わないこと。

今年の冬は痛いくらいに寒い。

そういえば去年まではこんなこと感じなかったな。

俺に伝染った口癖も。

愛おしくなるような仕草も。

その一つひとつが、寒さを消してくれていたんだ。

忘れてしまいたいくらいの恋なのに。

どうしてだろうか、君には忘れて欲しくないんだ。

あぁ、そ

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夏のかけら。

夏のかけら。

長い静寂の刹那、弓矢を射る。

真っ直ぐに飛び出した弓矢は的のど真ん中に突き刺さる。

『おぉー!』

他の部員から大きな歓声が挙がる。

幼い頃より「神童」と呼ばれてきた俺は、弓道部のある高校に進学した。

その後は様々な大会で優勝し、今も部のエースとして期待をかけられている。

…正直、悪い気はしない。が、その期待を裏切らない為にも、精進を止める気はさらさらない。

『じゃあ○○!お疲れ様ー!

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図書室の君へ。 #2

図書室の君へ。 #2

次の日、学校に登校した俺は下駄箱で上履きに履き替えていた。すると、筒井さんが現れた。

「あ、筒井さんおはよう。」

すると筒井さんがこちらを向き

「おはよう。」

と、返してくれた。

せっかく昨日の今日で会ったんだ。何か会話しておこう。

「そういえばさ、昨日俺もエッセイ買ってみたんだ。今頑張って読んでるとこ。」

俺は昨日のことを早速報告した。

「へー、そうなんだ。なんて人?」

筒井さ

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N

N

あなたは今 笑えていますか

何を思って生きていますか

大切な人は見つかりましたか

あなたとの時は止まったままだけど

今年もあなたのことを思い出します

肌寒い夜の道を

ひとり自転車で追い越していく

行きの僕が登りきった

急な坂道を下っていく

緑色の公園が

何も言わずに微笑みかける

サヨナラの意味もわからぬまま

孤独に強くもなれなかったけれど

どんな姿も好きなはずだったのに

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誰も知らない。

誰も知らない。

お前はウチの人間じゃない!

お前は出来損ないだ!!!

お前なんか

生きてる価値がない!!!!!

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キーンコーンカーンコーン

昼休み終了のチャイムが鳴る。

教室の喧騒は散り散りになっていく。

今日は何もやる気が出ない。

…サボってしまおう。

俺は立ち上がると屋上へ向かって歩き出した。

キキィ…

錆びた音と共に重たい扉が開く。

「ふぅ…

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フタリノアイダ。

フタリノアイダ。

今日は12月31日。

所謂大晦日である。

テレビでは年越しのカウントダウンをすべく、芸能人たちが集まって盛り上がっている。

そんな中、俺は自分の部屋の中でずっと頭を悩ませていた。

○○:「…あけおめLINE、送っていいのかな〜」

ずっと片思いしている同じクラスの遠藤さんに新年の挨拶をするかずっと悩んでいる。
もう文章は考えてあり、年越しの瞬間に送信ボタンを押すだけだ。

でも、本当に大丈

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図書室の君へ。

図書室の君へ。

(気まず…)

さっきから物音ひとつしない。

くじで当たって半ば無理矢理図書委員を押し付けられた俺は相方の筒井さんとカウンターで並んで座っている。

(放課後の図書室なんて誰も来ねーよ)

しかも仲良くもなんともない女子と2人。気まずいったらありゃしない。

(あと1時間もあんのかよ…あ〜早く帰ってゲームの続きやりてぇ…)

筒井さんはというもの、ずっと本を読んでいる。まるで俺の存在を無視するみ

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いつか。

いつか。

○○「遠藤さん、コーヒー淹れてくれる?」

さくら「はい!……うわぁ!」

○○「あっちぃ!!!」

さくら「あわわわ、ごめんなさい!」

○○「遠藤さん、これ5部だけコピーお願いできる?」

さくら「はい!」

○○「……コピーしすぎじゃね?」

さくら「え?え?これどうやって止めるんですか!?」

○○「遠藤さん、取引先にこの荷物届けにいってくれない?」

さくら「はい!行ってきます!」

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