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無口なライオン。#6


突然ですが皆さん、私の名前は金村美玖と言います。ピチピチの高校1年生!

今は朝のホームルーム前の時間で、皆それぞれワイワイと話しています。


私には一つ大きな悩みが…。




美玖「はぁ〜。どうしよう…。」


遥香「どうしたの?」


私の前の席の賀喜さんが話しかけてきてくれた。


出席番号が隣同士なのでたまに話をする程度なのだが。


美玖「いや〜実はどの部活に入ろうか未だに迷ってて…」


遥香「そうなんだ、でも自己紹介の時に吹奏楽部入るって言ってなかった?」


美玖「あ、覚えててくれたんだ。そのつもりだったんだけど、せっかく高校生になったから新しいことにもチャレンジしたいなぁって思ってて。」


遥香「なるほど〜」

美玖「賀喜さんは何部に入ったの?」


遥香「私は演劇部だよー。親友が演劇部に入部して、お手伝いしてたらその流れでって感じ。」

美玖「演劇部って、あ!あの部活紹介の時にカッコイイ先輩が歌ってたやつ!?」


遥香「そうそう!私も最初は勢いで入部しちゃったんだけど、楽しいよ!」


美玖「そうなんだー、私も行ってみよっかな…」


遥香「うん!おいでおいで!昨日やっと人数が揃って、今日からやっと活動が始まるの!」


美玖「ありがと!じゃあ今日早速行ってみるね!」


演劇部かー。演劇部…え、やったことないけど大丈夫かな…


まぁでも、賀喜さんも楽しいって言ってるし見るだけ見てみよう。




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その日の放課後


遥香「こっちこっち!」

賀喜さんに続いて部室に入る。


美玖「し、失礼します。」

さくら「あれ?かっきーその子は?」


めちゃくちゃ可愛い子が私の方を見て賀喜さんに話しかける。え、ってかこの部可愛い子しかいないじゃん!



遥香「あ、この子は私と同じクラスの…って、自分で言ってもらった方が早いよね。」


美玖「あ、皆さん初めまして!1年A組の金村美玖と言います!中学では吹奏楽をやってたんですけど、せっかくだから新しいことにもチャレンジしたいなぁって思って、見学に来ました!まだ入部するかはわからないんですけど、よろしくお願いします!」


皆から温かい拍手が送られた。

ひかる「金村さんめっちゃスタイルいいー。羨ましい…。」


美玖「え、そんなことないよー。」


夏鈴「森田はお子さま体型だもんねー。」


ひかる「あ!こいつハラスメントしました!皆さん聞きましたか!」


聖来「全く…お淑やかさが足りませんわ…わたくしの周りであまり声を荒げないで下さいます?」


ひかる「うるさいお下劣関西人!」

聖来「○す!」


なんだか賑やかな部活だ。


小藪「お〜い!部室で走るなアホンダラ!今日から稽古やるって言うてるやろ!緊張感持てよー!」

すると先生が部室に入ってきた。


美玖「あ、先生!今日部活見学させて貰います、1年A組の金村美玖です。よろしくお願いします!」

小藪「おぉ、そうかそうか。顧問の小藪や。見学言うてもコイツらも今日が初めての活動やからな。一緒に入ってええぞ。」


美玖「あ、はい!ありがとうございます!」


小藪「全員おるか?ってまた生田だけおらんのか?まぁええわ。基本の練習はアイツ抜きでもできるな。ほな、全員集合や!」

部室の隅っこで携帯をイジっていた子も集まって来た。


小藪「えー、昨日言うたと思うけど、とりあえず6月の文化祭でやる舞台を目標にやっていくぞ。当たり前やけどアホほど生徒もおるし外部の人間も観に来るからな。中途半端な舞台は許さんぞ!」


さくら「うわ〜緊張するな〜…」

小藪「おう、緊張感持ってやることはええこっちゃ。生田以外の新入生の自分らは、舞台経験はないと思うから、イチから全部叩き込んで行くからな!ええな!」


『はい!』


小藪「あと金村か?自分もまだ正式には入部してへんけど、今日は容赦なくビシバシ言うぞ!かまへんか?」

美玖「はい!よろしくお願いします!」


小藪「ええ返事や。そしたらまずは基本中の基本!発声練習からや!」

こうして、厳しそうな舞台の稽古が幕を開けたのであった。



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