無口なライオン。#4
さくら「よろしくお願いしま〜す!」
遥香「演劇部で〜す!」
??「…?」
さくら「よろしくお願いします!」
??「あ、どうも。」
授業も終わってやることも無いし真っ直ぐ帰ろうとしてたら、校門で妙なチラシを配っている人達に出会った。
??「演劇部か…。」
めんどくさいから部活紹介の時も全く聞いてなかったけど…
あの時の歌声だけは鮮明に覚えている。
廃部寸前って言ってたけど、あの子たち1年生…?
うるさい先輩やOGがいないなら入るのもアリかな…?
??「って、何考えてんだか。」
部活なんて向いてないっての。小林由依、あなたが一番わかっているでしょう。
貰ったチラシをカバンに直すと、私はバス停まで歩き始めた。
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次の日―
由依「なんで来たんだろ…」
放課後、真っ直ぐ帰るつもりだったのになぜか演劇部の部室まで来てしまった。教室の中からは楽しそうな話し声が聞こえる。
由依「…やっぱやめとこ。」
私は入る勇気も出せずに、引き返すことにした。
また明日、また明日来よう。うん、そうしよう。
小藪「ふ〜ん、なかなかおもろなってきたやんけ。」
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由依「…。」
また次の日、私は昨日と同じように演劇部の部室まで来ていた。
由依「どうしよ…。いきなり入ったらビックリさせるよね…。」
また明日にしようかな…。
人いなくて困ってるなら、また勧誘するよね。その時にさりげなーく声掛けよっかな。
などと一人で考えていると、階段の方から生徒の話す声が聞こえてきて、咄嗟に物陰に隠れる。
??「あ、ここだよ夏鈴」
??「ほんとだ〜。いきなり入っても大丈夫かな?」
あれは同じクラスの藤吉夏鈴さんと森田ひかるさん?あの子たちも演劇部入るのかな?
ひかる「失礼しま〜す。演劇部のポスター見て来たんですけど〜。」
夏鈴「見学だけでも大丈夫ですか〜?」
そのまま2人は部室の中に入ってしまった。
友達でもないのにこの後に入るのもおかしいよね。うん、明日にしよう。
小藪「何をしてんねや。」
由依「ひっ!」
小藪「自分、昨日も来とったな?入部希望ちゃうんやったら邪魔やから行った行った。」
由依「は、はい。すみません。」
先生らしき人は私の横を通り過ぎようとする。
小藪「…ここまで来れたんやったら入れるやろ。」
由依「え?」
小藪「誰しもな、はじめの一歩が一番難しいねん。でも自分は既に一歩踏み出せてるやんか。
後は自分の気持ち次第やと思うで。ほな。」
そういって部室に入ってしまった。
由依「…。自分の…気持ち次第…。」
そう呟くと私は、部室のドアに手を掛けていた。
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