水炊きに欠かせない薬味といえば、柚子胡椒。鶏のコッテリとした旨みをゆずの香りでさっぱりと切り、青唐辛子の辛味がピリリと尾をひく柚子胡椒は、食事にリズム与えてくれる最高の薬味だ。

小さなスプーンですくって、椀のふちに塗り付け、鶏肉や野菜にチョンと乗せて食べる。そんな至福の時間を自宅で楽しむときに、いつも思うことがある。

「柚子胡椒がスプーンのくぼみに残ってる」

もったいないのだ。

自分の箸でぬぐうのは衛生的でないし、そのための箸を用意するのもなんだか馬鹿馬鹿しい。指ではもっと問題があるし、舌で舐め取るのも違う。

この問題については誰に相談することもなく、かれこれ10年もモヤモヤしていたのだが、夕飯の水炊きの準備中に、とつぜんひらめいた。

「バターナイフがあるじゃないか」

このひらめきのおかげで、柚子胡椒をスパッと切よく使えるようになったのだった。

体重計の数字は78.1kg。ランニングは4日目。根気強くいきたい。