ヤマシタヨウヘイ(3分与太話)

3分で読める『与太話』を書きます。酒飲み。ライター。二児の父。飼い猫3匹。ダイエット中。

ヤマシタヨウヘイ(3分与太話)

3分で読める『与太話』を書きます。酒飲み。ライター。二児の父。飼い猫3匹。ダイエット中。

最近の記事

まぼろしの犬(76.4)

それまで当たり前に使っていた言葉が、突然妙な響きを帯びるときがある。最近では、ホットドッグ。 「たっぷりコーヒーと、ホットドッグをください」 コメダ珈琲で注文しながら、ふと思ったのだ。 なんだ。ホットドッグって。そんなにへんな名前だったか?周囲の人に聞こえないように小声でもう一度口に出してみる。 「ホット・ドッグ」 あつい犬。夏の日差しに焼かれて、舌をだしながら息を荒げているレトリーバー種が脳内に投影される。もさもさと生やした薄茶の毛がいかにも暑苦しい。ヘッヘッヘッヘ

    • 暗闇に迷い込んだ米(75.6)

      あまり深く悩まないようにしている。もともと根が明るいほうではないので、意識して精神をポジティブに保つ必要があるからだ。 しかし、この日の悩みは深かった。注意力を奪い、人の話も半分くらいしか耳に入ってこない。解決すべく八歩手を尽くした。でも、どうやっても出口が見えない。人に助けてもらえるタイプの悩みでもない。 鼻と口のあいだの気道に、米が迷い込んでしまったのだ。 今朝の体重は75.6kg。 気になって食欲が落ちるのは歓迎すべき状況かもしれない。

      • 自販機からのメッセージ(76.2)

        財布の小銭を最小限に保ちたい。 そう思って生きてきた。 自販機のトマトジュースは120円。お釣りの硬貨が少なくなるように、千円札を1枚、10円玉を2枚いれて、ボタンを押す。ごとん。音を立ててトマトジュースが現れた。 カシャ、カシャ、カシャ。小銭が出てくる。 カシャ、カシャ、カシャ。小銭が出てくる。 カシャ、カシャ、カシャ。小銭が出てくる。 カシャ、カシャ、カシャ。小銭が出てくる。 カシャ、カシャ、カシャ。小銭が出てくる。 カシャ、カシャ、カシャ。小銭が出てくる。 出

        • 悔恨と開墾(77.1)

          ノートさんに「連続投稿◯◯日目。すごいですね!」と言われるのを励みのひとつに続けていたのに、つい飲みすぎて24時をすぎてしまった。悔恨。 それでも書きたいと思ったのは、すごい食べ物と出会ったから。 生牡蠣にウイスキーをぶっかけて食べる。その名も「オイスターシューター」である。もとはスコッチの本場スコットランドの食べ方で、牡蠣の殻に注ぐのが本流なのだそうだが、ショットグラスでもすごかった。 もろともクイッと口に含めば、ウイスキーの香りと牡蠣の旨みと芳醇なアルコールの刺激が

          あなたの知らない決まり手の世界 その① ずぶねり(77.7)

          相撲にはすごい技がある。 先場所の宇良が放った「伝え反り」などもそのひとつだ。日本相撲協会の「決まり手八十二手」を見れば、相撲が長い歴史のなかで育んだ技の深淵に触れることができる。 いくつか紹介していきたいと思う。 記念すべき第一回は「頭捻り(ずぶねり)」だ。 なりました! といわれても、どのような顔でうなずいたらいいのかわからない。ずぶねり。すごいネーミングである。 さらに「頭を使って相手を捻り倒す」と、さらりと書いてあるが、状況が飲み込めない。現場では何が起きてい

          あなたの知らない決まり手の世界 その① ずぶねり(77.7)

          かき男とかき子(77.0)

          蕎麦屋で「酢がき」を注文した。 酢がきとは軽く酢で締めた牡蠣。生のフレッシュさと、茹でのプリっと感が同時に味わえる料理だ。 はやる食欲を抑えて写真を撮ると、娘が言う。 「ベイビーみたい。かお、かいていい?」 そこには、なんとも愛らしい双子が現れた。こんなにかわいい牡蠣を手にかけるなんて。そんな残酷なことが、このわたしにできるのだろうか。 そうだ、このままタッパーに詰めて家に連れて帰るのはどうだろう。家族として一緒に暮らすのだ。名前はかき子とかき男にしよう。賑やかな家族の

          さよなら特のりタル弁当(77.3)

          特のりタル弁当(大盛)の熱量を見て腰を抜かした。 1,021キロカロリーである。 ジョギングで消費するカロリーはおおよそ「体重(kg)×距離(km)」で算出できるというから、77kgのわたしは13km走ってようやく消費できることになる。なんて罪深い弁当なんだろう。 主犯格は間違いなく「唐揚げ・白身フライ・メンチカツ」の3兄弟。揚げ物の破壊力を改めて思い知り「ちょっと距離をおこう」と、そっと誓った冬の午後であった。 今朝の体重は77.3kg。 本日は2月の始まり。 モチベ

          さよなら特のりタル弁当(77.3)

          コンテンポラリースモウダンス(77.3)

          すごい技が出た。 1月28日、大相撲初場所の千秋楽、小結の宇良が繰り出した「伝え反り」である。珍しい技なのでほとんどの方が初耳だろう。かくいうわたしもこの日まで知らなかった。 日本相撲協会の公式サイトの「決まり手八十二手」には、次のような説明がある。 「相手を倒して勝ちます!」といわれても、そこまでの経緯がイメージしにくいのではないだろうか。そんな相撲ビギナーのために、日本相撲協会公式サイトでは写真を用意してくれている。 この写真を見たからといって「なるほど、そういう

          コンテンポラリースモウダンス(77.3)

          四股を踏む人(76.8)

          ジョギングコースの半ばに海に開けた広場がある。 そこで四股を踏みはじめて1カ月が経過した。 朝日に照らされる波を見ながら四股を踏み、颯爽と駆ける陸上部員たちを横目に四股を踏み、ベビーカーに乗った震えるチワワの視線を感じながら四股を踏み、フラダンスのレッスンに勤しむマダムたちの横で四股を踏んだ。 はじめのころは視線が痛いと感じることもあった。自分たちの生活圏に突然四股を踏んでいるやつが現れたのだ。警戒するなというほうがどうかしていると思う。けれど、この頃ようやく人々も犬も、

          リバウンド王にはなれなかった(78.2)

          体重が再び78kg台に。 昨日、日曜日なのをいいことに明るいうちから酒を飲み、あまつさえ〆にガーリクライスを食べてしまった報いか。後悔。繰り返さないためには「リバウンド」について正しい知識をつけておく必要がある。そこで自戒の念を込めて辞書を引くと次のように出た。 『ダイエットを中断した際にみられる体重の増加』 今のわたしにはなかなか耳に刺さる文章である。ただ気がかりなのは、わたしの場合はダイエットを中断していないのに体重が増えている点だ。もしや、リバウンドではないのだろう

          リバウンド王にはなれなかった(78.2)

          だから、ミルクで(76.8)

          珈琲店での話だ。 一息ついて窓に目をやると、なんと「ひょう」が降っている。わたしは携帯電話を取り出し、これから出かけると言っていた後輩にLINEのメッセージを送った。 「おい、雹(ひょう)が降ってるぞ。気をつけろ」 すると後輩からは間髪入れずに返信がある。 「いや、あられですよ」 どっちでもいいだろう。親切なんだから。ありがとうございますで丸く収まるのに、なぜあげつらうんだ。ため息をひとつこぼし、コーヒーをすする。そして何も考えまいと目を閉じると、客と店員のやりとりが聞

          だから、ミルクで(76.8)

          醤油・味噌・塩の迷宮へようこそ(76.9)

          はじめてのラーメン屋に入って「醤油」と「味噌」と「塩」があったとき、わたしは深い深い迷宮に入り込み、底なしの螺旋階段を転げ落ちる。 どれを食べたいのか。 どれがこの店の正解なのか。 己の食欲と真剣に向き合って「ただ1つの真実」を掴もうとするが、その手は虚しく空を彷徨うことになる。どうしても選べないのだ。 だって、全部食べたいんだから。 手に入れるためには捨てなければならない。今こそ身を切るような決断が必要なのだ。そんなことはわかってる。わかってはいるのだが、券売機のボ

          醤油・味噌・塩の迷宮へようこそ(76.9)

          野猫ブラザーズ通信 その4 (76.7)

          近所の川沿いの道に生息する3匹の野猫。 彼らの様子を2年ほど前から追っている。 時の経過とともに1匹また1匹と姿が見えなくなり、この半年は、とうとう1匹も目にしなくなっていた。野猫の寿命は短い。およそ2年から4年と言われている。 もう、いなくなってしまったのかもしれない。 わたしはその道を通るたびに、心にメンソレータムを塗りたくって扇風機の風を浴びせているかのような虚無感を味わっていた。 しかし今朝のこと。彼らがいつもくつろいでいたベンチを通りかかると、いたのだ。黒い

          野猫ブラザーズ通信 その4 (76.7)

          鼻毛がでていると何がいけないんだろう(77.9)

          きっかけは8才になる娘との会話だった。 「パパ、鼻毛でてるよ」 「ああ、そうか、すまんなあ」 半笑いの忠告に対してなんとなく謝ってみたものの、わたしには何か胸にひっかかるものがあった。 鼻毛が出ていると、何がいけないんだろう。 もちろん、身だしなみの問題なことは間違いないだろう。毛と身だしなみの関係は深い。 たとえば頭髪や眉毛、あご髭などの「いつも出ている毛」。あれは伸びっぱなしではいけないが、きちんと整えられていれば問題ない。ときには清潔感さえ生むだろう。すね毛や

          鼻毛がでていると何がいけないんだろう(77.9)

          なにやってるかわからなかった(77.5)

          昨夜、福岡市の沿岸部は吹雪だった。 吹き荒ぶ白い風。上着のすき間というすき間から雪が入り込み、まるで裸で歩いているような寒さ。まさに、命懸けの喫煙だった。 なにも暴風雪の中で吸わなくたっていい。わたしだってそう思っている。でも、過酷な環境下だからこその味わいがあるんじゃないか。そのような一縷の望みにすがって、外に出てきたのである。 身震いしながらライターを扱うが、うまく働かない。一瞬にして吹雪に吹き消されてしまうのだ。しかたなく風が弱まるのを待つが、そのあいだにも刻一刻と

          なにやってるかわからなかった(77.5)

          酒場で生じる健康の引力(77.6)

          「まあ、平均的な中年体型なんじゃない?」 40代の先輩の言葉である。 ちかごろ、飲みの席の話題が「健康」に向かいがちだ。はじめはサッカーの話をしていたのに、気づけば自分の「ひざの調子」の話に。イギリスのロックバンドの話をしていたはずなのに、気づけば「肩こり」の話に。健康の引力に抗えず、体の不調を訴える会になってしまうのだ。 この日の議題は「肥満」だった。年末年始で5kg増やしたわたしは、体型が変わってしまって困惑していると悩みを打ち明けた。そこで出たのが先の言葉である。

          酒場で生じる健康の引力(77.6)