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Inventor / トップダウン設計 / 駆動ユニット

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Inventorによるトップダウン設計の紹介資料です。 駆動ユニットを例にして、構想から詳細設計までの設計手順を紹介しています。
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Inventor / 駆動ユニット (1)

トップダウン設計手法の説明をするのに、リアルな設計事例が必要だったので、実際に設計をやってみました。その手順を紹介したいと思います。 ゴール下図の3Dモデルと図面(組立図・部品図)の完成です。 オリジナルの設計は、GrabCADのライブラリに載っている "Horizontal Auger filling" というユニットです。 駆動部分だけ取り出しています。なお、再設計に当たっては、オリジナルモデルの作者の了解済みです。日本で製作するという想定で、JISに基づいて、スク

Inventor / 駆動ユニット (2) LOD100

前回の内容はこちら スケルトン(LOD100)今回は、構想設計より手前の概念設計(LOD100)レベルのスケルトンについて説明します。この段階では、仕様寸法は確定しているわけではありません。とりあえず形にしてみるというという段階です。およその寸法で、スケッチを作成していきます。スケルトンというと馴染が無いかもしれませんが、手書き図面や2DCAD図面で言う下書き線・補助線に相当するものがスケルトンになります。 スケッチはラフに作成します。細かい部分の形状は書きません。最初の

Inventor / 駆動ユニット (3) LOD200

前回の内容はこちら スケルトン(LOD200) 今回は、構想設計(LOD200)レベルのスケルトンについて説明します。この段階では、仕様寸法はほぼ確定しているとします。LOD100のスケルトンを派生し、主要部品の3D形状を作っていきます。詳細な形状は作りこみません。隣接部品との取り合いを見ながら形を作っていきます。 手書きや2D設計では、ポンチ絵と言って、ラフなアイソメ図を手書きする事がありますが、それを3Dで作っているとも言えます。ただし、決定的に違う点は、スケルトンの

Inventor / 駆動ユニット (4) LOD200 デザインチェック 2D投影図の活用

前回の内容はこちら デザインチェック大体の構成が出来ました。詳細設計に移る前に、デザインチェックを行います。形状寸法の確認をはじめ、モータの駆動力、軸の強度、タイミングベルトの選定、平歯車の計算などを行い、設計の正しさを確認します。問題があれば、LOD100、LOD200のスケルトンに戻りモデルを修正します。 2D投影図の作成 まず最初に行う作業は2D投影図の作成です。 3Dモデルを自由な視点で確認するのは、形状や部品間の取り合いを直観的に理解できて良いのですが、正確な

Inventor / 駆動ユニット (5) LOD200 歯付きベルトのデザインチェック

前回はこちら デザインチェックのつづき 駆動ユニットは、サーボモータから歯付きベルトでギヤボックスにトルクを伝え、歯車で増速をしています。デザイン アクセラレータを使って、歯付きベルトと歯車のデザインチェックを行います。 デザインチェック用のアセンブリモデル 新規アセンブリモデルを作成し、LOD100のスケルトンモデルを原点に配置します。このアセンブリモデルを使って、歯付きベルトと歯車のデザインチェックを行います。 歯付きベルトとプーリ 今回は、ミスミの面圧タイミ

Inventor / 駆動ユニット (6) LOD200 歯車のデザインチェック

前回はこちら デザインチェックのつづき 続いて、歯車のデザインチェックを行います。速比1.6で増速、モジュール=2、中心間距離=76 と決め、スケルトンを作成しています。寸法、噛みあい、強度に問題ないかを確認します。 歯付きベルトのデザインチェックと同じアセンブリモデルを使います。 平歯車コンポーネントジェネレータを実行します。 設計ガイドを「歯数」とします。歯数比、モジュール、中心距離を入力します。計算タブから荷重や材料を指定します。次に、歯車1と2の中心軸(円柱面

Inventor / 駆動ユニット (7) LOD200 第2案 Plan B

前回はこちら 第2案の検証(Plan B) デザインレビューの結果、出力軸の間隔を76から85にしたバージョンも検討することになったとします。いわゆる第2案、あるいは Plan B。本命がうまく行かない時の次善の策です。経緯を知りたいところですが、この記事では3次元CADによる設計手法にフォーカスしたいので、触れない事にします。 コピーデザイン これまでに作成したデータセットがあるので、このデータセットを利用して、Plan B のモデルを作ります。いろいろ方法はありま

Inventor / 駆動ユニット (8) LOD300 主要パーツを配置

前回はこちら LOD300(詳細設計)のフェーズ 2次元CADの詳細設計の場合は、まず組立図を作ります。次に、組立図から部品図を設計します。この部品図を作成する作業を「バラシ」と呼びます。 3次元CADでは、部品(パーツ)モデルが無ければ組立(アセンブリ)モデルが出来ませんから、バラシに相当する作業、アセンブリ・パーツ・図面の3種類のモデルを同時進行で行っていきます。 ところで、2次元図面を作らず、3次元モデルだけで設計を進めるMBDという考え方があります。その考え方は

Inventor / 駆動ユニット (9) LOD300 取付穴の設計

前回はこちら 取付穴問題 機械設計の不具合で多いのは、「取り付かない」ことです。取り付かないとはどういう事かというと、取り付ける部品間で、位置が違う・サイズが違う・種類が違っている状態になっているということです。部品同士が意図しないでぶつかってしまう「干渉」もありますが、特に多いのは、穴が合わない事です。これは部品の取付にネジを使うことが多いからです。 不具合を出さないために、検図をします。2次元図面では、互いの寸法・サイズ・種類に矛盾は無いか、すべての箇所を確認します

Inventor / 駆動ユニット (10) LOD300 平歯車

前回はこちら、 ※ この記事は特に多くの方に読まれているようです。少しだけ、作者に還元ください。なお、お役には立てなかった場合は返金申請していただけます。 平歯車製図 手書き図面の頃は歯車の図面を書くのに、歯形を書く事はありませんでした。JISの歯車製図だって、外径・ピッチ円・歯元円だけで済ませています。逆に歯形を書いたりすると「不必要な丹精」となります。 3次元CADになると逆に見映えを期待されるので、正確なインボリュート曲線ではなくとも、それらしく見えるモデルが必

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300

Inventor / 駆動ユニット (11) LOD300 キー

前回はこちら、 キー 歯車と軸間のトルク伝達は、キーを使います。キーは軸径によってサイズが決まります。JISで寸法・公差が決められています。余談ですが、JISとISOでは同じ軸径でもサイズが変わるので注意が必要です。 平行キー接続ジェネレータ キーの設計は、平行キー接続ジェネレータを使います。 アセンブリモデル上で、平行キー接続ジェネレータを実行します。 JIS の両丸形のキーを選びます。 キーの取付位置・サイズなどを設定します。 OK を実行 軸と歯車にキ

Inventor / 駆動ユニット (12) LOD300 軸受

前回はこちら、 軸受 軸受は、コンテンツセンターを使って直接配置することも出来ますが、デザインアクセラレータを使って軸受を配置するのが便利です。コンテンツセンターを使うと、手数は少なく済みますが、iMateの種類が多くて、上手に拘束できません。この点、デザインアクセラレータの方は確実に配置が出来ます。また、向きを間違えても簡単に修正が出来ます。もちろん、種類・サイズも簡単に変更できます 軸受ジェネレータ 最初に、JIS規格を選び、カテゴリから軸受の種類(ここでは、円錐

Inventor / 駆動ユニット (13) LOD300 歯付きベルト・プーリの詳細設計

前回はこちら 歯付きベルトの詳細設計 LOD200で歯付きベルトのデザインチェックを行いました。その時に保存したテンプレートを使って、詳細設計を行います。 歯付きベルト用のタイミングプーリーは、購入品となります。ミスミのWebサイトから選択しました。3次元モデルとしてダウンロードもできて便利です。軸径22ミリと25ミリのものを用意しておきます。 LOD100スケルトンを配置 歯付きベルトの配置の参照とするため、スケルトンをアセンブリモデル上に配置します。歯付きベルトや

Inventor / 駆動ユニット (14) LOD300 サーボモータの取付

前回はこちら タイミングプーリーの位置に合わせて、サーボモータの取付を行います。サーボモータと取付ブラケットとセットにしたサブアセンブリモデルを作成し、そのアセンブリモデルをタイミングプーリーとベースプレートに拘束するという手順です。 サーボモータ サーボモータは、GrabCAD参考元のモデルを流用します。 このモデルはSTEPファイルでした。ギアヘッドの部品に取付穴は開いていますが、穴フィーチャとしては認識されていません。そこで、スケッチを追加し、穴位置に点を配置し