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2022 TJAR Day8 井川ダム-安倍川

井川CP-井川ダム

いよいよ、最終日。残るは85kmロード。最後の長い長い旅が始まった。
睡眠時間は30分程度。でも行くしかない。
井川の駅で荷物を下ろし、暑くなったため短パンに着替える。まだ、雨は降っていたのでレインは上だけ。リュックは水を吸って重い。そして、残ったたくさんの食料が重い。食欲はないので、井川キャンプ場で食べたカップラーメンだけで行く。
そして、井川ダムへ着くと予期しなかった会社の上司の姿が。

井川オートキャンプ場から85km程度。到着時間を考え、時速4キロで進むことを考える。途中何度か眠くなり、道端で数分仮眠。再度出発を何度か繰り返す。早朝にまた友人の海野さんが応援に駆けつけてくれ、力をもらう。ここでももう少し話をしたかったが、並走ができないこと、時間もないことから、泣く泣く、少し話をして出発。ここまできてくれて本当に嬉しかった。雨が弱くなり、気温もあがってきたため、井川ダム手前で、半袖・短パンに着替え。気持ちを切り替える。水を吸った荷物は確実にスタート時より重い。井川ダムでは会社の上司の大関さんが迎えてくれた。井川ダムまで来てくれるとは思っていなかったため、一瞬幻覚と思ったが、本物でした。これまでの行程へのねぎらいの言葉をいただいた。ここから始まる富士見峠への登りの励みになった。

2022報告書
井川ダムへ
井川ダムで予期しなかった応援

最初、人影がみえたときは幻覚かと思いました。そんな話をしたときの写真。眠気はありましたが、表情は戻っているように思います。

「よく台風を超えて、ここまで来たな。大変だったろう」
自分の姿に感動してくれて、涙ながらにかけてくれた言葉。
とても嬉しかった。

富士見峠へ

「いってきます!」
元気をもらい体に力が戻ってきました。
そして、登りは痛くない。歩けるはず。最後のロードはすべて未試走の道。

井川ダムから富士見峠へ

登りは快調に登り始めることができました。
時速4kmを切らないように。
ただ、眠い。どうしようもなく眠い。登りながら意識が遠のき、少し歩きながら寝てしまいます。少し、道路わきに座るとまたそこでも寝てしまう。。
ここでも、助けてくれたのは、妻のメール。そして、仲間でした。

富士見峠の登りで、強い眠気がくる。道端で寝てしまい焦って起きる。時間をみると、昨晩からこれまで時速3.5km程度でしか進んでないことを知る。このままでは間に合わない可能性、焦る。ここからスイッチを入れなおし、冨士見峠を登る。このとき妻から絶妙なメール「ここまできたら、やっぱりゴールする姿をみたい。頑張ってほしい」。力を取り戻す。直後、トレラン仲間ヨシゴンさんたちが応援してくれて、さらに気合が入った。日中は暑くなることが予想され、涼しいうちに距離を稼ぐことを意識。会社の先輩・ラン仲間のごりさんから、そのようなアドバイスをメールでもらった。遠くにいても、ごりさんは精神的に支えてくれる存在でした。聖岳の登りでも、怪我に負けないごりさんを思い出した。足裏は既にだいぶ痛くなっていた。たぶん状態はよくなく、見るのも怖い。先を急ぐ姿に、NHKの取材の方たちも、優しい顔でそっと見守ってくれた。

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応援に来てくれたよしゴンさん
みんなに会い、元気がでてきました。

富士見峠からの下り。そして、灼熱のロードへ。

どうやら台風は去り、この日は台風一過になるとの情報。
確かに日の出ともに、気温が上がっている。
ただ、時速4kmを保つ。それが今自分にできること。

富士見峠からの下りで膝が心配であったがそれほど痛みなく歩けることがわかり安心。先を急ぐ。ここからゴールまで時速3kmだと間に合わず、時速4kmだと余裕ができるため、引き続き、時速4kmを目安に歩く。Casso横沢で、父、ずやくん・いたちゃんが待っててくれた。パンを2個購入、お店の方からも応援も受ける。「大丈夫、間に合うよ」と嬉しい言葉。パンは最高に美味しく、本当にありがたかった。

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Casso横沢

Casso横沢のパンは最高においしかったです。いつか必ずお礼に行きたいと思います。トイレもそのまま上がれるように床に新聞を敷いてくれていました。(TJAR期間中はなんと選手優先販売!)
父・いたちゃん・ずやくんに会い、話すことで元気は確実に戻ってきました。ここまで来たら行くしかしない。

Casso横沢を出発

しかし、暑い…ほんとに暑い。雲のない快晴、猛暑でした。
そして、足の裏が強烈に痛い。なんか足の裏の皮と皮が重なっている気がする…でも、もう見ない。
「灼熱のロード」と、「剣山のような痛み」、これこそTJARの洗礼。。。

日中は予想通り台風一過、強い日差しに疲弊する。途中水がでているところがあれば、帽子を濡らし頭を冷やし、すぐに時速4kmで歩く。これがずっと夜まで続くのかと考えると気が滅入るが完走のためには耐えるしかないと考える。

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猛暑・剣山の痛みのなか、時速4kmで歩くゲームが、夜まで続くのか。
何の罰ゲームだろうか。ほんとに体は持つのだろうか。気が遠くなる。
頭がぼーっとしているので、同じようなところを何度も通っている気がする。(これは、気のせい)

安部川へ

このあたりから段々と応援が多くなってきました。
「絶対ゴールできる、応援している!」
そんな声を皆さんかけてくれました。

南アルプス中盤、そして後半は特にずっと一人で進んできました。
気持ちが落ちて、でも、仲間が助けてくれて、今は、町のみんなも応援してくれている。妻と娘も家で応援してくれている。

「もう一人ではない」
「みんなに支えられている」
「みんなに感謝を伝えたい」

そんな気持ちが渦巻いていました。

みんなに「最後まで笑顔でよかった」と言ってもらいましたが、下山まではほとんど笑顔なんてなかった。
みんなの優しさを感じ、みんなが笑顔にしてくれた。
だから、会う人すべてにお礼を伝えたかった。

そこからは、またさらにもう一段階スイッチが入ったような気がします。

ゴールをする気持ちが強くなり、眠さも暑さも痛さもすべてを乗り超えられる気がしました。

続く

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